みいらが○○○○とおやすみするまでのおはなし。
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目次
おやすみいら 起
※これは前編です! 後編まで見た方が絶対いいです!
※でも前編であえて切っちゃうのもいい判断かもしれません! 多様性です!
※でも出来たら後編まで読んで欲しいのが本音です!
※やっぱりどっちも見て!!
ミイラの少女、ヘテプヘレス四世は四千年ぶりに目覚めた。彼女自身も、この事は予想外の出来事だったようで、体を起こすや否や、しばし辺りを見回した。周りにそびえていたのは砂色の石壁。ここがどこなのか、彼女自身も分からなかった。
瞼の裏の暗闇に慣れた視界が今の状況に混乱する最中、彼女は自分の体中に包帯が巻き付いていることに気づいた。これが又きつく縛られており、子供の指では包帯に指もかけられない。
しか、体の包帯と違って、頭部の包帯は確かに緩んでいた。わずかに見える口元や目元が乾燥地帯特有の乾いた空気に触れると、彼女は少し胸をなでおろした。
(ここ、知ってる場所かも)
彼女は、この場所がどういう場所なのかを思い出したようだ。そう、ここはピラミッドという場所で、古代エジプトの時代に作られた巨大なお墓である。ここが巨大な墓だと気付くと、彼女の頭に疑問がぽつんと生まれた。
(でも、なんでお墓に?)
彼女が疑問に思うのも無理はない。すでに死んだからピラミッドにいるのだと仮定して、今こうして動いているのは何故なのか。彼女は頭を傾げて考えてみたが、さっぱり分からない。
しばらくして、彼女は又、だるそうに横になった。
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横になってから、さらに千年ほどの月日が流れた。それでも千年前に目覚めて以来、彼女は一度も眠ってはおらず、常に目は半目である。全く眠くならないのか、それとも、そういう欲自体が空っぽだというのか。
彼女は気だるそうに身体を起こした。砂色のボサボサ髪に潜り込んでいた小石がコロコロと落っこちる。千年間も考え続けた彼女の顔は、相も変わらず感情を忘れたような間の抜けた顔だった。しかし、その唇は勇ましく締まっている。
彼女はぎこちなく、生まれたての小鹿みたく両足を震わせ、立ち上がった。彼女は千年ぶりに辺りを見回してみた。自分を囲む石壁は、わずかに削れて表情を変えた程度でさほど変化はない。
このような空間でも、又はこんな空間だからなのか、彼女は漠然としながらも、とある目標を思い浮かべるようになった。
(ここから、出なくちゃ)
自分が何か奇跡的なものを抱えていると確信したからこその決心だった。いつ自分がただの死体に戻ってもいいように、幼くして病に蝕まれ、外界を知らぬまま塵のように崩れ落ちた人生を補えるように、彼女は今からでも思い出を作りたいと思った。
そんな彼女に味方するかの如く、偶然にも石壁の隅に階段があるのを見つけた。それは千年前には無かったものだ。こんなチャンスはまたと無いと見た彼女は、人一人がやっと通れる広さの階段を足に気を使いながら、ゆっくりと降りていく。
この階段が又、育ち切った毒蛇の腹の中のようだった。妙なところでうねって、妙に長い。たまに登ったりすれば、降りたりもする。途方もない道中ながらも、彼女は一切の弱音を吐かなかった。
意外かもしれないが、明かりについては何の心配も要らなかった。壁に一定の間隔で設置されてるLEDライトのおかげで特に気を付けないといけない足元は万全に照らされている。
これはおそらく、LEDライトに向けて言ってるのだろうか。彼女は「|太陽神《ラー》様、ありがとうございます」と繰り返し唱えていた。今では当然のようにある文明の利器も、彼女にとっては神様のご加護レベルのものなのだ。
