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Ⅰ「紅」
二週間前、緑豊かな《西南の街》に位置する魔法学園で事件が起こった。
あの時……比較的平和な現代の我が国で、あってはならない破壊的な音がした。
侵入者が学園の中庭を、特大の攻撃魔法で焼いたのだった。
高等部の生徒全員に避難指示が出されたけれど、私はそれに背いた。
学園の防御魔法が破られたということは、侵入者は相当強い魔法使い。見なければ損だと思ったから。
言われた通りに避難場所へと移動する一年A組の列からそっと外れて、廊下を逆走。
それから誰もいない教室に入り、窓際で侵入者の姿を探した。
遠くに見えた黒い人物の横顔は、想像よりずっと若かった。
でもそれがどうでも良くなるくらい、もっと驚くべきことがあった。
青年の瞳は、太陽をそのまま閉じ込めたような紅玉色をしている。
汗が頬を伝って落ちる感触。
やけに体が熱い。
確信した。
私とあまり変わらない歳に見えるけれど、この人が、あの強烈な攻撃魔法を撃ったのだ……。
[キャラ紹介その1]
◯チカゼ(15)
・高等部一年A組、風の魔法使い
・茶髪ロングの清楚系美人
・行動力のあるマイペース