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儚く消えていく美しいモノ
ホラー・意味深……だと思います!
あるところに、少女がいた。
その少女は、周りに虐げられていた。
なぜなら、
周りの人は皆、黒髪・茶髪に黒瞳・茶瞳だったから。
少女は、異質な雰囲気を放っていた。
なぜなら、
少女は白髪に赤瞳だったから。
罵声を浴びせられ、石を投げられ、気味悪がれ、少女の心は壊れかけていた。
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あるところに怪獣がいた。
その怪獣は、元は人間の青年だった。
彼を疎ましく思った者に呪いをかけられ、怪獣となった。
彼は、遠ざけられていた。
人間の頃も、怪獣になった今も。
疎ましく思われ、投げられる罵声は彼の心を傷つけた。
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少女は、息を切らして走っていた。
まるで、何かから逃げるように。
少女の頬には、血が滲んでいた。
必死に、走っていた。
そこは、森の中だった。
木を素早く避けて、必死に走っていた。
「あっ」
少女は、ツタに足を引っ掛けて転んだ。
ぽた、と一つ雫が落ちた。
ぽた、とまた雫が落ちた。
少女は、自分が泣いていることに気づいた。
「っふぅ、……う、あ………うぁ」
声が漏れる。
涙を手で何度も払った。涙は止まらなかった。
「うああああ……あ、ひっく、う、あ……」
地面に大きな影が差した。
少女がゆっくり振り向くと、そこには少女より遥かに大きな怪獣がいた。
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「ねぇ、怪獣さん!見て、お花のかんむり!」
少女は小さな花の冠を怪獣の頭に乗せた。
「きれいだ」
怪獣は、低い声で言った。
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「そのきずは、なにがあった」
怪獣は、少し強い声で言った。
「…これ?…これは、ただ…転んだだけ。大丈夫だよ」
少女の顔には、とても転んだとは思えない傷があった。
まるで、何かをぶつけられたような。
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「怪獣さん!私ね、クッキー作ったの!食べてみて!」
少女は、小さなクッキーを怪獣に渡した。
「おいしい」
怪獣は、低い声で言った。
微かに、笑ったように感じた。
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「ねぇ、怪獣さん。どうして、私は一緒に遊んじゃダメなのかな」
少女は、悲しそうに言った。
「私は、何も怖いことなんてしないのに。この髪と眼のせいだ」
少女は顔を、抱えた膝にうずめた。
「__……こんなもの、なければよかったのに__」
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怪獣は、振り向いた。
今日は、少女がいない。
何か、楽しいことでもあったのだろうか。
今日も、少女がいない。
何か、悲しいことでもあったのだろうか。
今日も、
今日も、
今日も、
今日も、
何度も繰り返して、怪獣は異変に気づいた。
少女が、来ない。
今まで、ほぼ毎日のように来ていた少女が、来ない。
怪獣は、少女がとても身近な存在になっていたことに気づいた。
怪獣は、立ち上がった。
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怪獣は、少女が住む街に来ていた。
時刻は夕方。
夕陽が辺りを橙色に染めた。
人はまばらだが、いないわけではない。
怪獣は、建物の影に身を潜めながら少女を必死で探した。
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「見つけ、」
少女の白髪があった。
「た」
路地の奥のゴミ置き場。
夕陽が、赤く少女と怪獣を照らした。
少女の赤瞳に光は入っていなかった。
ゴミの上、力なく少女は横たわっていた。
辺りは赤に染まっている。
怪獣は、息もできずに固まっていた。
突然、胸に衝撃が加わった。
激しく血を吐いて怪獣は倒れた。
何が起こったのか、分からなかった。
後から、激痛が走り意識が朦朧とした。
「……は、ぐ、なに…が」
怪獣は、うめき声を上げた。
「……はっ、本当に来たぜ。バカだな、こんなやつ放っときゃいいのに」
「まっ、これで俺たちが英雄になることは確定したな」
「楽勝楽勝」
男たちが、背後に立っていた。
その手には、赤く染まった剣が握られていた。
彼らは、足早に去っていった。
怪獣は、最期の力を振り絞って少女の方を見た。
少女は、うっすら笑っているように見えた。
聞き覚えのある|鼻唄《はなうた》が聞こえた。
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「北に森があるだろ、そこに怪獣がいるらしいんだってよ」
「へぇ〜」
「なんかさ、討伐依頼出てたんだよ」
「まじか、いくら?」
「━━」
「うお、まじ?高っ」
「しかも、これ終わったら俺ら英雄だぜ?」
「……それって危ないんじゃ」
「ばかか。お前、人襲うなんて噂本当に信じてるのか?」
「え、襲わないのか?」
「そんな事例、今まで一回もないらしいぜ」
「それなのに討伐依頼きてるのか?」
「ああ。どっかの心配性がほざいてるんだろうよ、知らんけど」
「はー、なるほどな。………で、どうやって殺す?」
「………それなんだよなぁ」
男たちが話していた。
それをこっそり聞いている人影があった。
「__………はぁ……はぁ…はぁ…__」
ころ、す?
怪獣さん、を?
それは、
絶対に、ダメ。
私の居場所がなくなっちゃう。
少女は、飛び出した。
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「怪獣さんを殺すなんて、ダメ!!!」
「あ?なんだこのガキ」
「怪獣さんは、人を襲うなんてしないよ!とっても優しい人なんだよ!!」
「「「……………」」」
男たちは顔を見合わせて、ニヤッと笑った。
「へぇ〜、そうなんだ〜」
「ありがとね、嬢ちゃん」
「教えてくれて」
少女は、ぱっと顔を輝かせた。
「……それじゃあ…!襲っちゃ、」
少女は、膝から崩れ落ちた。
「?」
大きく血を吐く。
「?」
少女の顔は痛みに苦しんで歪み、それと同時に困惑の表情が浮かんでいた。
「……なんて言うと思ったか?嬢ちゃん」
「襲う襲わないなんて関係ないんだよ」
「ありがとね、嬢ちゃん。良い餌になってくれて」
「………こんなやつのために本当に来るのか?」
「知らねぇよ。来なかったら来なかったときに考えりゃいいだろ」
「…そうだな」
少女の瞳には、もう光がなかった。
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*少女は、鼻唄を歌っていた。*
*「それは、なんのうただ?」*
*「これはね、お母さんがよく歌ってくれたの」*
* 少女は、鼻唄を続けた。*
*「お母さんがね、死ぬときに歌っていたの。…だから、__私も死ぬときはこの歌をうたっていたい__」*
*怪獣も、まだ音程がはっきりとは合わない鼻唄を歌い始めた。*
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2つの亡骸があった。
夕陽が差して、辺りを赤く染めた。
2つの亡骸は薄らと笑っていた。
彼らは、1人だった。
罵倒され、石を投げられ、遠ざけられ、差別された。
彼らは、1人だった。
どこからか、かつて2人が歌っていた鼻唄が聞こえた。
2つの亡骸は、薄らと笑っていた。