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ついに彼女の前に日の光が現れた。包帯にきつく縛られた足が光に向かって急ぎ始める。
はあ、はあ、と心の中で息を切らしながら、木の枝のような足が自然と出口を求める。千年の間で緩んでいた頭の包帯がさらに緩んだ。そしてそれらが視界の前で往復して邪魔をする。それでも走った。もう少し、出口まで、もう少しと。
乾ききった心臓がどくんどくんと鼓動を繰り返す。包帯で締め上げられた足に血が巡る。彼女は石の床を下手くそに駆け抜けた。まるで、今の今まで走り方を忘れていた人間が寸でのところで走り方を思い出したような、一種の人間らしさの復帰がそこにあった。
「はあ、はあ」
永遠かと思われたピラミッドを抜けると、広大で閑散とした砂漠が待ち受けていた。乾燥地帯特有の乾いた空気が彼女の皮膚をぶっきらぼうに撫でる。遠い昔を懐かしみながら、二度とは無い匂いが鼻にしがみつく。
ここら辺には昔、労働者の住む村があった。とはいえ五千年ほど昔のことである。かつては村を作る土台としてあった砂漠も、今となっては燦然として射す日光を受け止めるだけの盾と化していた。
目の前で残酷に広がる盛衰は、彼女の心に得も言われぬ感情を遺した。
(もう、皆、死んじゃったんだ……)
だが、彼女は悲しもうにも悲しめない。体中を巡る水分は今を生きるのに必死で、涙を流すまでの余裕なんてないのだ。
彼女は砂漠に背を向け、町並みに向かって歩き出した。その一歩一歩は今までのどの瞬間よりも力強い足取りだった。
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香ばしい肉の匂いが彼女の嗅覚を刺激した。それは町に近づいている合図で間違いない。彼女は鼻を突き出しながら、足取りを躍らせた。
(これは、牛肉?)
足取りの赴くままに行ってみるなり、そこにはレバー炒めの屋台があった。並外れた大皿のそばに立つ店主らしき人が、片手間に大皿のレバーと唐辛子を混ぜている。
これだけでも実に美味しそうだが、まだまだ調理は終わらない。店主はボトルを大皿の上で旋回させると、タレがそれについていくように流れ落ちていく。タレがレバーにまとわりつくと、スパイスの香りが辺り一面を制圧した。
彼女は目の前の至福な光景に耐えきれなかった。五千年も食事を取っていないのだから当然と言えば当然なのだが、それだけの間食べていなかったら、そもそも食事自体が出来るのかどうかも怪しく思える。
その時、彼女の腹の虫がぐぅと鳴いた。口からよだれが糸を引いて滴る。食事態勢はすでに整っているようだった。彼女は店主に近づき「あのっ」と声を掛けた。店主が振り向く。
「それ、食べたいです!」
空腹で舌のおぼつかない彼女を前に、店主はレバーをナンに盛り付けながら楽しそうに言った。
「お嬢ちゃんのおかげで、今日は記念すべき日になりそうだ!」
「……どういうことですか?」
「俺は今までに色んなお客さんにレバーを売ってきたけど、ミイラのお客さんなんて生まれて初めてだよ!」
「……なるほど」
店主は何気ないジョークのつもりだったのだろうが、相手が本当にミイラだった場合はただの事実報告でしかない。
しばらくして、レバーがたっぷり盛られたレバーサンドが彼女に手渡された。彼女はそのままかぶりつきそうになったが、直前で思いとどまり、突如自分の砂色の髪をまさぐった。そして金色の丸い何かを握ったかと思えば、そのまま「はい」と店主に手渡した。店主はギョッとした。
