ごめんね、(やっぱり)タイトルダサくて。
異世界転移…ではないかもしれないね、うん。自由に行き来してるし。
ちなみに、「疎開島」の名前の由来は……
「浮世のいざこざから逃れた人たちが集う場所だから」だよ。
番外編はこちら。結構進んでるよ↓
https://tanpen.net/novel/series/3d2d1bea-a47a-4d57-9966-cf6b38b11039/
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目次
第1話 はじまり
遠くから聞こえるたくさんの人たちの悲鳴。荒れ狂う波の音。
…全ては、ここから始まったのかもしれない。
--- 〈某年某日〉 ---
「えっと……この籠って、ここに置いておいたらいいですか?」
「えぇ、いつもありがとねぇ、おひいさま」
太平洋に浮かぶ島国、ハナ国。人口が30人にも満たないその小さな国は現在、1人の女性によっておさめられていた。
「ほれ、いつも手伝ってくれるお礼じゃ」
そう言って、老婆たちは先ほど収穫していた果物が数切れ載った皿を差し出してくれた。
「ほんに、この国は年寄りしかおらんからのぉ、おひいさまみてぇな若い子が働いてくれると助かるんでさぁ」
「え、本当ですか!?こちらこそいつも賄いを…すみません!ありがとうございます!」
---
私は、ティア・ハイビスカス。このハナ国のお姫様で、昔、海の向こうから流れ着いた捨て子らしいんだけど、あんまりそのことは覚えてない。お姫様ではあるけどいつも暇だから、さっきみたいに島の人たちのお手伝いをよくやっている。
「ん〜!あの人たちの作る果物、いつも美味しいんだよねー…!」
小高い丘のてっぺんにあるベンチに座って、もらった果物を頬張る。たくさん人助けをすると、それだけ多くの人たちの笑顔が見れたり、いろんな産業の進捗状況が見れたりして、お互いにウィンウィンなんだよねー。
…ま、賄いも嬉しいし。本当はこっちが|主《おも》だったり、なんて。
「はぁー、疲れたぁー…」
このベンチに座って国を一望するのが、私の一番お気に入りの暇潰し。こう座ってる目を閉じてると、海のさざなみとか、人々の甲高い声とかが聞こえたり……。
………。
「……え?」
何かがおかしい。私は飛び起きて周りを見回した。遠くから聞こえるたくさんの人たちの悲鳴。荒れ狂う波の音。目の前に高さ20m以上の高波。この小さな島国を、かつてないほどの巨大な津波が飲み込んでいた。
「みんな、早く島の沖のボートに…!」
そう叫んでももう手遅れ。島に今まで津波なんて来たことないから、高台?そんなものはない。あるのは、この丘だけ。だけど、津波の高さの方が|勝《まさ》っていた。
「……あ…」
島の人たちの姿が一人も見えなくなる。全滅、した。そう思った瞬間、第2の、より高い波が丘に押し寄せる。
「………!」
私も島の人たちの様に、波に飲まれる。夏の生ぬるい水の感触。水の流れる音が、耳元でする。激流のため、泳ぐことはほぼ不可能。
死ぬ。そう思った。目を瞑り、両手を胸の前で組む。今の私にできることは、神頼み、それだけ。
(神様…!どうか…、どうか………!)
組んだ手が力んだ瞬間。目の前が白く、眩く光った。体に纏わり付く水の感触が消え、ふっと体が宙に浮かんだ気がした。
そこで、私の意識は無くなった。そこからどうやって……。
---
どうやってこの、ハナ国とは似ても似つかないくらい緑に覆われた島に着いたのか、分からない。
最後まで読んでくれて、ありがとう……っ!
応援コメ、ファンレター、待ってます!
第2話 漂流
何処かも分からぬ大洋の上に浮かぶ六芒星、それが「疎開島」だった。
目を開けると、見知らぬ海岸が見えた。
私は……
……あ…そうだ。ハナ国……。
しかし、後ろを振り返っても何も見えなかった。
(全滅…………ま、いっか……)
ぼんやりと、海の向こうに何か見えることを願ったけど、何も見えなかった。
(かなり遠くまで流されちゃったのかな…)
立ち上がって、身体中に付いた白砂をはらい落とす。
足元を見ると、海上に私が映っていた。
砂で白く汚れた赤いワンピースに青緑色のリボンが輝いている。茶色の腰までの巻き毛に、頭には白色のハイビスカス。
(あ、まだ服汚れてる……)
水で洗い流そうと島に背を向けた時。
「……誰だ」
「ひゃぁっっ!??」
振り返ると、先ほどまで誰もいなかった場所に、一人の男性が立っていた。紺色の肩ぐらいまでの髪で、青色の襟のセーラー服を着ている。
「……名を言え」
「いや、急に何なんですか!??」
そこまで言って、私は青年が手に持っている物に気づいた。
……尖った…枝?それを私に突きつけながら、じりじりと迫って来る。彼の青い目がかすかに光ったように見えた。
「答えないなら……刺す」
「え、ちょっと待って待って待って!!」
どうしよう、せっかく一命をとりとめたばっかりなのに、こんな死に方……!
