公開中
ごめん、ごめん…なんで、オレが生きて……。
天馬司視点
---
咲希が病死した。
オレの、たった1人の、世界に1人の、大切な妹、、、。
「さ、き……。」
何も考えられない。
オレは咲希が大切で大好きだった。
何度泣いても涙が出てくる。
水分もろくに取っていないくせに。
不眠・絶食・不登校・リスカ・クスリ。
学校にも、練習にもまともに行っていない。
冬弥やミクたちにも心配をかけているだろう。
…いや、かけている。
……そういえば、えむが『セカイがどよよよ〜んってなってた…。』
[ワンダーランドのセカイ]はオレの想いでできている。
セカイが奇想天外な場所だったのは、咲希を笑顔にしたい、
というオレの想いからだろう。
けど、叶えられなかった。
オレのショーで笑顔になる前に、咲希は死んだ。
生きる意味を失った。
最愛の、1番笑顔にしたい妹を亡くして。
守れなかった。
一歌たちにもいっぱい謝った。
一歌たちは『司さんは悪くないですよ』と言う。
違う。
オレが悪い。
咲希に『オレのショーで笑顔にして見せる!』そう言ったのに、
自分で言ったのに約束を果たせなかった。
「ごめんなぁ…っ」
すぐに泣く自分が嫌だ。嫌い。
本当に1番悲しいのは咲希のはずだ。
一歌たちとやっとバンドができたのに、
やっと病気が落ち着いたと思ったのに、
なのに病気が再発して、
一歌たちに何も言えずにこの世を離れてしまって。
オレは兄だから、1番悲しいのは咲希だから、
だからオレは泣かなくていい。
泣いてはいけない。
なのに涙が出る。
とうに枯れているはずなのに。
「司、ご飯どうする…?おうどんだけど…。」
あ…母さんだ…。
「……いらない…。」
ごめん、ごめん母さん…。
「わかったわ、お腹空いたら部屋から出てきてね。
または、スマホからでもいいわ。
1人で抱え込みすぎないでね」
「あぁ……。」
人を頼る方法がわからない。
咲希がいなくなってから全てを忘れた感覚になった。
苦しい。しんどい。辛い。
でも‘兄だから’。
「…っ…………………。」
シュッ
引き出しから小型のカッターを取り出して自分の手首を切る。
いわゆるリストカット、リスカ。
痛い。
でもそれでいい。
咲希より苦しめばいい。
「いた、い……?」
なんで痛いって感じるんだ…?
生きているからか…?
咲希はいないのに、なんでオレだけ生きているんだ…?
なぜ妹を守れなかった出来損ない兄が生きているんだ…?
なぜ、なぜ…。
「わかんない…っ…。」
ずっと頭がそんなことを巡ってぐるぐるする。
イライラする。
……クスリを飲めば落ち着くから。
「ぁ……。」
クスリ、もうちょっとで無くなっちゃう…。
母さんに買ってきてもらわないと…。
母さんたちはオレがリスカ・クスリをしていることは知っている。
『しすぎちゃダメ』
そう言われてるけど、抑えられないから。
ゴクッ
今日はこれで何錠目だろ…
一回に3錠以上飲んでるから…
10錠…?それ以上か……。
頭、ふわふわするな…
頭、締め付けられるような感覚…
いっそのことこのまま死んでしまいたい。
オレは、咲希がいないだけでこんなに変わってしまうんだな。
‘太陽’って言われているけど、
所詮オレは‘咲希’と言う太陽がいるから輝けているだけだ。
太陽がなくなったら、月は輝けないから。
それと一緒。
あぁ、死にたいなぁ………。
END2『太陽ではなく月。』