5年前にデビューした、9人組アイドルグループ〘 IRise 〙。
しかしメンバーはどんどん脱退していき、5周年の今年、4人になった。
しかも脱退したのは「前列組」と呼ばれる人気メンバーたち。
知名度も実力もやる気も(!?)まだまだな4人。
崩壊寸前のグループを続けられるのか...?
今まで目立たなかった4人の奮闘アイドル小説(になるといいな)。
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目次
Crush Idol! #0
#0 クラッシュ
夢を見ていた。
ステージでスポットライトを浴び舞うアイドルは、心の底から楽しそうだったから。
夢を見ていた。
テレビで仲良く喋るアイドルグループは、深い絆があるように思えたから。
夢を見ていた。
夢でしかなかった。
それは唐突だった。
「急に呼び出して話したいこと、って?」
テーブルの上には紅茶が4つ。
「あー、えーっと」
見慣れた、とは言ってもうっかりすると見惚れてしまいそうなくらい綺麗な顔が、真正面に。
目は疲労と悲哀が混じった、濁った色をしていた。
「経緯を話すと長くなっちゃうんだけどね」
心の中で、密かに覚悟する。嫌な予感がする。隣の3人も、一様に彼女の次の言葉を待つ。
「──もう、アイドル辞めようと思う」
こうして、また1人減っていく。
ども〜日桜です!
新作!
クラッシュアイドル!って感じで(?)
まあのんびり頑張ります。よろしくです〜
Crush Idol! #1
#1 5回目の地獄
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「ごめんね、急に」
|天沢《あまさわ》|莉帆《りほ》の声はいつも以上に明るく聞こえた。
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〘 |IRise《アイライズ》 〙は5年前にデビューした9人組のアイドルグループだ。
その人気は凄まじく、新曲が出るたび注目度が増して、瞬く間に旬のアイドルとなった。
中でも人気だったのは、いわゆる「前列組」と呼ばれた5人。
曲中のダンスなんかで前後に分かれるときの、前列のメンバーがとても人気だった。
3年前までは。
デビューして2年が経った頃、突然メンバーの1人が脱退した。理由は体調不良だった。
その後2ヶ月も立たずに、また1人、脱退した。
デビュー3年目にまた1人。
その2年後にまた1人。
そして、今日、また1人。
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こんなに知ったような感じで語っているが、私はIRiseの熱烈なファンなどではない。
私の名前は|水ノ江《みずのえ》|露乃《つゆの》。これでもIRise水色担当の現役メンバーだ。
今日私が来ているのは、IRiseのセンターを務める天沢莉帆の自宅だった。
莉帆といえば、グループで圧倒的NO.1人気を誇る不動のセンター。メンバーカラーは赤。
9人時代からセンターは大概決まって莉帆が務めていた。
人気の理由はビジュアルが良すぎる、歌もダンスもうますぎる、まあつまりは最強ということ。
5人体制になってからというもの、IRiseは莉帆一強の時代に突入していた。
「IRiseといえば?」と聞くと街行くピーポー(?)は皆こう言う。
「天沢莉帆ちゃんでしょ!」
「りほたん〜!!」
「赤の人」
「知らない」
「莉帆ちゃんとその他」
「天沢以外知らん」
まあこんな感じで、とにかくIRiseはメンバーの人気格差がえげついアイドルグループである。
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ところで、莉帆の家に集まっているのは私だけではない。
同じくメンバーの|柳町《やなぎまち》|初里《はつり》、|糸嶺《いとみね》マコト、|七宮《ななみや》|冬《ふゆ》も、私の隣に座っている。その顔は酷く神妙だった。
無理もない。きっと私も同じような顔をしている。
「紅茶でも、飲む?」
ぎこちない莉帆の声に、「お気遣いなく」と応える初里。
しかし全く聞こえていないように、莉帆はテキパキと慣れた手つきで紅茶の準備を始めた。
今、私達はリビングのテーブルを取り囲むように、真ん中を開けて座っている。
5回目の地獄が、始まる。
「どうぞ」
莉帆が紅茶を運んできた。2つずつ、慎重に二往復して。
「ありがと」「ごめんねわざわざ」「さんきゅ」「ありがとうございます」
運び終えた莉帆は4人の礼にいちいち応えながら、ゆっくり4人の真ん中に座った。
急にズドンと落ちてくる重い沈黙。
「それで、急に呼び出して話したいこと、って?」
耐えきれないとばかりに、マコトが話を振る。
「あー、えーっと......経緯を話すと長くなっちゃうんだけどね」
「もう、アイドル辞めようと思う」
莉帆の言葉は予想通り、それ以上でも以下でもなく想像のそのままだった。
3人も同じだったのか、驚く者は誰もいない。
「理由は聞いてもいいの?」
「うん」
しかしあとに言葉が続かない。
「無理して言わなくてもいいよ」
嘘だ。言ってくれなければ納得できない。
そんな私達の胸中はわかりきっていたらしい莉帆は、聞いたことがないか細い声で打ち明けた。
「──|星来《せいら》がいなくなってから、限界が来ちゃったの」
アイドルの闇。
読んでくださった方に感謝です!