私は一息深く吸って、自己紹介をした。
「…えー…、ティア・ハイビスカスです、で、その……その枝、下ろしてくれますか?」
そう言って、頭を下げる。
「………」
…無言。
「えぇっと……お願い、だから、刺すのは……」
「………」
「……あ、あのっ、……!」
沈黙に耐えきれなくなって、私は少しだけ顔を上げた。
「…あれっ……?」
…そこには、誰もいなかった。
「……?」
さっきまで、確かにいたのに……?
---
それから、私は島を探索することにした。
ちなみに、今わかったこと。
その一、この島は何とは分からないが、特殊な形をしている。
その二、島にはまるで生き物がいない。
その三、島に生えてる木の実は大体食用。
その四、島の真ん中に湖があって、そこの水は飲める、安全な水。あと、その湖の真ん中になぜか何かの装置?みたいなものがある。
その五、島の気候はとてもちょうどいい。暑くも、寒くも無い。
そして、あと……
「…あ、」
「……!」
さっき枝を突きつけてきた人に会った。
島に生えている一本の木の下に座ってる。どうやら、ふっと消えたりふっと現れたりしてたのは、普通に島の森の中に入ったり海岸に出てきてただけだからっぽい。
「さっきの人…」
「……」
ふいと顔を横に向ける。そこで私は大事なことをひとつだけ思い出した。
「あ!そういえば、あなた!まだ名乗ってないじゃん!」
向こうから「名乗れ」とか言ったくせに、私この人の名前知らないんだけど。
「…名乗る義理は、無い」
「…えっ?」
え、あれだけ私の名前は聞いてきたのに、自分の名前は言わないの?
…変なの。
「ねぇ、なんで名前言わないのー?」
少しだけ、近寄ってみる。
「…寄るな!」
…飛び退かれた。ちょっと、悲しい、かも。
---
それから、私たちは基本、それぞれ別々で行動をしていた。というより、普段あまり見かけない。少なくとも日中は全く見たことがない。
だけど、たまに話したりする機会はある。よく大抵は睨まれるか、無視されるかのどっちかだけど…。
そして、今日。島にきて1週間ぐらいがたった。水と食べ物があるから、なんとか生きれてる。
洗顔をしていると、不意に背後に気配を感じた。振り向くと、やっぱり彼が立っていた。初めて会ったときも、後ろにいたんだよね…。
「?どうしたの?」
「……」
無言で果物を数個差し出してくる。
「くれるの?ありがとう!」
「…………」
「…どうしたの?」
「……」
「…俺……」
「…?」
少し俯いて、か細い、それでもはっきりとした声で彼は話した。
「…俺は……|白海大河《しらみたいが》……、」
「…大河くん?」
小さく頷く。
「大河くん!よろしくね!」
この時、私は知らなかった。
彼がまだ、たくさんのことを隠していることについて……
ほんと可愛いよねー、こーくん!(言っちゃった…)
最初は、はーちゃんのことをすっごい警戒してたんだよー!
続きをお楽しみに!
