公開中
【第四話】~記録にない名前~
作業室にて…
『ガチャ』
「あっ〜!お兄ちゃんやっと帰って来た!」
カイはノアを指差した。
「カイ…後ろにいる女の人誰かだろ?」
ツクヨミがカイにひっそりとそう言う。
「こいつは…」
「かわいい〜‼︎」
ヴェルナはイルを遮り、2人に抱きついた。
「ちょっ…何してっ…!」
カイが急の出来事に驚く。
「ほらっ…ツクヨミもなんか言って…てっ! 固まってる!」
「急に抱きつかれるなんて…どうすれば…」
カイの言う通りツクヨミは困った様子で体が固まっていた。
「……ヴェルナ。離れて下さい。」
ノアが口を開ける。
すると、2人に抱きついたまま、ヴェルナが驚いた表情で話す。
「ノアが人のこと心配するなんて珍しい〜」
性格変わった?といつも通りノアちょっかいをかける。
「やっと…抜け出せた…」
カイが疲れたように言う。
「そんなことより早く本題に行くぞ。」
2人が逃げるのを見て寂しがるヴェルナを見ながらそう言う。
「え〜。つまんないの〜。」
でもしょうがないかとヴェルナは立ち上がる。
「お兄ちゃん本題って?」
ツクヨミが聞く。
「あっ!もしかしてあの人のことか?!」
カイが先ほどの疲れ切った姿が嘘のように生き生きとした声を出す。
「いや、それじゃない。」
「そっか…」
その言葉にカイは落ち込み出す。
イルの視線が、ふと冷える。
「急で悪いが。カイ、ツクヨミお前ら外から来たな。」
「……え? 」
イルの突然の言葉に2人は驚きを隠せなかった。
「そ…れは…」
ツクヨミの声が詰まる。
するとカイがツクヨミの前に出た
「いつからだ……?それより拷問でもして情報を吐かせようってか…」
その声は不安と恐怖が入り混じったものだった。
「聞いてどうする」
イルの冷たい声が部屋に響いた。
「そんなに怖がらないでよ〜今は怖いことはしないからさ!」
ヴェルナが2人を安心させようと穏やかな表情で話しかけるが裏には違う顔が隠れていた。
「知っていることを全て吐けというわけではない。話せる範囲でいい。」
しばらくするとカイが突然口を開いた。
「…俺が最初にこの島のことを聞いたのは2年前。《竜伝島》って言うお伽話だった。これを読ませてくれたのは俺たちの恩人。その前俺たちは孤児でずっと孤児院で暮らしてた。」
「そんな私たちを恩人は引くとってくれたの。」
ツクヨミが続けて言う。
「それから恩人にお金の使い方とかスリの捕まえ方とか色々なことを教えてもらった。」
「でもなんで君たちはこの島にきたの?」
ヴェルナが2人に問う。
「それは……」
カイの声が詰まる。
「……ある日突然仕事から帰って来なくなったの。」
ツクヨミは何かを決心したのか彼女の目は鋭くなっていた。
「なっ…!ツクヨミなんでっ!」
カイは何かを焦るように必死に言った。
「でっ、でも!言わないとどこにいるか分からないじゃん!」
「そ、そうだけど…」
カイが下を向く。
「ちょっとノアこの喧嘩止めないの⁉︎」
ヴェルナがノアにヒソヒソと話しかける。
「……まだ何も言われていないので。」
「ちぇ。つまんないの。イル止めた方がいい?」
イルの方を向く。
少し考えてからイルは逸らしていた目を2人に向け言った。
「話したい方だけ喋れ。」
「……。」
2人は黙り込んだ。
ツクヨミが口を開く。
「あ…あの人の仕事の内容は教えてくれなかったから分からなかったけど…一回仕事に行ったら絶対三日は帰って来ないの。だから最初はあんまり気にしなかった。でもおかしいと思って。良く家に来るあの人に聞いた。あの人は怖かったけど会うたびに仲良くなって……」
「ちょ、ちょっと待って。さっき言ってた恩人とあの人って違う人だったの⁉︎」
「う…うん…。」
ツクヨミが呆れるように言う。
「……今気付いたんですか?」
イルの後ろにいたノアがヴェルナに対して皮肉の言葉を発した。
「え〜。何〜。珍しいじゃんノアから話しかけるなんて。」
そのときのヴェルナはなぜか少し楽しんでいるように見えた。
「……あなたは一々うるさいですね。」
「はぁ〜⁉︎まともに話さないヤツに言われたくないんだけど!」
「えっと……。」
ツクヨミが困ったようにイルを見る。
「…ノア、ヴェルナ。無駄口を叩くな。」
「……すみません。」
「は〜い。」
2人が謝意を示すとヴェルナがノアに口を挟んだ。
「ねぇノア今ちょっと殺気出てたでしょ。楽しい?」
ヴェルナがノアの顔を覗き込む。
「……意味の分からないことを言わないでください。」
ノアがそれに言い返す。
「え、え〜っと…。」
するとずっと黙っていたカイが言った。
「は、話…戻すけど…その後あの人は『俺たちも恩人にようがあるから一緒にさがそう』って言ってくれたんだ」
カイは静かにそう言う。
「カイっ…」
ツクヨミはカイからも話してくれたことがよっぽど嬉しかったのか声を上げ抱きついた。
そして、ヴェルナとノアがまたひそひそと話し始める。
「…今のの何が良かったんだろ。私全然わかんないや。」
「……それは俺もだ。」
ノアがヴェルナに珍しく共感する。
「子供は良く分からないものだな…」
この発言にヴェルナが反応する。
「イルでも分からないんだ。」
ヴェルナはへ〜と興味を示す。
「ああ。」
「本当の本当?」
「そうだと言ってるでだろ。」
煩わしい思いつつもイルは返答をする。
「それで続きを聞かせてくれるか?」
イルが2人に聞く。
「うん!」
2人の声が綺麗に揃った。
「あの人とはあれから1年半くらい一緒に旅をしたんだ。」
続いてるツクヨミが発する。
「それで旅を始めて半年くらいの時に恩人がお伽話に出てくる竜伝島が
がほんとにあることあの人が向かった場所がここって言うことがわかったの。」
「へ〜。だからこの島に…」
なるほどとヴェルナは頷いた。
「……ヴェルナ。重要なことを忘れてますよ。」
ノアがヴェルナに声をかける。
「重要なこと?」
ヴェルナが首を傾げると同時にノアがイルの方に顔を向ける。
「それで。あの人はどこだ。島の情報は探せば出てくる。だが、入るのは別だ。二人だけで来たと思えない。」
イルは2人に疑問を投げつける。
「ああ。俺たちはあの人と来た。悪いけど俺たちが話せるのはここまでだ…」
---
机に3つの小さな火玉が落ちる。
---
[来訪者記録書]
[訪問者 二名][侵入者 一名]