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勝斗視点 温かい家族に囲まれて #6
父親さんの案内でようやくリビングにつけた。
やはり、玄関近くのあのドアだったらしい。
ダイニングテーブルの椅子に腰掛ける。
「そこは、僕の席だよ。君の席はこっち。」
なるほど。どうやらこの家では席が決まっているらしい。
俺は父親さんに指示された場所に移る。
父親さんと母親さんの席に向き合う形だ。
すると、母親さんが料理を持ってくる。
「あら、もうお父さんと会ってたのね。」
「はい。さっき会ってリビングまで案内してもらいました。」
「⋯お父さんに会っても、何も思い出せない?」
思い出せない、というより思い出がないだけなのだが。
なんだがひどく申し訳なく思いつつ、俺は静かに首を横に振る。
「そう。」と、少し寂しそうに母親さんが言う。
「⋯その、ごめんなさい」
「あら、いいのよ!思い出はまた作っていけばいいわ。」
「そうだよ。別に思い出せなくったって、君は君なんだから。」
「⋯。」
「さ!料理が冷めちゃうから食べましょ?」
パッと明るく笑う母親さん。
そんな母親さんに同意するように優しい顔で頷く父親さん。
二人の顔をみつつ、肉じゃがを口の中に入れる。
あったかくて、優しい味がした。
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ご飯を食べ終え、風呂に入り、部屋に戻る。
女の裸は自分の親で見慣れてたが、
それでも美春は見られるのは嫌だろうから極力見ないように努めて入った。
お陰でドッと疲れた。
とりあえず、スマホの写真アプリを開いて、いじめの証拠とか撮ってないか探してみる。
昔の写真は動物や、花、空など、色とりどりだ。
どうやら、自然のものだ好きらしい。
だが、最近になるにつれてモノクロの花の写真が多くなっていく。
俺はスマホを閉じ、引き出しにしまう。
そして、電気を消す。
そろそろ寝ようと思ったのだ。
ベッドにゴロリと転がると、目を閉じた。
明日はいよいよ学校だ。
一体何が待っているのか。
俺は明日のことを考え、ニヤリと邪悪に笑った。
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次の日、
美春のきれいな顔が良く見えるように、長めの前髪を切り、ポニーテールにする。
準備ができた俺は嬉しさをまるで隠さずとびきりの笑顔で学校へ向かった。
「|いってきまーす!《あばれてきまーす!》」
あんなにベッドでくつろぐ精神は持ち合わしていないって言ってたのに。
なんか短めなのはキリが良いからです。