「お嬢ちゃん、なんだいコレ……?」
「金貨です」
「それは分かってるんだが、いいのかい? レバーサンド一個20|EGP《エジプトドル》だよ? ちゃんと釣り合うのかい?」
彼女は砂漠に咲いた一輪の花のように、麗しく微笑んだ。
「いいんです。私にとって、それだけの価値がありましたから」
それにしても何故、ミイラである彼女が金貨を持っていたのか。実はピラミッドを脱出する時、偶々通りかかった小部屋で自身の副葬品を見つけていたのだ。彼女はその中から数枚の金貨をボサボサの髪に隠して持ってきたのである。
死後の世界でも不自由なくやっていけるように納められた副葬品が現世で実際に使われるなんて、一体誰が予想しただろうか。
「ミイラの嬢ちゃ~ん! ちゃんとお釣り分まで食べに来いよ~!」
レバーサンド片手に立ち去っていく彼女を見送る店主。しばらく、彼女だけはレバーサンドが無料で食べられそうだ。
彼女は人通りの少なそうな路地裏に向かった。路地裏は町並みよりも段違いに静か。それは彼女にとって良条件すぎた。
待ちに待った食事の時間、およそ五千年ぶりである。さっきの優美な表情はどこへやら、彼女は一心不乱にレバーサンドを貪った。レバーは外がカリッとしておりながら、その中は実に滑らかである。レバーに絡みついていたタレは舌から脳へ空腹信号を送りまくり、食欲が無尽蔵に湧いてくる。
レバーサンドが拳くらいの大きさまで食べられると、彼女は大げさに口を開けた。これはまさか一口で食べるのだろうか。彼女がミイラだからか、喉を詰まらせないか心配になってしまうが、その心配はまるでいらなかった。
「あむっ」
口いっぱいにレバーサンドを頬張った。そして、すぐに飲み込み、レバーサンドを完食した彼女は満たされたような表情を浮かべる。
「こんな美味しいもの、初めて……」
食後になると、しばらく彼女は日陰で身体を休めていた。ピラミッドから町まで、ずっと歩きっぱなしだったので仕方がない。彼女の枝のように細い足からは、今にも悲鳴が聞こえてきそうだ。
彼女は太ももをさする。カサカサと乾いた音が鳴った。よくこんな足で歩けたものだと、彼女自身も驚いていた。
その時だった__。
「ふげっ……!」
彼女の視界を紙が覆う。強風で飛ばされてきたのだろうか。しかし、路地裏は風が吹くような場所ではない。それに、紙は風に吹かれて来たように見えた。誰かの落とし物だろうか。
紙を振り払おうと彼女が頭を横に振る。だが、紙は彼女の顔に張り付いて、全く離れてくれない。そのまま頭を振り続けた彼女だったが、ついに目が回って、路地裏にぶっ倒れてしまった。
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ヘテプヘレス四世がぶっ倒れてから、数十分後。ヘテプヘレスの近くを和服の少女が通りかかった。まるで雪をそのまま身にまとったように真っ白な肌の少女は、倒れているヘテプヘレスの周りで膝を合わせてしゃがみ込む。
少女は紙を拾い上げると、思わず口をあんぐり開けた。
「……あたしの地図じゃん!? こんなとこに落としてたんだ」
落とし物との再会に驚いた少女は、自分の落とし物から、ぶっ倒れてるヘテプヘレスに目を移す。いたいけな表情で目をつむっているヘテプヘレス、彼女の母性本能が思わずくすぐられた。
「可愛い……」
少女はヘテプヘレスの幼顔に見とれていた。
ここまで読んだなら後編まで読んで!
後悔はさせない、多分、おそらく、きっと!
おやすみいら 臥
※これは後編です!
※前編から読んだ方がいいかもしれません!
※でも強要はできません! 多様性です!
※やっぱり読む順番とかどうでもいいです! どっちも読んでくれたらいいだけです!