第3話 すれ違い
あれから、私たちは一緒に行動するようになった。
島の一角に立てられた小さなテント。これは、木の枝や葉を使って大河くんと作った物。
大河くんは、昼間にはあまり見かけないけど、夜になったらテントに戻ってくるようになった。
彼がいない間、私は木の実を拾ったり、水を汲んだり、そして最近は土器とかも作ったりしている。
……この島は、まるで誰かがここでサバイバルをする用に作られたかのように、気候・水質・土の種類・生えている植物の種類などが人間に適している。
---
土を練って、平皿の形にする。
「これで、4つめ……かな?」
2人しかいないし、お皿なんて4つもあれば足りるでしょ。
一旦外に出て、太陽の位置を確認する。……もう殆ど沈みかけ。
(今日はちょっと帰るのが遅いなぁ……)
いつもは太陽が沈むほど遅くはならないのに。
(暇だからコップも作ろうかなぁ……)
そう思って土を取りに行こうと立ち上がると……、
島の中心にある湖の方から、大河くんが帰ってきた。
「あ、おかえ……」
おかえりなさい、と言おうとした時、私は彼の異常に気づいた。
外見が変わってるとか、知らない人を連れてるとか、そういう感じじゃない。
呼吸が荒い。手を握ると、大量の水分の感触がした。顔色も少し悪い。
「……どうしたの?」
恐る恐る聞いたけど、首を激しく横に振るだけで、何も答えてくれない。
「ねぇ、大丈夫?」
「……」
「大丈夫なの!?答えてよ!」
だけど彼は私の手を払いのけ、テントの方へ無言で向かって行った。
……テントに向かう途中に、一回だけ、大河くんがこっちを見た。
その目は、いつものような青色じゃなかった。
夕暮れ時の薄暗い森の中で、赤紫色に光っていた。
前の2話よりかなり短い……。だって…忙しかったし……、ちょっとめんどくさいとこもあるし……あと……(言い訳タイム)
第4話 事故
「……あいつに言うべきだろうか…」
身体がゆっくりと溶け始める。
「………」
本当のことを。俺の、13年前の後悔を。
「おっっそいなぁー……」
大河くんがいなくなってから、おおよそ1時間経過。日もかなり暮れている。そろそろ心配になってきた。
「……よし!探そう!!」
そう独りごちて待機場所の|仮住居《テント》から体を出した。
---
おそらく彼は、島の中央の湖のあたりにいる、はず。気分転換にはうってつけの場所だし。
でも、疲労には敵わない。
「この島、こんなに、広かったっけ……」
前に島全体を歩いて回った時より、広く感じる。同じような背の高い木が同じように生えているこの島のことだから、同じ場所をずっとぐるぐるとまわってる、という可能性もある。
上から見下ろせたら良いのに………、あっ。
「現役27歳……、ナメないでよねっ!!」
そう意気込み、一番登りやすそうな木に手をかける。
…威勢だけは合格だった。ずるずると上空(?)30cmほどから滑り落ちる。まぁ、そうだよね………。木なんて登ったこと無いし………。しかも、服汚れたぁ………。
運動→×、成績→×のただのお人好し。そんな私が持っているのは、他人の手伝いという経験だけ。だけど、人探しに頭の良さなんかいらないでしょう?
その時、背後が白く光った。振り向くと、湖が月の光を淡く反射していた。
結果、私は目的地に着くことができた。
---
湖の中央に、ボタンのようなもののついた細長い棒が立っている。でも大量の水に囲まれてるから、行こうと思ったことは、無い。
あれって、何の為にあるんだろう……。
その一瞬、私は本来の目的を忘れて森に背を向けていた。
背後に気配と敵意を感じる。私の背丈の、何倍もの。
「ブルームドーム!」
何年ぶりだろう。久しぶりに自分の周囲に球状のバリアを張った。
身の安全を確保してから、奇襲の正体を目視する。
5mはある背丈に丸っこい輪郭。目は、鮮やかな青色だった。
「…た、大河…くん…?」
「………」
いつもにまして、冷やかな眼光が胸に刺さる。
「な、なんで……?」
「………はは」
目の前の異形が、狂ったように笑いだす。何か、おかしい。普段彼はこんな風になんて笑わない。ていうか、笑ってるところ自体見たことがない。
彼の手、と言っていいのかわからないものが私のバリアに勢いよくぶつかる。反動で、少し後ろに押される。でも、これが本当の背水の陣。前にはかつて仲間だった筈のもの。後ろにはどれだけの深さなのかわからない湖。絶体絶命。
もう一撃。先程までとはいかないが、また反動で、今度は岸ギリギリまで押される。
おそらく、次が最後……!
「い、いやぁぁぁぁっっっ!!!」
その時。振りかぶっていた触手が止まり、異形が姿を消した。
ううん、厳密には、元の姿に戻って、意識を失った。
わぁいわぁーい!!
