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ゼロカラトギスマスイセカイセイカツ 番外編 VS.暴食
「…あの人は…何だったのでしょう…?」
「あ…戻った……。俺が…死に戻りについて…言及したから……俺が………俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が____!!」
「スバル!」
オットーがスバルをビンタする
スバルの肩が震え、呼吸が壊れる
「なんだよ!友達に相談もできねえで、1人抱え込むなよ!ナツキ・スバル!……エミリア様に。そう言ったのは、あなたでしょうが」
「オッ、トー…?」
「僕はあなたの友達です。それに、『ユージン』なんでしょう? だったら、一人で抱え込まないでください。友達の悩みくらい、聞かせてくださいよ。ナツキさん」
「オットー……………すまん…トイレに__」
「駄目です」
「……」
「一人にならないでください、ナツキさん。今のあなたを一人にするほど、僕は楽観的じゃありません」
「一人になったから…監視塔で…記憶を失ったんじゃないですか?」
「……っ」
「同じ失敗を、僕が二度も許すと思いますか?あの時…僕がついてきていれば……いえ、言い訳です」
「オットー…俺は…………」
その時だった。
背後から、ぞっとするほど楽しげな声が響く。
「いいねェ……やっと相談しようとしたんだァ?」
「オットー・スーウェン__イタダキマス!!!」
「オットー!!!!」
「……ごちそうさまでした」
「…………あ……………オットー?え……?なぁ……返事しろよ……また……友達って言って…俺を叱ってくれよ………オットー……なぁ!!!!返事してくれよ!!!」
「いやァ。今のお兄さんの絶望……食べられないのが残念でたまらないよォ」
スバルは足元に落ちていたナイフを、自分の首に突き立て……首に刺し自殺する
時間が戻る
「同じ失敗を、僕が二度も許すと思いますか?あの時…僕がついてきていれば……いえ、言い訳です」
「オットー………生きてる……………オットー!!!!」
その数秒後
「「いいねェ……友情ってさァ。スルメイカみたいに食べ応えがあるんだァ」
「__あ」
「オットー・スーウェン__イタダキマス!!!」
「オットー!!!!」
「……ごちそうさまでした」
「また…………?俺は…………誰も……守れずに………っ」
ナイフを手に取る
「また……戻れば……オットーに………」
暴食がナイフを壊す
「もったいないなァ。自殺なんて。楽になれると思わない方がいいんじゃないかなァ?だって……絶望って…………見てるだけで…食べたくなるんだァ!まだ壊れきってないよねェ?まだまだ泣けるよねェ?もっと失ってから死んでよォ」
スバルの肩が震える。
握り締めた拳から血が滲む。
「……てめ…てめぇ……っ暴食!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「俺たちを憎んでも……あの男みたいな…哀れな人間が……味わい深い人間が……生まれるだけだよォ?」
「今……ここでお前を………………ぶっ殺してやる!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「…はは…お前ら全員殺して……俺の手で…終わらせてやる…」
「やってみなよォ?」
「死ね!暴食!!」
ロイは攻撃を避けて
「さーて…俺たちの腹はまだ満たされないよォ?ベアトリス!イタダキマス!」
「…!不完全EMTかしら!!」
紫紺の障壁が展開される。
だが次の瞬間、ベアトリスの瞳が見開かれた。
不完全。一方面にしか展開できてない__
背後から、牙が届く。
「……ごちそうさまでした…」
「ベア子……?」
「暴食……俺から一体、何人奪うんだ?」
「何人奪えば気が済むんだ?」
「セシルスを奪って……エミリアを奪って……オットーを奪って……ベア子まで……」
「……次は誰だ?」
