編集者:るーとに
名前の通り短編集です。二次創作でも曲パロでもなんでも短編集です。
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ペトリコール
12/31。今日は年越しですね。
みんなは笑い合って、一年を振り返り、明日からのことを思う。素敵な日です。
そんな日に、貴方は私の前からいなくなった。「さようなら」を言う暇もなく、いつの間にか。
周りを見れば、笑顔が溢れていれる。私とは大違い。
悲しいことに、明日があるのかも、分からない。
この世で生きていくには、私は些か未熟だっ
た。荒波に飲まれ、揉まれ、いずれ朽ちて消えてゆく。
未来を見据えることなく、過去に縛られ続けた馬鹿なニンゲン。
それが私なのかもしれない。
僕の人生は、僕自身でめちゃくちゃになった。
俺の過去の過ちのせいで。
何回繰り返しただろう、何回泣いただろう。
でも、時は遡ることも止まることもなかった。
長ったらしい話はここまでにして、私も貴方に会いに行きます。良いお年を。
いつまでも、貴方を憶っていました。
素敵な日に大切な人をなくした悲しい誰かのお話。遺書なのかもしれないし、日記かもしれないし。残念ながらこれは短編。この人にとっては大きな分かれ道でも、私たちにとっては短すぎた。報われないですね。
めりーくりすます
イルミネーションが飾り付けられ、キラキラと輝くツリー。街ゆく人々は笑顔を浮かべ、おそらくカップルだろうか。とても楽しそうに言葉を交わしている。
かく言う僕も、彼女がいる。所謂リア充という人種なのだろう。
「ねぇ、見て見て!クリスマスツリーめっちゃ綺麗じゃない?」
「そうだね」
彼女は楽しそうに街を歩く。そんな彼女を見れて、僕も幸せだ。
そうこうしている内に、時間は過ぎ、楽しかった時間も終わりを迎えようとしている。
都心部だからか、まだイルミネーションの明かりはついていて、人も少なくない。
時計の針が進むごとに、僕が彼女と居れる時間は少なくなり、やがて。
(なんか寒気が..そんなに気温は低くないはずなんだけどな)
「クソッ、リア充が..!」
ナイフを持った男がこちらに走ってくるのが見えた。彼女だけは、と直感的に思ったが、気づくには少し、遅かった。
ザシュッ、という音が聞こえるかと思ったが、そんなことはなく無音だ。強いて言うなら服を貫通した時の音くらいしか聞こえないだろう。
真横で最愛の彼女が刺されたというのに、僕はいたって冷静だ。おかしいことだとは思っているが、自分でもなぜ動けないのか分からない。
彼女は自身の腹に包丁を刺された瞬間は、刺されたことに気づいていない様子だった。
しばらくして、彼女は痛みで悶え始めた。そこで僕もハッとして、焦りが出始めた。地面には彼女の血が垂れ、血溜まりが出来ていた。額には変な汗が滲み、そこからはあまり覚えていない。
もう、最初から最後まで、訳がわからなかった。
(もし、彼女と僕が付き合っていなかったら、彼女は..)
今日も水を入れ替え、米をよそい、線香を立てる。
ふと外を見ると、まだクリスマスのムードが抜けきっていないのか、ツリーにはまだイルミネーションが輝いている。
訳の分からないお話です。クリスマスは様々な人に幸福と不幸を届けるのかも知れませんね。