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空に浮いたら。番外編1 蓮ver.
今回は蓮くんのおはなし!一部を描いたものなので、蓮くんの苦労はこれよりたくさんあります。
今回はその中で一番大変だったであろう話。
何で書いたかって?これ書かないと伏線回収が間に合わないからですよ。
伏線張りすぎたものの末路です。
僕は過去の記憶..........龍にーちゃんがワカタケルだった頃の記憶を持っていた。
龍にーちゃんに行くはずだった記憶が、僕の方に来ちゃったんだ。
だから少しでも手伝いをしたくて無理やり彩花 日和と一緒に帰らせたりした。
それでもやっぱり助けることはできなかった。そんなとき。
『お前は哀れな小僧だなぁ。兄を助けるためにここまでやってきたのに無駄になってしもうて。』
目の前に和服を着た女の人が出てきたんだ。
「............龍にーちゃんに尽くしたことは後悔してない!!!侮辱するな!!」
『おや?侮辱などしていないぞ?妾は手助けをしようと思いここに来たのじゃよ』
不思議な人だった。目の前に現れるなり暴言を吐き散らかし、その後に助けに来た、なんて。
『妾は前ある男に救われてな。その人に言われたんじゃよ。自分を少しでも強く見せろ。そして弱いものを救えと』
「救う.............」
『だから妾はお主を助けに来たのじゃ。』
助ける。そう言って手を差し伸べてきたんだ。
「名前、教えて。」
『名前か..........そうじゃな。ゼルラ。そう呼んでくれ』
「ゼルラ...............」
それが僕とゼルラの出会いだった。
---
「助けるって具体的に何をしてくれるの?僕は何をすればいいの?」
『そうじゃな。お主には選択を迫ろうか。』
選択を、迫る?
僕は首を傾げた。
「........選択?何を?」
『記憶をこのままにして麗王を助け、麗王の記憶を自分が保有したままにするか。』
『それとも麗王を助けるところまで記憶を保持したままにして、麗王の転生時にお主の記憶を麗王に受け渡すか。』
「.........っ!!」
少し厳しい選択だった。彩花と龍にーちゃんにがここまで親しい仲になれたのも僕の手助けがあってこそだった。頭痛薬がないから買いに行かせ、龍にーちゃんに彩花の自殺を止めさせたのも僕。でもこのまま記憶を持ち続けてしまうとこれの繰り返しかも知れない。
『さあどうする?哀れの小僧よ。これからの人生を左右する決断ぞよ?』
でも彩花と龍にーちゃんを助けられるのは............
「後者。」
『..................そうか。』
先程の哀れみの目から一変、ゼルラは俺を抱きしめて言った。
『よく耐えたな。お主は........好きだったのだろう?』
「っ」
初めて見抜かれた。
『彩花でも日和でもない.............麗王のことが。』
よく耐えた、とゼルラは僕に向かって言い続けた。
僕はこの日初めて、大声で泣いた。
しばらく時間が立ち、どうやって龍にーちゃんを救えるのか、と僕は聞いた。
『.........龍の遺伝子。』
「龍の.........遺伝子?」
聞いたことのない言葉だ。
龍......神話上・伝説上の生き物だが、僕のように他のものの記憶があるものがいるから龍が存在してもおかしくないのか........?
『龍は窮地から抜け出す力を持っている。やつの遺伝子を食い込むと、願いが一つだけ叶う。麗王が彩花を助けたい......そう思ったときに遺伝子を食い込めばようのじゃが...........』
「なにか問題でも?」
そう僕が聞くと、少し焦ったような顔でゼルラは答えた。
『一度死なせないといかんのじゃ』
「は?」
『あ、絶対に現世に麗王として生まれ変わるのじゃ。しかし一度だけワカタケルのほうで死んでもらわないと.........』
焦ったような顔はこういう焦っただったのか...........
僕に龍にーちゃんを殺せるのか。それが一番の課題だろう。
でも............
「やってみせます。殺すというのは..........物理的に、ですか?」
『いや、違う。相手が同意の上なら、相手を殺すと自分が強く思い、相手に触れるだけで殺すことができる。』
相手が同意の上なら、か。つまり同意しない場合どうするかは僕次第.........
「...........わかりました。」
『あぁ。健闘を祈るぞよ。』
僕が今ここでできる、ゼルラへのお返し.............
「ねえゼルラ!」
『?』
「ありがとう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
僕は大声でそう、叫んだ。
ゼルラはあぁ、と返すとどこかへ消えてしまった。
僕は今から、世界で一番大好きな人を殺しに行くんだ。
世界で一番嫌いな人と、世界で一番好きな人を救うために。
でも、君が。龍にーちゃんはきっと望んでいる。
ならそれを叶えるのが僕の役目。
バイバイ、ワカタケルの記憶。
バイバイ、ゼルラ。
バイバイ。
大好きな........................................................
「龍にーちゃんっ................」
僕は泣いてしまった。
ダメだと思っても涙がこぼれ落ちてくる。
あぁこれが、きっとそうなんだ。
『失恋』?
...............................................そんなのどうだっていいよ。
大好きな人が救われるのなら、それでいい。あ
あれ........?本編よりこっちのほうが深い?まさか.........ね。
感動系物語最高傑作!
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