桃太郎や赤ずきん、シンデレラや浦島太郎など、世界には様々な名作の昔話があります。
このシリーズは、昔話に手を加え、そしてツッコミを入れる。
そんな、欲望の詰まったシリーズです。
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目次
何処かずれた昔話 第零話 妖本屋
「__いらっしゃいませ。お客様。本日はどのような物語をお探しでしょうか」
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この世には、たくさんの昔話がある。
桃太郎、大きなかぶ、シンデレラ、・・・などなど、たくさんの昔話が。
この書店にある本は、全てが原作とは少し違っている。
大切に読まれてきた物語は、持ち主の意を汲んで起承転結が変わる。
|結末《ラスト》で敵と仲良くなったりなど、それはもう様々に。
まぁ、所謂 『生きている本』 だ。
この書店では、普通の本と区別するために”|妖本《ようほん》”と読んでいる。
ここの物語は、何処かがおかしい。
それはもう、分かりやすく違う。
最後に主人公が|幸せに終われる《ハッピーエンド》かは、読み手によって変わる。
今日のお客様は、どんな本を探しているのか。
この古書店の名前は|妖本屋《ようほんや》。
本日も不思議な物語を求め、個性豊かな人達が|扉の鈴《ドアベル》を鳴らす。
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「本日も妖本屋は、求める者に向けて開店いたします」
求める者にだけ視える、不思議な書店。
『屋本妖』と書かれた看板の掛かった店を見つけられるのは妖本屋のお客様のみ。
本日最初のお客様は、一体|何方《どなた》なのでしょうか。
からん
からん
扉についた鈴が、軽やかな音を立てる。
入ってきたのは小学校高学年くらいの女の子。
黒髪を一つ結びにしていて、今から家に帰ると思わせる格好をしていた。
最も、この妖本屋に続く扉は様々な時空からお客様を見つけ出す。
妖本屋は、時間の流れが他とは違う。
だからこそ、不思議な本が集まりやすいのだ。
「__いらっしゃいませ。お客様。本日はどのような物語をお探しでしょうか」
続く
何処かずれた昔話 第壱話 桃太郎
__いらっしゃいませ、お客様。
本日は、どのような物語をお探しでしょうか。
by和斗
ある日、いつも通りに家に帰ろうとして。
不思議な店を見つけた。
物語を書き換えたい人だけが、見つけられる。
時間の流れが他とは違う店。
その店に掛かった看板に書いてあるのは。
''|屋本妖《妖本屋》''
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十二年と三ヶ月十九日前、岡山県のある所におじいさんとおばあさんがいました。
なんで日付は明記しているのに、急に「あるところ」になるのか?
それは、プライバシー保護法により人の住所を明言することはできないからですよ。
あぁ。話が逸れてしまいましたね。
おじいさんは里山の保全のボランティアに。
おばあさんは川の清掃のボランティアに行きました。
おばあさんは川でゴミ拾いをしていました。
すると、
どんぶらこ
どんぶらこ
と高さ40㎝、横幅50㎝、奥行き50㎝ほどのサイズの桃が流れてきました。
おばあさんはその桃を見ると、大急ぎで他の人へ報告しました。
異常だったからです。その桃の、流れる音が。
すると、わらわらと人が集まってきます。
他の人たちも、
どんぶらこ
どんぶらこ
と言う音に驚いています。
それもそうです。
だって、桃が自然にこんな音を立てることはないのですから。
「もしかして、これ、スピーカーが乗ってるのかな?」
誰かがそう言いました。
それに呼応するように、ざわめきが起こります。
「環境破壊だ!」
「今すぐ桃紛いを回収しろ!」
「不味い、ここからじゃ届かない!」
皆が口々に叫ぶ中、おばあさんは一人静かに名乗りを上げました。
「私、こう見えても泳ぐのは得意なんです。だから、私が桃をとってきます」
その言葉に、皆が驚きました。
それもそのはず。
おばあさんが泳いでいるところなど、誰も見たことがないのですから。
「信じられないなら、”|真理子《まりこ》 水泳選手”でググって? 出てくるわ」
おばあさん・・・いえ、真理子さんの言う通りに、皆がスマホでググりました。
検索結果の画面には、若かりし頃の真理子さんが写っています。
皆が納得すると、真理子さんは川へと飛び込みました。
そして、難なく桃をとってきたのです。ずぶ濡れになっていましたが。
「どうやら、見た所ただの桃のようね」
おばあさんが言うと、他の人が桃をじっくり調べ始めました。
「本当に、ただの桃ですね」
一通り調べ終わったのか、報告がされました。
それを聞き、大学生のA君は言います。
「これ、マジでただの桃っぽいし、もう流しちゃわね?
