公開中
#7 推しであり友である。故に推し友。
「今日も推しg⋯」
「ちょっと待て」
昼休み。いつものように叫ぼうとしたら親友からストップがかかった。
「なんだ?気持ちよく叫ぼうとしていたのに」
「気持ちよく叫ぶな。じゃなくて。なんで新島くんがいるの!?」
親友がビシッと新島さんを指差す。
新島さんは何やら少し困ったように眉を下げた。
は?尊っ。
「昨日ヲタク会話が聞かれただろう?」
「会話っていうか君が一方的に話してるだけだよ」
「新島さんって中学校の頃色々あって友達とかあんまり作らないようにしてたんだよ」
「うん。なんでそれをお前が知ってるのかはもう聞かないけどさ。で?」
「新島さんが『自分をよく思ってて恋人探しに困らなさそうな顔してる人なら友達になりたかったんだ』って話してきて」
「嫌なヤツだな。それで?」
「『じゃあ推し友ってことで』って返した。」
「なんだよ推し友って」
「推しであり友である人のことだ。」
あーそう。と投げやりな態度の親友。
そんな親友の態度を見て推し友が不安そうに親友の方を見た。
「ごめん七峰くん。嫌なら俺は別の場所でご飯食べるよ。」
「⋯いや、いいよ。一緒に食べよう」
どこかホッとした様子の推し友にな?断られなかっただろ?といった意味の視線を送る。
それを察した推し友はへにゃりと笑う。は?尊いな。
しばらく俺達はもぐもぐとご飯を食べる。
「今日も推しがt⋯」
「わかった!わかったから。悪かったよ遮って。二度も叫ぼうとするな!」
ゲッソリとした顔の親友のツッコミに推し友がクスクス笑う。
「で?今日は誰の話なの?」
「あ、俺も気になる。」
親友は社交辞令、推し友は乗り気で聞いてくる。
あー。ここが天国か。このままこの二人がいかに尊いか話しても全然いい。
いいが、そうすると、今日の推し話ができなくなる。
「よくぞ聞いてくれた我が親友と我が推し友!」
「思ったんだけど推し友って言いづらくない?高嶺くん。」
「いや、そんなことは全く無い!」
もういいから早く話せ、と野次を飛ばす親友とニコニコ聞いている推し友。
案外似たところが多いと思う二人だが、ここまで正反対な反応をされるとあぁみんな違ってみんな尊いな、と思う。
「今日はいつもと少し違う。推しカプができたのだ!」
「はぁ。で?誰と誰?」
「小林美春さんと、s⋯」
「ちょっと待て。」
急に親友からストップがかかる。
今日はよく親友がストップをかけるなぁと思いながらなんだい?と聞く。
「この前小林さんは推しじゃないって言ってなかった?」
「あぁ。単体は推しじゃない」
不思議そうな顔をする親友の隣で推し友がなにか納得したような顔をした。
「あぁ。だから推しカプ。で?相手は?」
「よくぞ聞いてくれた我が推し友!その名は佐藤勝斗くんだ⋯!」
しばしの沈黙が流れる。
何やら反応が悪いな、と思っていると、推し友がオズオズと手を挙げた。
「えっと、誰?先輩?」
「いや、他校の生徒だ!」
「あぁ、だから聞いたことがなかったのか」
親友が他校の生徒の名前までよく知ってるね?と疑いのこもった目を向けてくる。
それを華麗にスルーして俺は今日起きたことを語り始めた。
あとがき
次回に続きます。