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二度目の挑戦
僕は田中タイシ。絶賛就活中。
志望は今の所おもちゃメーカーの企画部。積み木が大大大好きなため「積み木で世界をクリエイト」と言うのを信条としている。
しかし志望職種に勤める前に、まず僕の心が死亡してしまいそうだ。
人間を辞めたいと本気で考えている。
「それでは、弊社を志望した理由をお聞かせ願えますか。」
きた!僕が一番寝る間を惜しんで練り上げた、あのエピソードをご覧じろ!
「はい!えっと、私が御社を志望したのは、幼少期の思い出が深く関わっています。私は幼い頃から積み木遊びが好きで、現在もあらゆる国の積み木をネットでかき集めコレクションしたりお城を作ったりしているのですが、やはり積み木というのは子供だけのおもちゃというイメージが世間一般に浸透しており、僕としてはそういった認識を変えたいと思い恩赦を志望したのですがまず僕がやってみたいことというのが積み木の名前を前衛的なスタイルに変更するということで何案か考えており『ブロキ』とか『ツミック』とか『エクストラツミキレボリューション』とかあとは...」
そこで僕はやっと気がついた。面接官の顔が能面のようになっていることを。
「...a」
「はい、ありがとうございました。以上で面接を終わります。」
「...」
人生終了のお知らせ再来。僕は死にますーーー!!積み木が好きだからーーー!!
はぁ、なんでいつもこうなるんだろう。他の人はもっと上手く自分の強みと情熱を言葉にして相手に伝えることができるのに。時には嘘さえ交えて。
僕は正直者すぎるのだろうか。就活のために自らを汚し、この薄汚れた社会の錆びついた歯車に混じらなければならないのだろうか。
そんな結末が待っているのなら、僕は|争《あらが》う。
この汚い社会を「積み木で世界をクリエイト」しなおしてやる!
そして僕は畳の上に立ち上がった。
突き上げた拳は電灯の影になり、再創造された世界の面影を網膜に映した。