ぶっちゃけ、こんなんあっても困るし」
その一言で、よし流そう、となったその時。
『いやいやちょっと待て待て。』
あらまぁなんと、桃の中から子供が出てきたのです。
ずぶり、と柔らかそうな桃から手を出して、必死に穴を穿り出てきたのでした。
『あのさ、流しちゃったら話にならないから。いやマジで。
桃太郎なのに桃太郎いないとか、鬼退治も無くなるから。
雉、犬、猿の三匹には既に出演交渉とか済ませちゃってるから。
鬼ヶ島に行く許可ちゃんと取ってるから。
だから、ね? 桃流さないでね?
原作通りにやってくれる? 俺死んじゃうから? ね?』
早口で何かを捲し立て、そのまま桃に戻りました。
「こっわ」
ボランティアに来ていた人たちは、口を揃えて一斉に言いました。
その時見事にハモりました。拍手を送りたくなるぐらいに。
「見なかった事にして、流しましょうか」
真理子さんはそう言い、皆はそれに従って桃を流しましたとさ。
おしまい。
桃太郎
<「終わるなーーーーーっ!」
途中で書くのめんどくなった。
何処かずれた昔話 第弐話 おむすびころりん
投稿遅くなってすいません。
むかし、あったこと。
あるところに、じいさまと、ばあさまがおった。
ある日じいさまは、ばあさまに作ってもらった弁当を保冷バックに入れて、山の手入れに出掛けた。
働いていると、左腕につけたスポーツブランドの時計が、十二時を指した。
お昼だ。
ベンチに腰掛けて、保冷バックから弁当を取り出すと、おむすびを一つ、落としそうになった。
じいさまは慌てて手を伸ばしたが、ころころ、ころころ、転がってしまった。
「待て待て、おむすび、どこへいく」
じいさまはおむすびを追いかけた。
落ちたものなど、食べとうないが、ラップをポイ捨てする事になるのは嫌だった。
おむすびは、ころころ、ころころ、転がっていき、やがて穴の中にすとん、とおちた。
すると、中から鈴のような声がした。
いっぽん ぱちりん ちょきりんこん
おむすびころりん すっとんとん
「ほう、かわいらしい声がしたぞ」
じいさまは不思議に思って、勿体無いがもう一つおむすびを、ころころ、ころころ、転がしてやった。
いっぽん ぱちりん ちょきりんこん
おむすびころりん すっとんとん
「あやあ、なんてかわいい声だ。いや待てよ、中に何がいるんだ? もしかして、新種生物か? それならば、動画を撮らねば、なるまい」
スマホをかざしながら、じいさまはもう一つおむすびを転がした。
その時。
「じいさま、美味しいものをいっぱいありがとう」
穴の中から子ねずみが顔を出したんだ。
「お礼に、ねずみの国へ来てください。さぁ、おらのしっぽに捕まって、目を瞑って」
「ごめん無理」
それに対し、じいさまは即答した。
それもそうだ。じいさまは、ねずみを害獣扱いしているのだから。
「・・・・・・は?」
ややあって、即答に対する返事が返ってきた。
ねずみの対応も、また然り。
「だから、無理」
「はぁ、そうですか・・・」
「そこらへんのねずみとか、衛生観念がちょっと、ね」
そう言うと、じいさまは一目散に家へ帰りましたとさ。
|どっとはらい《おしまい》
「松谷みよ子 かたりの昔話 ママお話聞かせて 生きる力を育てるお話編」(小学館、2002年4月1日 初版第一刷発行)より。82〜87頁「おむすびころりん」文、藤かおる 絵、瀧原愛治
上記の話を一部引用。
何処かずれた昔話 第参話 わらしべ長者
投稿久しぶりっ!
