編集者:ミニトマト
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目次
昔助けてくれた男子と同じ中学校になりましたが… (1)
私の名前は|堀井 真希《ほりい まき》。
今日は中学校の入学式。
式が終わって教室へ向かう。
「真希!今年も一緒のクラス!?よろしくね!」
席に座ると真後ろから声が聞こえた。
「ん?あ、菜乃やん!また同じクラスなんや。よろしく!」
小学校4年生の時からずっと同じクラスの|山川 菜乃《やまかわ なの》。
「ごめん、気付かんかった。私、自分の名前しか見てへんかった。」
「うちも自分の名前しか見てへんかったから今気付いた!にしても中学入っても同じクラスってなかなかすごない!?」
「え、やんな。人も増えたしまさか同じクラスになるとは思ってへんかった。」
こんな会話をしていたら先生が入ってきた。
「はい。お待たせしました。1年3組担任の谷内です。ま、詳しい自己紹介とかは明日するんで。で、今日はもうこれで終わりなので、挨拶をして終わります。あ、自己紹介の内容考えてきてね。それでは終わります。気をつけ、礼。さようなら。」
12:00ちょうどに終わった。
「真希、一緒に帰ろ。あ、親と帰る?」
「いや、多分もう帰った。菜乃は?」
「うちも多分帰ったと思う。」
「じゃ帰ろっか。」
別れる直前、菜乃が提案してきた。
「明日自己紹介するやん?どっちがクラス全員の名前先に覚えられるか勝負ね。」
「おっけ!負けへんで!」
「明日一緒に行こ。ここで集合ね。」
「おっけー。バイバイ。」
「バイバイ。」
昔助けてくれた男子と同じ中学校になりましたが… (2)
「おはよう」
「おはよう!」
なんか菜乃がめっちゃ元気な気が…。いつもこんなもんか?でもなんか嫌な予感が…。
「今日菜乃めっちゃ元気やな。いっつもそんな感じやっけ?」
「フッ。中学生にもなったことだしさ、変化があるかもじゃん?」
「いきなりどしたん?」
「いや、うちね、小学生の時から恋バナ好きなんよ。でさ、真希ってあんま恋愛に興味なさそうやなって思っててんけど、中学生にもなったしもしかしたら興味湧き始めてるかもしれへんやん!?だから聞こうと思って!」
「あ、そ、そう…。」
「そう!で、どうなん!?好きな人おるんちゃん!?」
はい。嫌な予感的中〜。私今日も朝から冴えてるわー。好きな人…ねぇ…。
「え、あ、でもさ、中学生になってまだ2日目やと思うんですけど…?クラスの人も把握してへんのにそんなん…ねぇ?」
「好きな人おる?おらん?」
「お、おらん!おらん!」
「じゃあさ、名前言わんくていいから頭の中に思い浮かべるだけ思い浮かべて?」
「え?」
「思い浮かんだ?」
「え、うん。」
1人の男子のことが思い浮かんだ。2年ほど会ってないから変わってるかもやけど。
「じゃあ、改めて聞くで?好きな人おる?」
「おらん。」
「ほんまはおるくせに。」
「おらんって!」
「じゃあなんで好きな人が思い浮かんだん?」
「!!」
ヤバい。やらかした。おらんって言っときながら、「思い浮かんだか」の質問に対して「はい」と答えてしまった。あーあ。
「誰誰!?」
「え、あ、自、自己紹介の勝負負けへんからな!」
「あー!話逸らした!」
昔助けてくれた男子と同じ中学校になりましたが… (3)
自己紹介が始まった。出席番号1番からやって。
「はい。じゃあ自己紹介1番から順番にするから終わったらみんな拍手してね。はい、じゃあ、どうぞ。」
「|荒本 剛史《あらもと つよし》です。好きな教科は社会です。よろしくお願いします。」
剛史かぁ。社会好きなん小学生の時から変わらんなぁ…え?
思わずもう一度剛史の方を見た。
剛史やん!
「みんな拍手しようね。」
あ、拍手忘れてた。過去を思い出しちゃって…あれ?拍手してるの私と同じ大山小学校の子達ばっかりやん?なんで花谷小学校の子達は拍手してへんの?剛史って花谷小やったやんな?…なんかあったんかな?
そんなことを考えていたら半分ほど自己紹介が終わっていた。
聞き逃した!勝負に負けるやん!
