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#2 ykdn事件
その日は、練習試合のあとのバタバタした片付け中だった。
「あ、あの……ボール、あと一個……探してきますっ……!」
#名前#はいつものように、ブカブカの黒いパーカーのフードを深く被ったまま、体育館の倉庫へと急いでいた。
視界が狭い上に、目に涙が溜まってて足元がよく見えてない。
曲がり角。そこに、ちょうどドリンクの空ボトルを運んできた国見がいた。
「わっ……!」「え、ちょっ――」
ドサッ、
と鈍い音がして、二人の体が重なるように床に倒れ込んだ。
……はずだったが、
#名前#がぎゅっと目を閉じて覚悟した衝撃は来なかった。
おそるおそる目を開けると、目の前には至近距離で、少し顔をしかめた国見の顔。
国見はとっさに手を突いて、#名前#を押しつぶさないように庇ってくれていた。いわゆる
「床ドン」の状態。
「…………#苗字#、危ないんだけど」
国見の低い声が、パーカー越しじゃなく、すぐ耳元で響く。
#名前#の心臓は、今までにないくらいバクバクと暴れ出した。
「ひっ……あ、あの、えっと……! ごめ、なさい……っ!」
パニックになって逃げようとするけど、国見の腕の中に閉じ込められた形になっていて動けない。
#名前#の目からは、いつものようにポロポロと涙がこぼれ落ちる。
「……また泣く。わざとぶつかったわけじゃないんだから、泣かなくていいでしょ」
国見は呆れたようにため息をついた。でも、その目はいつもより少しだけ優しくて。
ふと、国見の視線が、#名前#の乱れたパーカーの襟元に向いた。
「…………!」
何かを見つけたのか、国見の動きが止まる。
至近距離で見つめ合って(#名前#は泣きじゃくってるけど)、静まり返る体育館の隅。
「おい国見ー! 片付けサボって何して……って、うわあああ!?」
そこに運悪く(?)、空気の読めない|金田一《きんだいち》が登場。
**「な、ななな、何してんだお前ら! |破廉恥《はれんち》だぞ! |及川《おいかわ》さーん! |岩泉《いわいずみ》さーん!!」 **
「__ちょ、うるさい金田一……っ。__これには事情が……」
慌てて飛び起きる国見と、顔を真っ赤にしてパーカーの中に完全に潜り込んだ#名前#。
結局、パーカーの理由は聞けずじまいだったけど、
国見の頭の中には、さっき一瞬だけ見えた「何か」が焼き付いて離れなくなった。
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短くてごめんなさい🙇♀️