(作者のIQ低下中)
第5話 真実
……どうも、大河?です。……いきなり俺の一人称視点になっていることは気にしないでくれ。
…いや、前も1回あったか?俺視点。……まぁ、一旦メタは置いておいて。
今、俺は……。
「ねぇ、さっきのって何?なんで急に襲ってきたの?なんで??」
……大音量で、質問攻めをされている。
「ねーねーねーっ!!急にどうしちゃったの!??」
「あー…うるさいうるさい」
「むぅ………」
起き上がってもらってこれは本当に申し訳ないんだけど……とりあえす一発ビンタ。
「……はぁッッ!!」
--- ベシン!!|(イマジナリー効果音)《※イメージです》 ---
「痛っ!?…くはないか…」
--- 【大河(?)くんに2(%の)ダメージ!】 ---
はぁー……。私、初めて自分の非力さを恨んだ気がする。
「じゃ、ゴーモン?は終わったからー、洗いざらい話してもらう!ほんとーのこと!」
「…お前、本当に拷問の意味知ってる?」
……正直言って、初めて会った時から彼はおかしかった。
いきなり喧嘩腰で、私のことをすごく警戒してた。ううん、それは普通、なのかな。私でもいきなり知らない人に話しかけられたら、警戒しちゃうし。だからって、殺意マシマシでくるのは……。
あと……あれ!昼間に定期的にいなくなるとことか!緑がいくら生い茂ってる島でもさ、そんなに面積が広いわけでもないし、人が見つからなくなるようなことなんて………ん?私さっき……この島で迷子になってたような……。
でも!とにかく、大河くんは変!(失礼)
「…本当のこと、か……」
そう小声で呟く声を、私は聞き逃さなかった。
「え、話してくれるの!?」
「………」
目の前に座る彼は、ふっと俯いた。
そのまま、ゆっくりと話す。
「……俺、人殺しなんだよ」
---
「……え?」
人……殺し?
隠し事という大罪を犯した罪人が、ゆっくりと息を吐きながら、一度曝けた真実の後を続ける。
「…言ったとおりだ。俺は、殺人を犯したことがある」
「………」
人を殺した…って……。
え、《《それだけ》》?
私だってさ、別に殺し屋とかじゃないから、目の前で急に人がバタン!ってなったりしたらー、「うわっ」とか「きゃぁ」とか言うけどさぁ……。
《《そんな引き摺るようなこと》》?
だいたい人の命って、儚いーとか、切ないーだとか、そういう重いものーって感じで扱われるけどー、
所詮80、多くて100年ちょいだよ?人生って。ぺらっぺらじゃん。
知ってる人とか、死んだら、まぁ、悲しいけど……一瞬じゃん。
…流石に、自分が死ぬのは別だけど。自分自身の命はぺらぺらじゃないもん。他の人たちにとっても「僕、私の命は紙じゃない!」とかあるだろうけどー……、それは、なんだろ?自分で勝手にしてーって感じ。ジコボーエイ?したらーって。
自らが手を染めるのも一緒じゃない?紙とか、ちょきんって。それだけ。ぺらっぺらの命を切って。ぺらっぺらの悲しみとか憎しみの思いを向けられて。なんだろ、バカラシイっていうのかな、こういうのって。
「…大河くんが人殺し?とかでも、私は別に気にしないよ?」
「……」
「だってさぁ、大河くん……優しいじゃん!気にしてあげたりして!」
命って、紙切れ同然なのに。
「引き摺ったもの負け、だよ?」
「………。」
大河くんが、顔を上げる。その目は、赤くない、いつもの青い目だったけど、その目の奥が黒く、曇ってる。…疑念?なんでだろ?励ましてあげただけなのに。
「……励まし、か?」
「…あ、なんだー、分かってるんじゃんー」
えへへ、ってちょっと笑ってみる。
「……あと、俺……本当は、大河とかいう名前じゃない」
「…え?」
「……俺は…皁崎黄河…、人間、ではない」
人間…じゃない?
「…ちょ、ちょっと、何言って(」
「いや、嘘ではない」
嘘とは言ってないしぃ……。
……まぁ、こっちとしても信じざるを得ないんだけどね…、あれ見た後だと。
「……あとは追々話す」
「ふーん……」
…なるほど!情報過多!脳が死ぬ!
「……というわけで!」
私は、そう言って手を差し出した。この情報の海からの逃避行。
「改めて、よろしくね!黄河くん!」
「……よろしく」
ある日の太陽がちょうど地平線から頭を見せる頃、こうして私たちの新しい生活がようやく幕を開ける始めたのだった。
はーちゃん、よく命についての考え方バグってんだよなー…。
根っからのサイコパス?かな?
…こいつが攻撃手段を持ったらどうなるんだろー。