「あそこの虎みたいな金髪の兄ちゃん…ガーフィール・ティンゼル…だっけかなァ?あの兄ちゃんを食べた時のお兄さんの顔、今から楽しみなんだァ」
「……あ……」
「俺は……何もできない」
「何も成し遂げられない」
「セシルスも守れなくて……エミリアも守れなくて……オットーも……ベア子も……」
「俺は……無力で……馬鹿で……」
「何もできないまま……仲間が……みんなが……」
「……俺のせいで……」
ロイはその光景を…笑ってみていた
「大切な人がどんどん消えていくのって、辛いよねェ」
「でもさァ」
「まだ終わってないよォ?」
「やめろ…なんで……っ」
「だってまだ残ってるじゃん」
「ガーフィールも」
「ユリウスも」
「ラムも」
「そんなに奪って……俺に…どうして欲しいんだ?俺がそれをすることによってお前の欲求が…満たされるなら……俺はなんだってするっ…」
「違うよォ」
「返してほしいんじゃない。壊れてほしいんだァ」
「____」
「ねェ?分かる?俺たちの気持ち…分からないかなァ?もっと……暴飲、暴食…させておくれよォ〜」
「暴…食…」
「ガーフィール・ティンゼル、イタダキマス!!!!」
「やめろ……俺からもう……何も……何も奪うんじゃねぇ……」
「大将!!絶対負けんじゃねぇぞ…?」
「……ごちそうさまでした」
「そうだ……」
なんで使わなかったんだろう。なんで……なんで……
「インヴィジブル・プロビデンス」
見えざる手がロイを攻撃して
「コル・レオニス」
みんなからマナを徴収して
「ふぅぅぅぅぅ…………アル・シャマク…」
発動しない。何もない。
なんで?なんでなんでなんでなんでなんでなんで__!!
「どうして……っ」
「惨めだなァ。お兄さん。自分のできることとできないこともわかんないなんて…」
「うるさい」
「何もわからない。何も把握できない。お兄さんってもしかして…馬鹿なのかなァ?」
「黙れ」
「そうして何回も何回も失敗して最終的に殺される…そんな運命を歩むのかなァ?」
「お前に俺の何がわかる…」
「そうして…俺たちの最高の餌になる…」
「やめろ…それ以上しゃべるんじゃねぇ…それ以上俺を侮辱するんじゃねぇ…もううんざりなんだ…何かに言われて…何かに怯え続けるなんて…誰かに奪われて…奪った本人を殺すなんて…何回やっても…何回繰り返しても…嫌なんだ。うんざりなんだ。もうやりたくないんだ…俺は…死に戻りをして…ここまで来た。暴食、ロイここでお前を…苦しめ続けて……苦しめ続けて……老衰が近くなってきた頃にぶっ殺してやるよ…暴食。これが俺の…絶対に次で成功させる…俺のこの『絶望に抗う賭け』を!俺の『たった1つのクリアルート』を!ここがどんな『絶望の始まり』だったとしても…俺の…俺だけの…『鬼がかったやり方』で…何度俺が…『ナツキ・スバルのリスタート』を刻むことになったとしても!俺はお前をここでぶっ倒す!そう思うことに…そう勇気を|滾《たぎ》らすことに…意味がある…それこそが『勇気の意味』!そして俺が… 『英雄 ナツキ・スバル』だ!!!!」
漆黒の見えざる手が、ロイの胸を掴んだ。
「……え?」
ぐしゃり、と心臓が握り潰される。
ロイの身体が崩れ落ちた。
静寂。
スバルはその死体から剣を引き抜く。
「ここから始める……ナツキ・スバルの……『ゼロから始める異世界生活』を……!!!!」
そして、自らの首を切り裂いた。
__時間が戻る。
「同じ失敗を、僕が二度も許すと思いますか? あの時……僕がついてきていれば……いえ、言い訳です」
スバルはゆっくりと顔を上げる。
「……戻ってきたぜ」
その顔に、以前のような諦めはなかった。
そこにあったのは、覚悟だけだった。
「みんな!暴食に気をつけろ!!全方向厳重警戒!!」
「ナツキさん?」
「オットー・スーウェン…イタダ__」
「インヴィジブル・プロビデンス!!!!」
見えざる手がロイを襲う
「がぁ!?」
「…!アルデバラン…イタダキマス!!!!」
スバルは…その光景を静観していた
「…え?」
