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戦争
戦争には、血生臭さが漂っていた。
口の中には、鉄の味。
みんな赤い血を垂らしている。
うるさい。
静かにしろ。
そんなことを思っても…
平和になれ。
そんなことを思っても…
かなわないのが、この世界だ。
「がぁ!?」
その人は右足を撃たれて身動きが取れなくなっていた。
「やめ——」
その瞬間、またうるさい音が響いて。
僕に赤く、べっとりとしたものが付着する。
目の前で人が死んでいく光景を何回も見てきた。
もう誰も、自分の目の前で死んで欲しくないのに。
自分より先に死んで欲しくないのに。
かなわない。
無理だ。
そんな弱音を吐いたって、意味がない事はわかってる。
常識は通用しない、この戦場。
何をしたら、人類は平和を手に入れ、何をしたら争い事はなくなるのだろう。
人類は歴史から学ばない。
過去から学ばない。
キューバ危機で戦争の恐ろしさを知ったはずなのに。
なんでまだ、核戦争寸前なんだろう。
ブロロロロ、と戦闘機の音が聞こえる。
…戦闘機じゃない。
爆撃機だ。
この戦場はもうすぐ終わる。
また逢う日まで。
大丈夫、僕は死なない。
「はぁ…もう一度」
これまでの出来事が脳の中をフラッシュバックしていくように、時間が巻き戻っていく。
「はぁ」
また、誰も救えない。
うるさい。うるさい。うるさい。
狂気に染まったこの戦場で、戦い続ける。
自分さえも、狂気に染まる。
誰も救いようがない。
そんな戦場で——
「二等兵の癖に突っ立ってんじゃねぇぞ!!!!」
上官の声が響く。
俺は腰にあったピストルを持って。
少し人差し指を動かすだけで——
敵兵が倒れる。
正確無比な銃弾。
これだけで階級は上がるだろう。
でも、爆撃機の襲来を抑えられない。
また、戻らなきゃ。
どんどん息遣いが荒くなっていく。
巻き戻らなきゃ巻き戻らなきゃ巻き戻らなきゃ巻き戻らなきゃ巻き戻らなきゃ——
そう考えているうちに、俺は。
`死んだ`
『もう一度』の一声も出せずに。
後ろにいた敵兵に殺された。
これで俺は終わり。
俺の物語はこれで終了。
戦争の結果はどうなるのかなんて…
今の俺に知るよしはない。
まだ、できてないこともあったのに。
ごめんなさい。
何もできなくて。
何も成し遂げられなくて。
もう、救えなくなっちゃった。
自分自身が壊れていって、意味なんてなくなったんだ。
最初から、戦争なんか行かなければよかった。
戦争がない国に生まれたかった。
平和な国に生まれたかった。
でも、今はどこも戦争してる。
平和な時代に、平和な未来に。
行きたかったなぁ。
生きたかったなぁ。
ごめんなさい。
皆さん。