公開中
気まぐれ小説~家族の仕事~
これは、妹(|樹奈《きな》)と姉の私(|結美《ゆみ》)の物語
私の国では戦争が起きている
私たちには関係ないのに、無差別に攻撃される
今日も敵の軍人が家に来た
こんな生活、早く終わってほしい
家族と一緒に安心して暮らしたい
私の妹は5歳。私は8歳。とても怖い生活をしている。
毎日、いつ敵の軍人が「おい!人いるんだったら出てこい!」とドアを蹴るかわからない。
お母さんとお父さんは仕事で、いつも朝早くから、夜遅くまで働いている。
そして学校は戦争がマシになるまでない。
つまり、家にはほとんどの日中が妹と私の2人ということ。
「ねぇね!おとこのひとがきた!!」
いつもはこれで静かにしていれば収まる。だが今日は、
「どうせ、いるんだろ?いないんだったら入ってもいいよな!!」
と叫びながらドアを壊そうとしている。
妹は恐怖で鳥肌が立っている。
「何としてでも妹を守らなければ」と思い、私は妹の前に立った。
つまりはドアの正面に立った。
「ねぇね!?あぶないよ!だめだよっ」
妹が一生懸命に叫んでいる。
けれど、姉の使命は妹を一生懸命に守ること。
私は〇んでもいい。
でも、妹は〇んだらダメ。
「樹奈、よーく聞くんだよ。お姉ちゃんっていうのはね、〇んででも妹を守るのが仕事なの。でも妹はね、みんなを笑顔にすることが仕事なんだ」
「だから、もしねぇねが〇んでも、ママとパパを笑顔にしてね?もし樹奈が〇んじゃったらねぇねのお仕事がなくなっちゃうんだ。だから絶対に樹奈は生きてね。ねぇねのことはどうでもいいから」
これでいいんだ。妹さえ守れれば、、、。
「ねぇね!だめっ、ねぇねがいないとダメなんだよっ!」
__「樹奈、逃げて、、、」__
「なんていったの?」
**「樹奈、早く逃げて!逃げなさい!」**
早く逃げて欲しい、、、。樹奈だけでも生きて欲しい!そうだ!
「樹奈、早く逃げて。そうじゃないと私もう、、、男の人に付いていく」
「ねぇね?それだけはだめだってママにいわれてるよ、、、?」
こんな時でも心配してくれるなんて天使だ。
「いいの。私、男の人に付いていくね」
「わ、わかった。わたしにげる。ねぇね。げんきでね」
やっと逃げてくれた。あとは私が逃げるだけなんだけど、、、。
**ドンッ**
ヤバい!ドアが壊された。
「やっぱり居たか。早くこっちにこい!」
男の人に見つかってしまった。
「いやよ!」
何とか逃げてきた。
やっと人混みが見えた。
あそこに行けばもう安心だ!
思うように足が動かな、い、、、
---
ここはどこ?
「先生っ、姉ちゃんが目を覚ましました!」
「本当かね?」
そんな会話が聞こえてきた。
そして妹の樹奈だと言い張る女の子がいた。
でも、樹奈にしては大きすぎる。
「私が樹奈だよ、お姉ちゃん!」
「嘘よ。だって樹奈は5歳なんだから、もっと小さいよ!」
でも、本当だったらしい。
樹奈がここまで大きくなっている
「結美、ごめんね。お母さんよ。結美は5年間もの間昏睡状態だったの。守ってあげられなくてごめんなさい」
「お母さん、大丈夫だよ!生きているだけマシじゃん!」
「結美ッ!!」
お母さんもお父さんも無事だったみたい。
でも、、、5年間もたってたんだ。
時代遅れになっちゃうんだろうな、、、。
「お姉ちゃん。私ね、気づいたの。妹ってね、みんなを笑顔にするのが仕事じゃん。でもその仕事をするには家族が一人でもいなかったらできないんだ。でも、今なら仕事ができる。だって、お姉ちゃんが生きているんだもん!!」
--- **END** ---