編集者:レイ
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目次
異界マンション
--- 【異界マンション】 ---
マンションに住む住民達にそう呼ばれているマンションが存在する。
異界マンションは、サイトやチラシでは「五十嵐マンション」という名前で載っており、なんと家賃は月5000円という破格のお値段!!
…ですが、このマンションについて検索していく、何やら危険な噂もチラホラ…。
「“異界”マンション」と言われる理由もこの噂にあるのではないだろうか?
そんなマンションに「家賃安いし噂とかどうでも良いや!!」と半ばヤケクソで入居した 藤内 #あなた# 。
入居後は、住民やマンション自体に振り回される濃い日常の始まりだった。
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仕事に押し潰された後、まさかの住居でも様々なことに押し潰され、限界を迎える……事はなく、そんな破茶滅茶な日々に疲れも消えて行き、彼、彼女、人間、人外、何でも“アリ”なそのマンションにて、非日常を経験する。
1.きっかけ
「はあ……。」
疲れ切った顔をしている男の名前は「|藤内《とうない》 #あなた#」。
ザ・社畜のような目をしており、どう頑張っても幽霊と見間違えてしまうくらいに肌色が悪い。
彼の心情を表したかのように真っ黒な髪をしている。
駅のホームで電車を待っている時に、ふと出てきた溜め息。
そりゃ溜め息の一つや二つ出てきてしまう。なんせ、連勤続きで会社につけば即上司からの仕事や後輩への教育クライアントからの無理難題先輩からの仕事の押し付け…………、考えるだけでドッと疲れてしまう。
しかも、最近は金欠気味でもやし生活。アパートの家賃もギリギリ払えている状況だし、そろそろ別の賃貸を探さなければと感じている。
(憂鬱だ……)
遠くからゴトン、ゴトンと、電車の走行音が聞こえてくる。「この電車に乗ったら会社に行かなくてはいけないんだ」なんて思い、働く前から1日分の疲れが溜まった気がする。
プシュー、という音に、聞き慣れたメロディーと人の声や足音に全身を纏われているかのような感覚に、しばらく手の震えが止まらなかった。
「乗らなきゃなぁ。」
電車の中に足を踏み入れ、今日もまた、地獄の1日が始まったなと実感した。
人が行き交う中、当然座席に座れるわけもなく、吊り革を握る。
意識が遠のいていく感覚がしなくもないが、電車が揺れ、体が左右に傾く度に意識が引き戻される。
ただのサラリーマンには気を失う権利すらも無いのか、なんてネガティブな考えも頭に浮かんだ。
(良い物件ないかなぁ……)
そう思いながら、不動産屋のサイトをスクロールしていく。その時、一つの物件が目に入った。
「『五十嵐マンション』……?」
家賃5000円、しかも今すぐ入居可能という超絶優良物件。立地もかなり良い、口コミにはなぜかコメント0だけど、正直今の俺にとっては即契約の選択肢以外無かった。
「…… 早めに仕事終わらせるか!」
俺はスマホの電源を落とし、電車から降りて、会社に向かった。
2.メール
時刻は午後23時を迎えて直ぐ。仕事仕事で忘れていたが、そういえばまだ内見を済ましていないと思い、メールを送ることにして、鞄の中からスマホを取り出そうとするが、いつもの癖で間違えて社用携帯を手に取った。
「いや仕事に囚われすぎだろ」と自分で自分にツッコミを入れて、ちゃんとプライベート用のスマホを取り出した。
「こんな時間にメールを送るとかいう非常識極まりない社不行為すぎるけど……」
メールを送って五分も経ってないうちに返信が来た。
<『ご連絡くださり有難うございます。内見は|明日《あす》からでも可能ですので、お手数おかけしますがお暇な時に都合の良い日程をご連絡ください。』
「明日からでも可能」?!?!そんなことがあるのか、この世……
都合のいい日、といざ言われると思い浮かばないので困ってしまう。毎日毎日仕事尽くしでもう自認がそういうAIだからな……
予想外の返信の内容に気分が上がっているのも束の間、頭を抱えてしまうほどの問題に直面してしまう、
「都合のいい日」、つまり数十分、場所によっては1時間弱は時間を取られる内見……そんなに仕事をしなくても良い日が藤内の中では存在していないのである。
「あ、そういえば。」
今朝会社に着いた時、上司からさっさと有休消化しろってこっぴどく怒られてたな。
いっその事無視して社内調査に持ち込んでやろうかと思ってたが、こうとなれば話は別。いやまあ住居と転職の可能性を天秤に掛けたらかなりギリギリ転職できる可能性を取ってしまうが……できたとしてもその間家賃を払えず追い出されたら元も子もない。
まずは先に住居を決めてから辞職…いいやストライキだ。そうしよう。
「まずは上司に連絡するところからかぁ……。 明日やろう。」
そうしてスマホを鞄に戻し、帰路についた。