後頭部に柔らかな感触を感じてゆっくり目覚めたら、知らない顔が目の前で微笑んでいた。古代エジプトのミイラ少女こと、ヘテプヘレス四世が目の前の少女に言葉を淀ませながら問いかける。
「あなたは、誰?」
少女は、ふと我に返ったように言葉を紡いだ。
「……あたしは、まあ、呼んでくれるならユキって呼んで」
ユキと名乗る少女は、まさに美少女を体現したような見た目だった。蒼雪のような肌。ほのかに香り、美しく整えられた髪。ヘテプヘレスの砂まみれの髪とセミの抜け殻のような肌とは、まるで真逆だ。
「少し待ってください」
ヘテプヘレスはユキの膝枕から起きようとした。横になったまま話すのは失礼だろうと思ったのだろうが、青白い腕がそれを阻止させた。
「いいよ、このままで」
「でも」と呟きながらも、ヘテプヘレスは言われるがままにユキの膝に頭を置く。まるで吸いよせられるように。
それだけユキという少女の膝の上には不思議な魅力があった。ユキ自身がそれに気づいてるかは分からないが、気づいてるとしたらなんて魔性な女だろう。
スルーッと、ユキはヘテプヘレスの包帯だらけの身体に視線を滑らせた。
「ねえ、名前、なんていうの?」
「……ヘテプヘレスです」
「へてぷへれす? 変わった名前だね」
「そうですか? でも、ユキさんも変わった名前ですね。まるで異国の方みたいな……」
ユキが「そうそう!」と声を跳ね上げた。ヘテプヘレスが目をパチクリさせる。
「実はあたし、日本って国から来たんだ。ここから遠いところ」
「……にほん。やっぱり、異国の人なんですね。エジプト語、とてもお上手です」
曇りなき目で褒めるヘテプヘレス。
「ふふ」とユキが笑みをこぼした。
「ありがとね。数百年も生きた甲斐があったわ」
「……数百年?」ヘテプヘレスは聞き逃さなかった。
自分の聞き間違いでなければ、今、確かにユキは数百年と言った。これが何を意味するのか、ヘテプヘレスの乾ききった脳みそじゃ何も考えられないが、このユキという少女はなにか重いものを背負っているように見えた。それも長い間。
ヘテプヘレスの鼻の奥を自分と同じ匂いが駆け抜けた。
「失礼かもしれませんけど、ユキさんって何歳なんですか?」
「あら、聞いちゃう?」
はぁ、よく冷えた吐息が皮膚をなぞる。
「17……って言いたいところだけど、ほんとはね、今年で526歳」
「人ってそんなに生きられるんですか!?」
想定外の数字にあわあわするヘテプヘレスの口に、人さし指がそっと置かれた。
「……実はあたし、人じゃないんだ。大昔の話だけど、あたし、結核にかかっちゃって死んじゃったの。それでいつの間にか『一反木綿』って妖怪に生まれ変わっちゃってね。それからずーっと、この世界を飛び回ってるの」
何気なさそうにユキは空間を見つめた。独特な空気が漂う。
へテプヘレスがその空気をぶち壊すかのように呟く。
「いったんもめん?」
「そう。木綿が好きな怪物で、自由に空を飛べるの」
「空をですか? ……羨ましいです」
「空、飛んでみたいの? へテプちゃん、そういうタイプに見えなかったなー」
「そうですか? 私、こう見えても鳥に憧れてるんです。ホルス様みたいな」
ヘテプヘレスが両腕を斜め上に伸ばしてパタパタする。
ふふ、とユキは穏やかな笑みをこぼした。
気づけば、目の前のミイラの少女の|幼《いとけな》さに心にへばりついていた闇が洗われていた。
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今より約500年前、普通の少女ユキが結核で死に、もとい一反木綿の少女ユキが生まれた。
一反木綿といえば思いつくのは木綿みたいな姿だが、少なくともユキはただ白い木綿の着物を着ているだけだった。
しかし、この頃のユキは自分が一反木綿に生まれ変わったなんて知る由もない、ましてや一反木綿という存在さえ知らない。自分が今どういう状態なのか分からないのは、この時のユキにとって少し苦痛だった。
