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模擬戦
ある日の夜遅く。
2-3の生徒たちは、学校裏の山に来ていた。
誰もいない、暗い山。
ここに来た目的はただ一つ。
模擬戦をする。
敵が誰かはわからない。人間じゃないかもしれない。
でも、鍛えておくことに意味はあるだろう。
そういう悠の思考で、これが始まった。
悠「さて、今日は模擬戦するぞ!みんな、家族がいる奴は許可取って来たか?」
悠が声を張り上げる。
すると、悠、萌奈、千歳以外は許可を取ったと答えた。
紗季「そっか、この3人はご両親が居ないもんね。」
菜々「ひぃっ…!お母さんたちがいないなんて、どうやって生きてるんですか!?縁ちゃん、7人のうち3人って…。」
縁「菜々ちゃん、落ち着いて!…でも、私も、お母様やお父様、メイドがいないと何も出来ませんから、すごいと思いますわ…!」
龍太「ま、まじかよ!お、お前ら親いないの!?よく生きてこれたな…。すでに保護された萌奈はともかく、他の2人は保護とかされなかったのかよ…?」
家族がいるメンバーたちは、それぞれ色んな反応を見せている。
仲間達の家庭環境がこんなになっているとは思いもしなかったのだろう。
萌奈「まぁいいじゃん♡私、あんな奴らだいっきらいだったし!模擬戦?始めよ!2人ペアで順番に!まずは、悠と龍太♡!」
萌奈のいきなりの合図で、2人はそれぞれ、自分の能力使用の構えを取った。
悠は空を浮く。
そして、風の抵抗を利用して、力任せに龍太に体当たりする。
龍太「おわぁっ!?何すんだよ悠!!やられたらやり返す!」
龍太が地上から、溶岩並みに熱い炎を吹きかけてくる。
明らかに、キャンプやガス代を浮かせるのに使っていたとは思えない威力だ。
悠「あっつ!!熱い!!しぬ、しぬ!」
2人の空中と地上の距離有りバトルは危険性が高いが、高火力で、戦闘向き。
紗季「悠!!もっと高く飛んで!龍太も全力で火吹きなさい!!あいつの服焦がせー!!」
菜々「2人とも、が、頑張ってください!」
縁「引き分けは許しませんわよ!」
萌奈「やっぱ白熱してる〜!萌奈の選択はマチガイ無し、ってとこね♡」
千歳「うふふ、面白そうだねぇ…。僕の相手、誰なんだろう…?」
鑑賞席は大盛り上がりだ。
服焦がせは酷くないか、と悠は自分の幼馴染をチラ見し、すぐに龍太を地面に組み伏せる。
悠「おりゃっ!!この近距離で火出したらお前も自爆するぞ!!」
効くかはわからないが、軽く脅してみる。
龍太「待てよそれ、卑怯だろ!!おい!」
あ、効いた。
龍太はしょうもない脅しで大騒ぎしている。
…あれ、今押したら勝てるんじゃ…。
悠「決まり!!」
悠は、威勢の良い声をあげ、龍太に頭突きする。
龍太は言葉通り気絶して、悠の勝ちになった。
紗季「やるじゃないあんた!!頭突きなら、あいつのことだしすぐ起きるでしょ!」
紗季が笑ってそう言った瞬間龍太が飛び起きる。
龍太「負けたのは認める!!でも扱い酷くない!?」
龍太を除いたみんなの声から、笑いが漏れる。
萌奈「それじゃあ、悠と龍太の勝負が終わったので、次は菜々ちゃんと萌奈!」
菜々「え、わ、私ですか!?」
縁「これ、どっちが勝っても面白いわね…!」
悠「んじゃ、そろそろ初めるか!疲れるぞ。」
千歳「次はどんな戦いを見せてくれるのかなぁ…?」
萌奈「それじゃあ、バトルスタート!」
萌奈の合図で、奈々と萌奈は、さっきの2人のように構をとった。
萌奈「じゃあ、ホープダイヤモンド!」
萌奈は先が鋭い宝石を次々と投げてくる。
菜々「い、いやああああっ!!」
菜々は両手を、こちらに飛んでくる宝石に向ける。
すると、宝石はたちまち柔らかくなって地面に落ちた。
萌奈「やるじゃ〜ん♡」
驚く萌奈に向かって、菜々は腕を必死に振って走り、近づいていく。
菜々「10秒くらいで戻るようにしたし、大丈夫だよね…っ!」
菜々の手が萌奈に触れる。
すると、萌奈の体が水のように溶けて地面に広がった。
紗季「菜々ちゃんの勝ち!」
縁「やりましたわ!」
みんなが勝敗を見て楽しげにする。
萌奈「よいしょっと!あ、案外すぐに戻れたぁ!」
萌奈が液体化から戻って来た。
さて、次は誰だろう。
残り3人。
…あれ、1人余る。
__すると、千歳が声を上げた。
千歳「大丈夫、じゃあ、紗季と縁。2人がかりでかかって来て〜。」
もはやそれは、自爆にすぎない発言だ。
でも千歳は余裕そうにしている。
紗季「わ、わかった!縁ちゃん、2人がかりで倒すよ!」
縁「望むところですわ!」
龍太「それじゃあ、最後の勝負開始!」
3人は一斉に構えを取る。
一番に動いたのは、紗季だ。
紗季は、千歳の背後に回り込んで、すねの裏を蹴ろうとした。
だが、それは千歳の"手"によって防がれた。
紗季「え?!」
紗季が千歳の方を向く。
千歳は、左腕を外し、それを右手で持って押さえていたのだ。
彼の能力なら絶対にできる技。
千歳「じゃあ、次は僕の番だね。」
千歳が、自分の頭を取り外して投げて来た。
縁「きゃあああっ!!」
それが縁にぶつかり、縁は地面に転がる。
菜々「え、縁ちゃん!!!」
鑑賞席で、縁の親友である菜々は大声を出す。
でも、助けたい気持ちをグッと堪えて試合鑑賞に集中する。
千歳の攻撃は迷いがなく、そして強力だ。
縁「それなら、私と紗季ちゃんの関係を『協力性抜群のコンビ』に変えて、協力して迎え撃つ!!」
縁が、自分と紗季に、願いを込めて同時に触る。
2人の待とうオーラが変わった。
縁「紗季ちゃん、私が正面から突っ込みますわ!千歳の足元が緩んだら、背後から頭に__ぃっ!?」
縁がいい終わるギリギリで、千歳が縁を木に叩きつけた。
龍太「やっべえ、今回が一番容赦ないかも…。」
悠「なら俺は大丈夫か。」
龍太「頭突きと組み伏せの恨みは忘れてねぇから!!」
鑑賞席で騒ぐ2人。
菜々「縁ちゃん…。紗季ちゃん…。」
女の子同士、心配する菜々。
萌奈「おもしろーい!もっとやってぇ!」
元気いっぱいで応援する萌奈。
紗季「縁ちゃん!!」
紗季は、倒れた仲間のことしか頭におらず、千歳の存在を忘れて縁の方に駆け寄ろうとした。
だが、紗季も千歳からの攻撃で地面に叩きつけられた。
勝負、あり。
萌奈「終了〜っ!二対一で、なんと千歳の勝ち!」
縁と紗季は仕方ないという顔で笑っている。
千歳は、優しく不気味な笑みを浮かべたままその場に立っている。
悠「じゃ、山降りるか!」
みんなで山を降りる。
そして、深夜の戦闘タイムが終わったのだった。