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#2
「やったぁぁ!高校受かった〜!!」
「私もー!音羽、今日お祝いでどっか行こうよ」
「あ、じゃあ新しく建った駅前のカフェとかどう?」
「いーねー」
…これで、はるくんと同じ高校に通える…!
私はこっそり、心の中で呟いた。
もちろん、友達の花鈴と結芽と同じ高校に通える、というのもあるのだけれど。
これが、…一番の目的だった。
はるくんはこんなこと知らないだろう。
今すぐにはるくんに伝えたい気持ちもあるけれど、花鈴と結芽とカフェに行くことになっちゃったから、あとにするしかない…か。
はるくんのことバレたくもないし…。
昔から、私は引っ込み思案だった。
でも、はるくんだけは一緒にいてくれた。
花鈴と結芽と友達になれたのも、私に寄り添ってくれたはるくんのおかげ、と言ってもいいかもしれない。
はるくんに、友達が欲しい、と相談して、「勇気を出したら、きっと仲良くなれるよ」と言ってくれたあの頃のはるくんは、とても輝いていた。
私にとっては、いつでもそうだった。
はるくんは隣の家に住んでいて、保育園に通うより前からずっと一緒に遊んできた、幼馴染…でもあり、私の…好きな人、だった。
いつからか私は、密かにはるくんに想いを寄せていた。
でも、はるくんは中学受験をして、遠くの学校に行ってしまった。
小学校の頃、はるくんは行きたい高校を教えてくれた。
だから私は必死で受験勉強をして、高校受験をしたのだ…。
「カフェ美味しかったね〜」
「ね〜」
私たちは電車に揺られて帰る。
はるくんは今頃、なにをしているんだろう。
花鈴と結芽と話していても、なぜか気にかけてしまう。
花鈴と結芽と別れて、私は家路についた。
家の鍵を開けるときも、はるくんの家をちらっと見てしまう。
「高校での生活、楽しみだなぁ…」
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部屋に入ると、はるくんに『高校に受かった』というLINEを送るのも忘れて、ベッドに寝転んだ。
高校に受かって沢山喜んで、カフェにも寄って、少し身体が疲れているのかな、と思い、私はそのまま眠りに落ちた…。
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「あれ…朝…?」
小鳥たちのさえずりが響く。
カーテンの隙間から、朝の木漏れ日が落ちてくる。
私は目を擦りながら身を起こし、スマホを開いたところで、思い出した。
「…あっ、はるくんにLINE送るの忘れてた…!」
どうしよう。
せっかくのチャンスだったのに。
何もない今日に急にLINE送っちゃったら、引かれそうで怖い。
やっぱりまだ私は、引っ込み思案なのかな…。
「…そうだ」
入学式の日に言おう。
この考えがしっくりきた。
入学式の日なら…一緒に高校行ったり、できるかな…。
それはまだちょっと緊張するけど…でも、入学式の日にLINE送ろう。
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入学式までの日々は、あっという間に過ぎた。
気がつくと、もう入学式の朝だった。
スマホのアラームを止め、いつもより少し早めにベッドから離れる。
身支度を整え、私はスマホを握って深呼吸する。
LINEアプリのアイコンをタップし、久しぶりに"はるくん"というトーク画面を開く。
少し震える指で文字を打つ。
「なんかこうやってやりとりするの久しぶりだね。合格発表の日は言わなかったけど、私、はるくんが行きたいって言ってた高校受かったよ。そっちはどこの高校?」
この文章でいいかな、と何度も何度も読み返す。
少し手汗が滲む手で_送信を、押す。
すると思っていたよりもすぐ既読がつく。
そして…返事が、来る。
「え、音羽もあの高校受かったの?俺もそこ受かったよ」
やっぱり、はるくんはまだこの高校を志望していたんだ。
昔から、夢に向かって一直線なところは変わらないなぁ。
少し緊張が解け、再び文章を打つ。
私は勢いで_送信を、押した。
「入学式、一緒に行く?」
送ってしまってから、少し胸が高鳴った。
でもそれを感じる暇もなく、既読がつく。
返事が_来た。
「いいよ」
たった三文字だった。
なのに私の心臓は早鐘を打ち始める。
はるくんと、一緒に…高校に、行けるんだ…。
私はドキドキしながら、最後にもう一度持ち物と身だしなみをチェックして、家の外へ出た。
はるくんが、先に待っていた。
私は思わず黙ってしまう。
けど、はるくんに教えてもらったように、勇気を出して…言葉を発した。
「こうしてちゃんと顔合わせるの、久しぶりだね」
はるくんは少し戸惑った様子で、
「…まぁ、うん」
と答える。
心臓の鼓動が高まるなか、私たちは高校に向かう。
時々、言葉を交わしながら。
はるくんは、帰りは親と帰るらしい。
大事な日に迎えにくるはるくんのお母さんも、変わってないな、と思った。
なにもかも昔と同じようなのに、空気だけが完全に違った。
それは幼馴染ではなく_異性、だった。
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入学式を終え、私ははるくんと別れて、高校を出る。
それからほんの10分後、ある転換点を迎えると知らずに_。