編集者:m123
普段うるさくしている男子を特別指導…⁉
続きを読む
閲覧設定
名前変換設定
この小説には名前変換が設定されています。以下の単語を変換することができます。空白の場合は変換されません。入力した単語はブラウザに保存され次回から選択できるようになります
1 /
目次
お説教
あんなことやこんなこと…はされない。
放課後の教室は、夕方のオレンジ色の光に包まれていた。窓の外からは運動部の掛け声が遠くに聞こえるが、この教室の中だけは、重苦しいほどの静寂と、どこか熱を帯びた空気が漂っている。
「……ねえ、そんなに震えてるの?」
冷ややかな、けれどどこか楽しげな声が響いた。
床に倒れ伏した男子生徒の視界には、自分の顔をじっと見下ろす学級委員の女子の姿があった。彼の両手は背中に回され、強力なガムテープでしっかりと拘束されている。
「……っ、やめろよ……」
「やめる? 何をね。まだ特別指導は始まったばかりだよ?」
彼女はそう言って、わざとゆっくりと体重を預け、彼の顔を床に押しつけた。コンクリートの冷たさと、彼女の靴の感触が混ざり合う。男子は苦しげに顔を歪ませるが、逃げる術はない。
「先生から頼まれたんだよ。『授業中に騒いでばかりいる彼をしっかり指導してほしい』ってね。だから私は、正当な権限でこれをしてあげてるの」
彼女は屈み込み、彼の耳元で囁いた。その距離の近さに、男子の心臓が跳ね上がる。
「……だって、あんなに騒いでたから。みんなの集中を削ぐようなことばかりするんだもん」
「わかってるよ……。でも、そんなに怒らなくてもいいだろ……」
彼女はふっと微笑み、さらに強く顔を踏みつけた。男子の視界が揺れる。
「ねえ、知ってる? 授業中、君は私のことを見てたよね。特に、私の脚をじーっと見てたでしょ?」
その言葉に、男子の背筋に冷たいものが走った。動揺を隠しきれない彼の顔が赤く染まる。
「……っ! な、何のことだよ!」
「嘘つかないで。君の視線、すごく正直だったよ。だからね……こうやって素足で踏まれてるのも、実は興奮してるんじゃない? 自分の欲望に負けて、私にこんなことされてるのを喜んでるんだよね」
彼女の言葉は鋭いナイフのように彼のプライドを切り刻む。男子は絶望的な表情で顔を上げた。拘束されているせいで自由な動きはできないが、その動揺は全身から溢れ出していた。
「……っ、違う……そんなこと……!」
「本当? じゃあ、証明してよ」
彼女はさらに追い打ちをかけるように、彼の頬に自分の足の裏を押し当てた。男子は数秒間、絶望と羞恥の中で悶えた後、ついに声を絞り出した。
「……ごめん……本当に、ごめん……! 全部、反省してる……!」
彼は涙目で懇願した。その必死な謝罪に、彼女の表情から鋭さが消え、代わりにいたずらっぽい笑みが浮かんだ。
「……ふふっ、いいよ。そんなに反省してるなら、許してあげる」
彼女は身を翻し、手際よくガムテープを引き剥がした。
拘束から解放された男子の腕は力なく床に投げ出される。彼は肩で息をしながら、自分の情けない姿を振り返ることができなかった。
彼女は彼を見下ろしながら、最後にもう一度だけ釘を刺すように言った。
「次からは、もううるさくしないでね? 約束だよ」
男子は震える声で、しかし力強く頷いた。
「……ああ、約束する。もう二度と、あんなことしない……」
夕暮れの教室に、彼の消え入るような誓いの言葉だけが残った。彼女は満足そうに髪をかき上げると、まるで何もなかったかのように、静かに教室のドアへと向かった。
楽しんでいただけましたか。また次回までお楽しみに。
翌日の忠告
こんなこと言われてみたい。
放課後の教室には、重苦しいまでの静寂が支配していた。
昨日まで騒々しく机を叩き、周囲をかき乱していた男子は、今、まるで石像のように背筋を伸ばして座っていた。彼の表情からは一切の余裕がなく、ただ教師の指示に従い、淡々とノートを埋めることだけに集中している。その異様なまでの「真面目さ」は、昨日彼が受けた「特別指導」の結果であることを、クラスの誰もが察していた。
そして、教室の扉が開いた。
入ってきたのは、学級委員の女子だ。普段は太陽のような笑顔を振りまき、誰にでも優しく接する彼女は、この学校のアイドル的存在だった。しかし、昨日の放課後、彼女が見せた「裏の顔」を知る者は、今この瞬間の彼女の微笑みに背筋が凍りつくのを感じていた。
「○○君ちょっといいかな?」
彼女は柔らかく、いつもの鈴のような声で言った。男子はビクッと肩を揺らし、椅子から立ち上がる。
「はい……何でしょうか」
「昨日は、すごく頑張ってたね。授業中もずっと集中してたみたいだし、感心しちゃうな」
彼女は彼の隣に座り、まるで親友に話しかけるような距離感で微笑んだ。男子は喉の奥を鳴らしながら、精一杯の虚勢を張って答える。
「……すみませんでした。これからは静かに過ごしますから」
「いいのよ、そんなに畏まらなくて。私、嬉しいな。君がちゃんと反省してくれたって思えたから」
彼女は彼の肩にそっと手を置いた。その指先は細く、温かい。しかし男子には、それが獲物を追い詰める捕食者の感触のように感じられた。
「これからはね、普通の生徒として接するよ。昨日みたいなことは……もういいからね」
「はい……ありがとうございます」
彼女は満足げに頷き、立ち上がった。そして、一歩、彼との距離を詰めた。その瞬間、教室の空気が凍りついたかのように変質した。
彼女の顔から笑みが消えた。瞳の奥にある光が、底知れない闇へと塗り替えられる。そして、彼女は今まで聞いたこともないような、地を這うような低く重厚な声で囁いた。
「……大丈夫だと思うけど」
男子の背中に冷たい汗が流れた。それは優しさでも、励ましでもない。純粋な威圧だった。
「次ふざけたら、わかってるよね?」
言葉の端々に、昨日の暴力的なまでの執着と支配欲が宿っている。彼女は一瞬だけ彼を凝視し、まるで何もなかったかのように表情を瞬時に切り替えた。
「じゃあね、お疲れ様!」
いつもの明るい声に戻り、彼女は手を振って教室を出て行った。
一人残された男子は、震える手でペンを握り直した。
彼女は言った。「普通に接する」と。しかし、彼には分かっていた。この瞬間から始まるのは「平穏」ではない。それは、逃げ場のない徹底的な監視の始まりだ。
彼女の視線が届く範囲、彼女の言葉の支配下。彼はこれからも、その笑顔の裏側にある鋭い爪に怯えながら、彼女の望む「理想的な生徒」を演じ続けなければならないのだ。
女子こわっ。