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第二話 屋上から見える景色は
先生に案内され僕は教室に足を踏み入れる。
大勢の生徒と目があった。みんな、こちらを珍しい生き物でも見るように見つめてくる。実際、こんな時期に転校してくる人なんて滅多にいないからあながち間違ってはいないのかもしれない。それに、隠して入るが死神だし。
「じゃぁ、自己紹介をどうぞ」
教壇の近くに立つと先生が催促する。僕は人生で初となる「不知火涼」としての自己紹介を行った。
「えーと、中学3年生の、不知火涼、です。趣味は、えーと、ゲーム、です。特にクロスタとか・卒業まで残り少ないですが仲良くなれたら嬉しいです」
僕が言い終わると同時に教室の中にはざわめきが広がっていく。
「え、結構顔いいね」「まじ?狙うの?ウチは遠慮〜」「趣味ゲームだってよ」「もしかしたら俺と趣味結構合うかも。俺毎日クロスタやってる」「ヤバw」「あと不知火ってかっこよくね?俺佐藤だから悲しいわ」「確かにw。オレだって木村だぞ」
、、、結構テキトーだけど大丈夫だったようだ。少なくともマイナスな印象は抱かれてないようでよかった。かなり噛んでしまったから心配だったけれど。
「はいみんな静かにー。じゃぁ不知火君、あそこの席ね」
先生に言われるがまま、僕はその席へ。一番後ろの端っこだ。隣は女子、まえが男子。確かさっき佐藤とかいっていた人間だ。
「よろしく」
僕はテキトーに挨拶しておく。正直挨拶はどうでもいい。こんなことを言ったら絶対に親とかは怒るだろうけれど気にしない。
「よろしくな。俺佐藤雄二。このまま授業始まっちゃうけど後で話そうぜ」
「よろしく。、、、あたしは凪咲。」
佐藤は明るいバスケをやっていそうな感じで、凪咲はメガネをかけたおとなしそうな女子だ。
凪咲が喋りなんか気まずい雰囲気のまま、そのまま授業が始まった。
「今日は古文をやります。じゃぁこの、、、」
うう、正直いって面倒臭い。任務のために来たから勉強はしなくていいはずなのに、親は「自分のためになるから」と言い、勉強するようにいってきた。
せめてもの小さな反抗として、僕は授業は真面目に受けず、任務の内容を確認することにした。
先生の目になるべく留まらないよう、こっそり任務の内容が書かれた紙を取り出す。
そこには、「任務1 屋上の幽霊の成仏 任務2 周辺の魂の回収 任務3 神社の管理(詳細は別紙)」とあった。ついている紙に地図とメモがついている。これが別紙、、、ということでいいのだろう。
なんか適当な気がするがやることはこれららしい。
「屋上の幽霊、ね、、、。」
ぼそっと独り言を呟く。
屋上の幽霊、、、学校とかでは、割と珍しくはないことだ。自殺とか、あとは死んだけれど学校に取り憑いているとか、色々なパターンがこれにはある。酷いと給食が美味しそうだからとりついた、という幽霊にも会ったことがある。その幽霊は幼稚園児で、死因は事故死だった。後はトイレの花子さんのファンで会うためにわざわざ自殺して第二の花子さんとして取り憑いたとか。僕は祓う必要はないと判断したから、彼女は今でも花子さんと楽しくトイレライフを送っているようだ。ほんとこっちにとってはいい迷惑だ。でもあまり厄介なパターンは少ないので平和に回収できることが多い。
だからわざわざ任務にするということはかなり厄介な霊がいるということだ。見た感じ、クラスも人が死んだ雰囲気じゃないし、いじめもそんなに起きていなさそうがする。、、、さっきのやばいやつもその霊と関係しているのか?だとしたらこれかなり厄介だ。
「ま、後でいっか。」
相当強い影響がでなければ後回し。まだ時間はあるのだし。
次が周辺の魂の回収。これは大したことはない。僕にとっては朝飯前どころか歩くぐらい簡単だ。
そしてまたしてもめんどうくさそうなのがその次。
「神社の管理ってなんだ、、、?」
地図を見てみると前調べた時にも見た、この学校の周辺が描かれている。
マークされているのはここから徒歩十分ぐらいのところにある神社。虚ノ宮神社とある。きょうのみや、と読むらしい。それにしても「虚」なんて字を神社に使うなんて一体何を祀っているのだろうか。なんだか碌でもなさそうな予感がするが、、、。
モヤモヤしつつも別紙についていたメモを見る。字からして親が書いたようだ。
「・『影』の暴走防止
・入り口、出口をしっかり閉じる
・掃除
あとは行ってみて 」
…。ふざけてるのか?
なんなんだよ、影って。あの太陽光がものに当たってできる影じゃなくて??それに入り口???それじゃ神社に来る人いなくなっちゃうじゃん。いいのかよ、それで。
思いっきりため息をつく。本当にあの親は意味がわからない。
ため息が大きすぎたのか、ギョッとした顔で隣の凪咲がこっちを見つめてきた。気にしない気にしない。
「じゃぁ今日は終わりです。ありがとうございました。」
タイミングよく授業が終わり、休み時間に。
僕は屋上が気になったので、転校初日から早速サボることにした。転校して緊張で頭が痛いとでも嘘ついて屋上に行こう。
僕は担任の先生に伝える。
「先生、頭が痛くて、、。保健室行ってきます。」
そういうと先生は快く休むことを快諾してくれた。転校初日って、意外とサボりやすいのかもしれない。
「じゃあ保健委員に案内してもらおうかしら。立野さーん。」
先生がそう呼ぶと立野、、、凪咲がやってきた。保健委員だったんだ。それに、苗字も立野だったことに今気づいた。
「不知火君、頭が痛いらしいから保健室に案内してくれる?次の授業は私だから遅れて大丈夫だわよ。不知火君もお大事にね。」
「わかりました」
「ありがとうございます」
そうして僕は転校初日ながらサボりに成功してしまった。
案内されるがまま保健室に着くと養護教諭の先生がいて、休むことを伝えると了承してくれた。
そして僕は先生がいなくなったタイミングで保健室を抜け出す。
意外と簡単だった。
勘で階段を登っていくと屋上があった。立ち入り禁止ではないので堂々と入らせてもらう。
ドアを開けるとそこには青空が見える開放的な空間があった。風も吹いていてまさに青春という感じがする。とっくに春は過ぎているのだけれども。
「別に怨霊なんか、、、。」
見た感じ普通の屋上だ。強いて言えばフェンスが壊れているところがあるぐらいだ。古いからしょうがないのかもしれない。
立ち止まっていては何も見つけられないので僕はとりあえず歩き回る。
数十秒たった後、僕は違和感を感じる。
「なんで、あそこだけ、、、赤いんだ?」
屋上から見下ろせる校舎の下には、花壇があった。赤い花とかピンクの花とかたくさん植えられている。
それだけなら何も感じないのだけれども。
**おかしなことに、中学生一人分ぐらいのところだけ、ぽっかりと花壇がなく、コンクリートが広がっていた。**
転校初日にサボる度胸すごいですね