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#1 血の忠義をあなたに(シリーズ1)
夢雲ふわり様からのリクエストです。
リクエストありがとうございます。
あぁ、今日が命日か。
真冬にも関わらずザァっと降るたくさんの雨が容赦なく体温を奪っていく。
俺はできるだけ濡れないように、体を小さくする。
両親は賭け事に夢中になって何かと金がかかる子供、つまり俺が邪魔になった。
だから、捨てられた。
正直奴隷として売られなかっただけまだマシなのだろう。
ただ、子供だからといってどこも働かせてはくれない。
かといって孤児院に行くと「あなたには両親がいるのだからここに来るべきではない」と追い返される始末。
帰れるなら、とっくに帰ってる。
だから俺はしばらくスリで稼いだ。
たまに捕まって酷い目に合うが、それでも成功すると多くの金が入る。
それでなんとか食いつないでいたのだが、それもある日できなくなった。
ある貴族にスリを働き、それが運悪く見つかってしまった。
貴族は「二度とスリができないように」と、俺の足をハンマーで叩いたのだ。
叩いて、叩いて。
気づけば気絶していたようで起きたら足がひどい状態だった。
当たり前だが、医者に行くお金なんてない。ましてやこの足だ。そもそもいけない。
俺はなんとか這っていつもの寝床へ帰り、その日からずっと、ここから動けない。
寒い。お腹が空いた。痛い。苦しい。⋯寂しい。
夜だし寝てしまおうか。寝たら二度と目覚めることはないだろうけど。
これも天罰だ。スリなんて犯したから。俺はゆっくりと目を閉じる。
「ねぇ、君。家族はいないの?」
不意に頭上から優しげな男性の声が聞こえた。
のろりと顔を上げるとアルビノなのだろう白い髪に赤い目の身なりの良い男性が立っていた。
「⋯だったら何?見世物じゃないんだよ。どっかいって。」
「ねぇ、君。私と家族にならない?」
「⋯。」
家族、か。
家族になればご飯がもらえるだろう。
貴族っぽいから家もあるし金もありそうだ。
なぜこの掃き溜めの場で俺を選んだのか知らないが、きっと何かに利用できると思ったのだろう。
お互いに利用し合う関係。
それを家族と呼べるのかは知らないし、何より怪しい。
けど、どうせ死ぬんだ。嫌になったら逃げ出せばいい。俺はコクリと頷く。
「いいよ。家族になってあげる」
「本当?ありがとう。じゃあ⋯」
青年はゆっくり近づき、僕のそばに顔を近づけると大きく口を開いた。
そこに人間らしからぬ大きな牙を見た直後、僕の首に鋭い痛みが走った。
噛まれたのだろう。
「いっ!」
思わず声を上げる俺に構わず、青年はゆっくりと血を吸っていく。
吸血鬼。その化物の名が脳裏によぎったがもう遅い。
どんどん血が吸われていく感覚に頭がクラクラし始める。
すると、青年はパッと首から離れていく。
吸い終わったのか、とぼんやり思っていると、青年は急に鋭い牙で自分の舌を噛んだ。
一体何を⋯?と思っていると顎を持ち上げられる。
そして青年は俺の口を無理やり開けられる。
ぬるりと血だらけの舌が入れられてくる。
「ふ⋯。ぁ⋯」
互いの口が離れたところで、俺の意識が途切れた。
あとがき
中世ヨーロッパ風の異世界設定なのですが、異世界ネタあまり書かないので変かもしれません。
難しい⋯。
リクエスト作品なのでR18にするのはマズいかなーと思ってはいたのですが、ちょっとこらえきれませんでした。すいません
あ、吸血鬼って血を吸われて吸血鬼の血を体内に取り込むと増えるって情報を信じて書いたのですが、違ったら教えてください。