それでもユキはひとりぼっちで村に残り続けた。自分が結核で死んだ日からずっと、両親が早くに死んでも、とっくに老いた友達が一人ひとり死んでいっても。寂しさに日々襲われながらも。
妖怪になったユキは生きている人間、そこにある物に干渉することができない。これはユキにとってかなり苦痛だった。この時に生まれた闇はユキの心を徐々に蝕んでいき、自分の存在価値を疑わざるを得なかった。
どうして自分が妖怪に生まれ変わってしまったのかと思い悩むこともあった。毎日、毎日、どれだけ死にたいと考えたか。
しかし、人間と違って妖怪は自殺できない。この紛れもなく高い壁のような事実が何度もユキに立ち塞がる。
壁に見下ろされる日々を送り続け、自分が限りなくちっぽけで情けなくてどうしようもない親不孝者だと毎日毎日毎日毎日、絶望の水たまりに身をずっぽり漬かっているうち、ついにユキは吹っ切れた。
そのとき、絶望の水たまりがあっさりと渇いた。
ある日、ユキは決心をした。この村から出るという決心だ。妖怪になっても一度も村から出たことがないユキにとって、この決心は並々ならぬもの。
自分は誰にも見えない。自分を知る者はもうこの世界にいない。そして自分は空を飛べる。空を飛べるなら高い壁を越えられる。ユキは初めて故郷の村から飛び立った。妖怪に生まれ変わってから実に400年経っていた。
故郷を出発したユキは、日本中を旅した。
北海道から沖縄まで、隅々まで旅した。
自分が一反木綿という妖怪なのかもしれないと知った。
全ての絶景を巡って、日本中の美味しい食べ物を食べた。しかし妖怪の食事は舐めるだけで済むので、味はするが味気ない。
長い時間をかけて日本中を隅々まで飛び回り、日本のほとんどを知り尽くしたユキは、ついに外国に手を伸ばした。
田舎の村で外界を知らぬまま死んだ少女は、いつの間にか妖怪となって世界を旅しようとしていたのだ。
最初の旅先は大韓帝国だった。一年ぐらい旅しまくったら、次はお隣の清。そんなお手軽世界旅行を何度何度も繰り返しているうちに、ユキはエジプトに辿り着き、そこでへテプへレス四世に出会ったのだ。
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「ねえ、へテプちゃんって何歳なの? そもそも覚えてる?」
「わかりません……」
「そうだよね。でもあたしが見た感じ、へテプちゃんは古代エジプトぐらいの人なのかなって思った」
「つまり、何歳なんですか?」
一瞬、ユキは顎に手を当てたかと思えば、へテプへレスの耳に口を近づけていた。
「5000歳以上……」
「え……!?」
「歳だけ見たら、へテプちゃんはあたしの大先輩なんだよねー。でもこんなに可愛いんだもん、羨ましいのはあたしの方だよ」
木綿のようにサラサラとした指がへテプの頬を撫でた。くすぐったさに背筋がピクンと跳ねる。太ももその感触が伝わったのか、ユキは妖しげに笑った。
「くすぐったい?」
「は、はい……」
「じゃあ、もっとしてあげる」
「や、やめてください……」
ベンチの上で繰り広げられる甘々な光景。まるで永遠に続きそうだった。いや、本当に永遠にやるかもしれない。死という概念をそこらへんに捨て去ってしまった二人なら。
「私がここまで歩いたのは……この子と会うためだったのかな」なんて、陽に目を細めながらヘテプヘレスが思う。
丸みのある日差しが、時間をかけて二人に覆いかぶさった。
しばらくして、二人は眠りについた。この上ないような、安心しきったような顔を浮かべて。
おやすみ、ミイラと一反木綿。
次に目を覚ます時は、いつだろうか。
前編から読んでくれた方は本当にありがとう!
後編から読んでくれた方はちょっと休憩してから前編も見てね!!
よければファンレターもください!