あるところに、のんびりものの、むすこがおったと。
ある日、先のことを心配したおやじさまは、むすこに言った。
(おやじ)「これを持って、旅に出ろ」
渡されたのは、たった三本のわらしべ(ワラ。藁人形〔呪物〕とかに使われてるよ。)だった。
(むすこ)「はぁ?」
流石に、マイペースなむすこでも平穏ではいられない。
スマホも持たずに、わらしべ三本で旅に行けと。
(おやじ)「異論は、あるまいな?」
有無を言わせない、おやじさまの口調に、わらしべ三本を持ち、むすこは渋々旅に出た。
スマホは、こっそり持っていった。だって、今の時代、スマホがないとなーんにもできやしないからね。
てこてこ歩いて行くと、ハスがいっぱい生えている池に出た。池のふちには、かりとったハスの葉が積んである。
(むすこ)「見事に咲いている大賀ハスだなぁ」(stellaは千葉県在住)
のんびり眺めていると、丁度その時、びゅーんと風が吹いた。
(???)「うわぁ、葉っぱが飛んじまう」
ハスをかりとっていたじいさまは、大騒ぎで、あっちこっちに飛んだ葉を追いかけた。
むすこの足元にも、葉が一枚飛んできた。拾い上げ、じいさまに渡す。
(むすこ)「落ちましたよ」
(じいさま)「すまない。礼を言う」
(むすこ)「そうだ、これで、結んだらいい」
むすこは、おやじさまに押し付ke・・・手に持っていた三本のわらしべを、じいさまにやった。
(じいさま)「いやいや、助かった。助かった」
喜んだじいさまは、お礼に、大きなハスの葉を三枚くれた。
おやじさまに持たされた三本のわらしべは、三枚のハスの葉になった。
むすこは、旅を続けた。
大きな橋に差し掛かると、向こうから、天秤を担いで来る味噌売りが見えた。
(むすこ)「(随分重そうな桶だなぁ。天秤ではなく、台車を使えば良いのに)」
そんなことを思いながら、橋を渡っていくと、雨が降り出して来た。
(むすこ)「(近くにコンビニあればビニガサ買うのに・・・)」
近くにコンビニはなく、持っていたハスの葉を傘がわりに頭に乗せた。
一方味噌売りは、雨が降って来て大騒ぎ。
(味噌売り)「濡れてしまう。大切な味噌が、濡れてしまう」
(むすこ)「濡れて困るんなら、これを使えばいい。そして、コンビニを見つけたら傘と袋を買え」
そう言ってむすこは、二つの桶に一枚ずつ、ハスの葉を被せてやった。
それから、味噌売りの頭の上に、自分の被っているハスの葉を、ひょいと乗せた。
(味噌売り)「助かった。助かった。この中に、何年も寝かせた大切な味噌が入っていたんだ」
味噌売りはほっとした顔で、何度もお礼を言った。
さらに、味噌売りのやっている味噌屋、『老舗味噌 ひがの屋』で使える、二千円分の商品券をもらった。
三枚のハスの葉は、二千円分の商品券になった。
むすこは、大喜びで家に帰り、おやじさまに商品券を見せた。
そして、商品券を使って『老舗味噌 ひがの屋』で味噌を買い、つくねの味噌焼きを作ったとさ。
おしまい
味噌買うだけになったね。あと、登場人物の名前思いつかなかった。
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松谷みよ子 かたりの昔話
ママお話きかせて 生きる力を育てるお話編
(小学館)(2002年4月1日 初版第一刷発行)
234〜237頁。文;千世繭子 絵;梶山俊夫