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「貴方をここへ連れてきた張本人、と言えばわかりやすいかしら?」
紫さんの言葉に、私は思わず身構えた。
『紫さんが、私をここへ?』
「えぇ、その通りよ」
余りにもあっさり肯定され、逆に言葉を失う。
『どうして...?』
「どうして、ねぇ。」
紫さんは、口元に扇子を当て、小さく笑った。
「その質問に答える前に、一つだけ聞かせてもらえるかしら」
『何ですか?』
「貴方は、死ぬつもりだった?」
その問いに、私は迷わず答える。
『死ぬつもりでした。』
「そう。」
紫さんは、それ以上責めたり、慰めたりはしなかった。
ただ、静かにこちらを見ているだけ。
少し怖くなって、
目線を下に逸らす。
「理由は聞かないわ。」
『......。』
「興味がないからね。」
その一言に、私は思わず顔を上げた。
単純に、興味がない。
そう言われると、
不思議と不快感はなかった。
「私が貴方に興味を持ったのは、貴方自身ではない。」
「貴方の才能、それに興味を持ったのよ。」
『才能...?』
そんなもの、私にない。
反射的にそう思う。
「そういう顔をすると思っていたわ。」
紫さんは少しだけ楽しそうに笑った。
「自覚がないのも当然。」
「だって、今まで誰にも気づかれなかった。」
「いや、気づくほど、貴方を見ている人がいなかった。」
「外の世界では、本当に僅かな違い。」
「だけど、幻想郷では、それはとても大きな違いになる。」
『だから、その才能って...』
問いかけようとした瞬間、
「ちょっと。」
今まで黙っていた巫女が口を開いた。
「立ち話で済ませる気?」
「長話なんだから、お茶ぐらい出してからにしなさいよ。」
「あら、ごめんなさい。」
紫はくすりと笑う。
「そうね。霊夢、お茶を出してくれるかしら?」
「はぁー、図々しい。」
そうため息をつきながらも、
巫女さんはどこか楽しそうだ。
『色々と、ごめんなさい。』
何かをしてもらうと、少し申し訳なくなって、
反射的に謝ってしまう。
「あー大丈夫よ。いつも通りだから」
先程の言葉が、私の脳内で繰り返される。
才能。
そんな言葉をかけられたのは、初めてだった。
けれど、
嬉しいとは思えない。
それよりも、
どうして私なんだ。
その疑問だけが、胸の奥に引っ掛かり続けていた。