そして私の番になった。
「堀井真希です。好きな教科は数学です。好きな動物はうさぎです。よろしくお願いします。」
マジで人に注目されるの苦手なんですけど。なんで毎年毎年自己紹介せんなんの?1年もあったら徐々に覚えていけるんやから別にいらんやろ。
「山川菜乃です!好きな教科は音楽です!吹奏楽部に入りたいと思っています!1年間よろしくお願いします!」
なんであんなふうに喋れるん?不思議でしかないわ。
そして自己紹介が終わり、休み時間になった。
菜乃はすでにいろんな人と話してる。することもないし、ぼーっとしてたら、
「俺のクラスにヤンキーいんのマジ最悪!絡まれたらやなんだけど!」
「俺は殴られたから同じクラスになることないぜ?おもえも殴られてこいよ!」
「やだよ〜。」
隣のクラスの男子が私たちのクラスに来て友達と話してる。てかヤンキー?誰?私のクラスにヤンキーいんの?
「てかあいつ名前なんだっけ?俺忘れたw」
「おい、やめとけってw俺の名前も覚えてへんのか!って言われて殴られるぞw」
「覚えてるよ流石にw女守るために人殴った俺かっこいい!とか思ってそうな荒本剛史だろw」
え?
「ちょっと〜あたし達の前でそいつの名前出さないでもらえる〜?聞くだけで物騒で寒気がするんだけど〜?」
ん?花谷小で剛史めっちゃ嫌われてんの?
下校時間になった。今日も午前中だけ。
「ねぇ菜乃。荒本さんってなんで嫌われてるか知ってる?」
「あーなんか人殴ったらしいよ。小4の時?かな?多分そんくらいの時って聞いた。」
「そ、そーなんだ…ありがとう」
「じゃ、バイバイ!」
「う、うん…バイバイ。」
昔助けてくれた男子と同じ中学校になりましたが… (4)
私は小学校6年間野球をしていた。始めたきっかけは…覚えてない。
小学校は違ったけど、同じ地域の野球チームに所属してたから剛史のことは小学生の時から知ってる。小学校卒業まで一緒に野球がしたかった。でも、ある日剛史が辞めてしまった。
あれは確か小4の時だったと思う。
私はいつも通り練習に向かった。
「今日から新しいメンバーが増える。テレビでよく野球見とったらしくて大体のルールは知っとるらしいけど、完璧やないと思うからみんな教えたってな。」
はぁ、やっぱり男子やな。
そう。実は私が所属していたチームは女子は私1人だけ。まぁ、別に男子だけを受け入れてるところに無理やり入ったってわけじゃないんやけどね。
「落ち込んでんの?」
そう言ってきたのは剛史。
「いや…別に…まぁもう1人ぐらいいてもいいのになーとは思うかも…。」
「まぁな、女子お前だけだもんな。話し相手欲しかったら俺んとこ来いよ。いつでも話すぜ。」
「ありがと」
優しい人だと思っていた。
休憩時間になって休んでいると、今日来た新しい人がこっちにきた。
「女のくせに野球してんの?辞めた方がいいってw」
「え?な、何?急に?」
「いやーお前何もできねー役立たずじゃねぇの?」
「お前よりもすげーよ?」
剛史がきた。
「いやwコイツはどうせ下手だってwこれ以上上手くなんねーよw俺はまだまだ伸びるけどw」
「お前頭大丈夫?暑さでやられた?熱中症か?」
「いやいやw今すぐ辞めちまえ!」
耐えきれなくなって私は泣いた。今すぐにこの場を離れたかった。でもなんでか動けんかった。
「ほら!こんなことで泣くとかメンタル弱い証拠!向いてねぇよ!辞めろ!帰れ!お前の分の練習時間、俺がもらったるからよ!」
ドスッ
剛史がそいつを殴った。
次の日から剛史とそいつは来ることはなかった。辞めさせられたから。
そいつは初めましての日に消えていった。
私がぼんやり立っていると、監督が来て、言った。
「剛史がお前は俺の分も頑張れよと言ってた。」
と。
私はその日から感謝と申し訳なさでいっぱいやった。
助けてくれてありがとう。
私のせいでごめんね。
言いたくても言えんかった。会えへんかったから。
そして、中学に上がって、同じクラスになった。
でも、私のせいでヤンキー呼ばわりされとる。
許してくれるかな?