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過去を振り返っている暇はないので、任務こなします。
ルラら
〜春乃side〜
階段を上がった先にあるのは広間。
今回のターゲット、つまりは、人身売買の主催者とその部下たちはここで話し合いなどをしているらしい。
他にも、あまり良い言い方ではないが…仕入れ等もしているのだとか。
そろそろみんな終わったかな…。
広間の先にもたくさんの廊下があり、未だ誰一人会っていない。
耳につけた通信機のボタンを押して話しかける。
「こちら、佐倉春乃。担当の階が終わったのであれば教えてほしい。」
返事はすぐに来た。
「こちら、柏原華菜にだ!任務終了。ネウラ一名を仕留めたにだ〜!
それと、例の二人。
私が預かってるにだ〜。」
「こちら、大田博人。ターゲットはいない。代わりに例の二人を発見。」
「こちら、小野啓。ワトウを仕留めた。現在、4階と5階に博人と向かっている。」
………。
「韮山凛花。応答できるか?」
………。
「凛花さん…?」
………。
「凛花……?」
………。
応答なし、か…。
きっと忙しいのだろう。
そう思っていた矢先。
「あーあー。聞こえるー?」
凛花ではない、何者かの声が聞こえた。
「アンタ……誰。」
通信機を通じての会話。
「んー?俺ー?」
「あなた以外に誰がいるにだ…。」
華菜は若干呆れ気味。
「俺はー。
山口世路。」
ッ!?
「凛花さんは。」
博人が声を低めて言う。
「あっは、博人君。怖いねーw
大丈夫だよー。ま、さっき寝ちゃったけどねw」
「何をするんだ!?」
啓が声を荒げる。
「んー?そうだねぇ…ちょっとした『お仕置き』をしようと思ってね。
凛花ちゃん、俺に嘘をついたからねー。」
「何をするにだ!?」
「あ、そこ聞いちゃうー?」
まだ、私はターゲットを見つけてすらいない。
声を上げたい気持ちは山々だが、不意打ちを避けるためになかなか喋れない。
「凛花ちゃんの辛いこと。つまりは………
佐倉春乃。君が苦しむ姿を見せるために移動させようと思ってんだ♪」
「ハァっ!?」
つい、声を出してしまう。
「あ、そうそう。1階で1人。2階は0人、3階で1人。4階では俺1人。
つ ま り ?」
「5階の私がいるところには…2人……!?」
「そゆこと。で、今から俺も向かうからー?」
「3対1ってことか…。
ただ、啓達が来るわ。」
「ざんねーん。まず、華菜はその、例の2人と一緒にいるわけでしょ?
博人は、啓と一緒にいる。
心の優しい博人は先輩でもある啓を置いていけないんだ。」
「啓さんと、今5階に向かってますが?」
「うん♪知ってる。今から足止めするんだよー♪」
「啓、通信機外してッ!」
でも、それは遅くて。
「ねぇ、啓。
高津ヒカリが不幸にあったのは、
君 の せ い な ん だ よ ? 」
「君が弱虫だから、ヒカリも巻き込んだんだ!
いい加減、認めたらどうだい!?
全部、啓のせいだ!
啓が、ヒカリの人生を狂わせたんだぜ!?
何年経ったかなんてわからないほど月日は経った。
それなのにまだ、謝りもしてないじゃないか!?
何も変わってないんだよ!
結局、啓は弱虫のままだ!」
一気に捲し立てるセロ。
「俺の……せい……。」
「そうだ!君のせいなんだよ!弱虫君!」
「や………。」
「やっぱり君はノウナシだ!」
「うわあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」
「「「啓さんッ!?/啓にだ!?/啓!」」」
「博人、啓は!?」
「ダメだ…。塞ぎ込んだ…。」
「ッ…。博人。例の2人をそこに置かせて。
華菜!急いで5階に!」
「わ、わかったにだ!」
「ハハッ。いい気味。華菜ちゃんが来たところで3対2だし、大人と学生という大きな差があるだろう!?
華菜ちゃんは来ない方がいいよ。
来たところで…ね?」
「それでも行くにだ!」
「ハハッ。じゃあ、ハンデをあげよう。華菜が来るまで待ってあげよう。
代わりに、華菜が来たことが分かれば一斉にかかろう。
……どうかな?」
悔しいが、ここはYESとしか言えない。
正直言って、今のところ勝ち目は薄いということがハッキリしている。
まさか、こちらが3対1になるとは思っていなかったから。
それなら、勝率が上がるように、華菜が来るまで待ってもらったほうがいい。
「いいよ。そのルールでいきましょう。
華菜。聞こえた?」
「聞こえたにだー!」
「いい?『確実に』2人を博人に渡してからなるべく早く来て。
博人。啓のことは後で聞く。無理に話は聞かないで。
それと、2人をよろしく。」
「わかりました。」
「話は以上かい?」
「……えぇ。」
「では、」
「「「また後でお会いしましょう。」」」
そう言ってから通信を切る。
さーてと。
中々厄介で、面倒なことになったな…。
そんな考えを胸の中に収めて、華菜が来るのを5階の入り口で待つのだった。