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何処かずれた昔話 第壱話 桃太郎 前編
__いらっしゃいませ、お客様。
本日は、どのような物語をお探しでしょうか。
by和斗
ある日、いつも通りに家に帰ろうとして。
不思議な店を見つけた。
物語を書き換えたい人だけが、見つけられる。
時間の流れが他とは違う店。
その店に掛かった看板に書いてあるのは。
''|屋本妖《妖本屋》''
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十二年と三ヶ月十九日前、岡山県のある所におじいさんとおばあさんがいました。
なんで日付は明記しているのに、急に「あるところ」になるのか?
それは、プライバシー保護法により人の住所を明言することはできないからですよ。
あぁ。話が逸れてしまいましたね。
おじいさんは里山の保全のボランティアに。
おばあさんは川の清掃のボランティアに行きました。
おばあさんは川でゴミ拾いをしていました。
すると、
どんぶらこ
どんぶらこ
と高さ40㎝、横幅50㎝、奥行き50㎝ほどのサイズの桃が流れてきました。
おばあさんはその桃を見ると、大急ぎで他の人へ報告しました。
異常だったからです。その桃の、流れる音が。
すると、わらわらと人が集まってきます。
他の人たちも、
どんぶらこ
どんぶらこ
と言う音に驚いています。
それもそうです。
だって、桃が自然にこんな音を立てることはないのですから。
「もしかして、これ、スピーカーが乗ってるのかな?」
誰かがそう言いました。
それに呼応するように、ざわめきが起こります。
「環境破壊だ!」
「今すぐ桃紛いを回収しろ!」
「不味い、ここからじゃ届かない!」
皆が口々に叫ぶ中、おばあさんは一人静かに名乗りを上げました。
「私、こう見えても泳ぐのは得意なんです。だから、私が桃をとってきます」
その言葉に、皆が驚きました。
それもそのはず。
おばあさんが泳いでいるところなど、誰も見たことがないのですから。
「信じられないなら、”|真理子《まりこ》 水泳選手”でググって? 出てくるわ」
おばあさん・・・いえ、真理子さんの言う通りに、皆がスマホでググりました。
検索結果の画面には、若かりし頃の真理子さんが写っています。
皆が納得すると、真理子さんは川へと飛び込みました。
そして、難なく桃をとってきたのです。ずぶ濡れになっていましたが。
「どうやら、見た所ただの桃のようね」
おばあさんが言うと、他の人が桃をじっくり調べ始めました。
「本当に、ただの桃ですね」
一通り調べ終わったのか、報告がされました。
それを聞き、大学生のA君は言います。
「これ、マジでただの桃っぽいし、もう流しちゃわね?
ぶっちゃけ、こんなんあっても困るし」
その一言で、よし流そう、となったその時。
『いやいやちょっと待て待て。』
あらまぁなんと、桃の中から子供が出てきたのです。
ずぶり、と柔らかそうな桃から手を出して、必死に穴を穿り出てきたのでした。
『あのさ、流しちゃったら話にならないから。いやマジで。
桃太郎なのに桃太郎いないとか、鬼退治も無くなるから。
雉、犬、猿の三匹には既に出演交渉とか済ませちゃってるから。
鬼ヶ島に行く許可ちゃんと取ってるから。
だから、ね? 桃流さないでね?
原作通りにやってくれる? 俺死んじゃうから? ね?』
早口で何かを捲し立て、そのまま桃に戻りました。
「こっわ」
ボランティアに来ていた人たちは、口を揃えて一斉に言いました。
その時見事にハモりました。拍手を送りたくなるぐらいに。
「見なかった事にして、流しましょうか」
真理子さんはそう言い、皆はそれに従って桃を流しましたとさ。
おしまい。
桃太郎
<「終わるなーーーーーっ!」
途中で書くのめんどくなった。