「…ごちそうさまでした」
「…あれ…ここ…どこ…だ?」
「あァ…記憶が流れ__」
「ここからが…俺たちの反撃だ!!」
ロイの顔から、初めて余裕が消えた。
「待っ__」
見えざる手が、再びその身体を拘束する。
「う、あ……っ!」
「暴食」
スバルの声は、怒鳴るでもなく、冷たかった。
「二度と同じ苦しみを味わいたくなかったら、記憶を返せ」
「やめろ……っ!また死ぬ……っ!やめろォォォ!!」
ロイの瞳が、恐怖に染まっていた。
それは傷の痛みではない。
アルデバランの記憶に触れた者だけが見る、終わりのない“領域”への恐怖だった。
ロイの身体が地面を転がった。
「やめろ……っ!また死ぬ……っ!戻る……戻る戻る戻る戻る……っ!!」
その瞳は焦点を失い、見えていない何かを見続けている。
スバルは静かに息を吐いた。
「……アルの記憶を見たんだな」
「来るなァ!!」
ロイが悲鳴を上げる。
「死ぬ……死ぬ……死ぬ……っ!終わらない……っ!あの領域は……っ!」
オットーが顔を引きつらせた。
「ナツキさん、これ……」
「暴食が記憶を食った結果だ」
スバルの声は、驚くほど冷静だった。
「他人の人生を覗くことには慣れてても、“終わらない死”には耐性がなかったらしい」
ロイは頭を抱え、地面を掻きむしる。
「いやだ……っ!戻るのは嫌だァ!!また同じところに……っ!」
その姿は、もはや魔女教の大罪司教ではなかった。
ただ恐怖に壊れかけた、一人の人間だった。
「今だ、全員下がれ!」
スバルの指示に、ラムとユリウスが即座に動く。
ガーフィールが眉をひそめた。
「大将、今ならやれるんじゃねぇのか!?」
「やれる。だからこそ、まだやらない」
「……は?」
スバルはロイから視線を逸らさない。
「こいつは今、アルの記憶に飲まれてる。下手に近づけば、何を食うかわからない」
ベアトリスが小さく頷いた。
「正気と狂気の境目にいる、というわけかしら」
「ああ。だからここからは、力押しじゃない」
スバルは一歩前に出る。
「交渉だ」
ロイの肩がびくりと跳ねた。
「来るな……っ!」
「安心しろ。食うなとも、死ねとも言わない」
スバルはゆっくりと膝をついた。
「俺が欲しいのは一つだけだ」
ロイの瞳が揺れる。
「……なん、だよ……」
「返せ」
短い一言だった。
「セッシー、エミリアの記憶と名前を」
ロイは震えながら笑った。
「は、はは……っ!返したら……俺を殺すんだろォ……?」
「殺さない」
「嘘だァ!!」
「じゃあ聞く」
スバルの目が、まっすぐロイを射抜いた。
「もう一度、アルの記憶を全部見るか?」
ロイの顔から血の気が引いた。
「やめろ……」
「返さないなら、俺はアルに頼む」
「やめろォ!!」
「お前に“領域”を最後まで見せる」
「やめろやめろやめろやめろォォォォ!!」
ロイは耳を塞ぎ、子供のように叫んだ。
静寂が落ちる。
誰も動けなかった。
スバルだけが、静かに言った。
「選べ、ロイ・アルファルド」
「セッシー、エミリアの記憶と名前を返すか」
「それとも、“終わらない死”をもう一度味わうか」
ロイの瞳から、涙がこぼれた。
「……っ、なんで……」
「なんでお前が……そんな目をするんだよ……」
スバルは答えなかった。
ただ、その目には確かにあった。
絶望を知った者だけが持つ、静かな覚悟が。
勝った…俺たちが…勝ったんだ
空を見ると……数羽の白い鳥が飛んでいた。
「__あの鳥って…監視塔の時に…」
<`「ええ、始めましょう。地獄を。ループを。終わりなき世界へ。今、|誘《いざな》いましょう」`>
「__あ」
白い鳥が、スバルの肩にとまった。
その瞳が、静かにこちらを見つめる。
どこかで見た白だった。
監視塔で。
いや__もっと以前に。
「__あ」
次の瞬間、世界がずれた。
時間が戻る。
「__あ」
「なんでお前が……そんな目をするんだよ……」
死んだ?戻った?なんで?何があった?何をした?なんで死んだ?原因は…?理由は……__
<`「あら、死んじゃいましたか?」`>