公開中
勝斗視点 コイツが同い年な訳が無い #4
4話です。
俺は医者に無理を言って二人きりにしてもらった。
そして今。近くの食堂でお互いに向き合う。
なんて気まずい雰囲気なんだ。
「俺等、やっぱ入れ替わったんだよな?」
「は、はい。そうだと思います。⋯信じられませんが。」
美春は俺の体でモジモジする。やめろ。
だが、美春に会ってなるほどと思った。
確かにおとなしくて女子っぽい。
俺の世間一般的に目つきが悪く大きな体で女子っぽい仕草。
率直に言って視界的暴力だ。
なぜよりにもよって俺と美春なんだ。
明らかに俺が戻った時ダメージが大きいだろ。
いや、その前に。
「戻れるのか、これ」
ボソっとした俺の呟きに美春がギョッとする。
いちいち可愛い動きをするな。なんの罰ゲームなんだ。
「え、えぇ?これ、戻れないんですか?」
「いや、今はわからない。⋯が、俺は一つ共通点を見つけた。」
「え!なんですか!?」
⋯コイツ自殺未遂を犯したんじゃなかったか?
意外と鬱々してないんだな。普通の女子じゃねぇか。
俺の言葉を待っている美春を見て、なんともいえない気持ちになる。
「⋯俺等の共通点は。」
「ごくり」
ごくりはやめろ。
「同時刻ぐらいに、頭をぶつけたってことだ。」
「なるほど。つまり、もう一度頭をぶつけたら⋯」
「あぁ。ってことで。」
俺は、美春の頭をしっかり持つ。
俺の顔でキョトンとしている美春に向かって頭を振りかぶり⋯
勢いよく頭突きした。ゴッといい音がなる。
「痛い!?」
「っ。」
ふむ。入れ替わらなかったか。
そう思ってチラリと美春の様子を伺うと、美春はブルブルと震えている。
痛すぎたか?と、心配するとポロポロと涙を流し始めた。え、おい。
「うわぁぁぁぁぁあああああん!!!」
まさかの大号泣である。
「は!?ちょ、待て!泣きやめ!」
「痛いよぉぉぉぉぉおおおお!」
ガラの悪い大男の大号泣は見ていてとても地獄だった。
周りの人もなんだなんだと集まってくる。
見るな。
「やめろ!その顔で泣くな!!」
「だってだって!!頭突きしたぁぁぁあああ!!」
「泣くんじゃねぇよ!男だろ!?」
「泣けないなら男なんてやめてやるぅぅぅうう!!」
もはや子供の癇癪だろ。同い年って話じゃないのか?
周りの人たちもザワザワしている。
なんの罰だよ。俺が何をしたっていうんだ。
すると、この騒ぎを聞きつけた医者が戻ってくる。
そして、交互に俺ら二人を見て俺に視線を戻す。
「何が起きたんだい?」
えーっと。とどう説明しようか考えていると、
「この子が!俺に!頭突きした!!」
と美春が俺を指さしながら泣き叫ぶ。こいつ。
というか、わざわざ一人称を変えるな。
医者は若干引き気味で美春を見る。やめろ。そんな目で見るな。
「えっと。美春ちゃん、頭突きしたの?」
「⋯はい。ごめんなさい。」
頭突きしたことは事実なので素直に認め謝罪する。
医者は困ったように頬をかいた。
---
「美春ちゃん。人を頭突きしたらだめなんだよ?」
「はい。ごめんなさい」
医者の尽力で、なんとかその場は収まった。
大号泣の美春は看護師さんたちに励まされながら病室へ連れて行かれた。
そして一通り検査を終えた俺は、医者に説教を食らっていた。
悪かったとは思っているので、素直に反省する。
が、アイツが俺の体で大泣きした事実は許さん。
一生の恥だろ。
というか、あんな奴がいじめられたりするのか?
いじめられたら癇癪起こして終わりだろ。
こんな奴いじめる奴らの神経が理解できない。
俺なら絶対にしない。面倒くさすぎるから。
すると、ガラガラっと病室のドアが開いて母親さんが入ってきた。
「こんにちは。あら?先生。どうしたんですか?」
「あ、お母さん。聞いて下さい。実は⋯」
これは、説教第二弾だな。
別に美春はいつもこんな感じなわけではありません。
おっとなしい子です。