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第一話 13歳のNo.16
春。まだ少し肌寒い風が吹く朝。
巨大な校門を前に、私
#名字##名前#は盛大にため息をついた。
「…なんで私が高校通わなきゃなんだよ…」
背中にはヒーロー用ケース。その中では小型草人がもぞもぞ動いている。
「栞ー!! 顔死んでるぞー!!」
後ろから聞こえる父である祐希の無駄にデカい声。
「声でけぇ…」
「反抗期!?」
「違ぇは」
母の悠は煙草でも吸いそうな顔で肩をすくめた。
「まあ気持ちは分かる。あそこ変人多いし」
「お母さん元教師でしょ…」
「だから言ってんの」
最悪だ。雄英高校、トップヒーロー育成校。そして、変人の巣窟と言っても過言ではない。
校門の前には既に人だかりが出来ていた。
「え!? あれウィリディスじゃね!?」
「マジ!? 本物!?」
「13でNo.16の!?」
「テレビより顔良くね!?」
「……帰りたい」
視線が痛い。褒められることが少ないから余計居心地が悪く感じる。
そんな私の前に、一人の緑髪の少年が勢いよく飛び出した。
「あっ……!!ウィリディス!?ぼ、僕、前に神奈川沿岸部の土砂崩れ救助見ました!! 草根を地盤固定に使う判断、通常なら七秒以上かかるところを二秒で――」
「近いです離れて今すぐ」
反射的に植物の蔓で距離を取る。
「す、すみません!!」
「……別に怒ってはないんですけど…」
その時だ。
「おいデク!!! 朝からうるせぇ!!!」
爆音。地面が揺れる。現れたのは灰金髪の少年で、あなたを見るなり目を細めた。
「……あぁ? なんでNo.16がここにいんだ」
「私が聞きたいです本当」
「ハッ、やる気ゼロじゃねぇか」
「普通に高校行くのにやる気しかない人珍しいですよ…」
「あ゙ぁ゙!?」
「…」
バチ、と空気が弾ける。周囲がざわつく。その瞬間。
「朝から騒がしい」
静かな低音ボイス。振り返ると、そこには右と左で髪の毛の色が違う紅白髪の少年。彼は私を見ると、一瞬だけ目を止めた。
「……ヴィリディス」
「……どなたですか…」
「轟焦凍だ」
「そうですか…」
「……思ったより小さいな」
「初対面で失礼ですねあなた」
「悪い」
悪いと思ってなさそうな表情だった。さらに、近づいてくる黒い鳥頭の少年。
「“深緑の英雄”ウィリディス……その異能、実に興味深い」
「厨二病ですか?」
「……違う」
「すいません…」
微妙に傷つけてしまった。そんな空気をガラ、と校門の上から降ってきた声が裂いた。
「……お前ら、登校初日から群がるな」
眠そうな目、捕縛布、そして鋭い視線。イレイザーヘッド、こと相澤消太 。私は固まった。母が昔、担任だった男。つまり、親の知り合い。
「……げ」
「その反応やめろ傷つくだろ」
「そうですか、合理主義教師が朝から校門立ってるの珍しくて怖いです」
「初日迷子対策だ」
「小学生ですか???」
相澤はじっとあなたを見る。数秒、沈黙。
「……先生にそっくりだな、口悪いとこ」
「最悪です」
周囲:
(((先生にその返しできる女子初めて見た……)))
相澤は小さくため息をつく。
「#名字#、お前は1-A預かりだ。面倒ごと起こすなよ」
「善処はします」
「信用できねぇ返事だな」
そして雄英生活が始まった。植物を操るNo.16ヒーローと、問題児だらけの1年A組の日常が。