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出席番号十九番 潮野詩音
私はその日の夜、部屋に籠もって考え込んでいた。
__|香取《かとり》|浬《かいり》は|相生《あいおい》|彩未《あやみ》に告白した。偽ることは可能。相生彩未はそのことについて私に相談してきた。事実。香取浬はショートカットの人が好きである。何人かが言っていた噂、あくまでも周りから聞いた話。|小々高《ここだか》|好葉《このは》彼女説。根も葉もあるかもしれない、噂話。
相生彩未。出席番号一番。引っ込み思案の人見知り。幸薄そうな美少女。ショートカット、丸メガネ。
香取浬。出席番号六番。学年一のモテ男。男女問わず広い人脈。運動部、爽やかイケメン。
小々高好葉。出席番号十三番。香取浬とは仲がいい。いつも複数人でいる。ポニーテール。
あとは__
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「え? |潮野《しおの》さんが、どうしたの?」
翌日、私は学級委員の|飯束《いいづか》さんに、潮野さんについて訊ねていた。
「いや、別に大したことじゃないんだけど」
相生さんに『相談したことについてはなるべく内緒にしてほしい』と頼まれているので、私は言葉を濁す。
「ふうん……? ……ま、私も大した情報知ってるわけじゃないから、いっか」
彼女はそうは言ったものの、大袈裟に内緒話の雰囲気を作って、
「潮野|詩音《しおん》。出席番号十九番。名前について色々言われるのが地雷で、『《《しお》》の《《しお》》ん』でギャグっぽいことをイジると激昂する。だから極力フルネームで呼んじゃ駄目。今のも聞かれてたらヤバかった。最近、長かった髪の毛をばっさり切って、今は短い。いわゆる一軍女子。香取くん、小々高さん、|北薗《きたぞの》さん、あと何人かでつるんでる。文系。得意教科は体育。右足を骨折した経験アリ。好きなアーティストはヨルシカ。嫌いな食べ物はナス。初恋の相手は、」
「ごめんもういいありがとう」
怖っ! 戦々恐々だよ! めちゃくちゃ怖かった、なんだコイツ!
「……なんでそんなに詳しいワケ?」
「別に、知ろうと思って知ったわけじゃないのよ。ほら、ああいう明るい子って、よく話すし声が大きいし、目立つでしょ。だからちょっと耳に入ってきちゃっただけで」
「それにしたってすごい情報量だったけどね」
「幼稚園から一緒だから。一応ね」
へえ、それは初めて聞いた。
関係ないと思うからスルーするけれど、気になる話だな、クラスメイトの幼少期。
またいつか、機会があったら訊こう。
今訊くべきは、それじゃないのだ。
「もうひとつ、教えて。__その、潮野さんたちのグループについて、そしてそのメンバーについて。詳しく」
「……? 別に、構わないけれど」
「具体的には__香取浬は、スマホを持っている?」