編集者:AKI🧣
――私の頭の上の数字は、人よりずっと早く進む。
親にも見捨てられ、学校でも孤立し、生きる希望なんてなかった。
早くゼロになればいい。そう思っていたはずなのに。
「君」と出会って、初めて「生きたい」と願ってしまった。
残された時間は、あとわずかしかないのに――。
生きる意味を失った少女と、彼女の時間を変えた「君」の、最も儚くて美しいカウントダウンが始まる。
続きを読む
閲覧設定
名前変換設定
この小説には名前変換が設定されています。以下の単語を変換することができます。空白の場合は変換されません。入力した単語はブラウザに保存され次回から選択できるようになります
1 /
目次
生まれてから死ぬまでのカウントダウン(登場人物)
これは登場人物紹介です。
■ 天野 雫(あまの しずく) / 主人公
頭上のタイマー: 周りの人の10倍以上のスピードで減っている。残された時間はあとわずか。
紹介文:
生まれた時から、人より圧倒的に早く進むカウントダウンを持って生まれた少女。
家では親からの虐待に怯え、学校では心を閉ざして周囲から孤立している。「どうせすぐ死ぬんだから」と、自分の人生も世界もすべて諦めていた。
しかし、ある放課後、「君」に声をかけられたことから、灰色だった彼女の日常が、残酷なほど美しく色づき始める。
■ 一ノ瀬 春馬(いちのせ はるま)
頭上のタイマー: 平均的な長さ。主人公とは対照的に、まだまだたくさんの時間がある。
紹介文:
雫のクラスメイト。普段は誰に対しても優しく、どこか掴みどころのない雰囲気を持つ少年。
実は、普通の人には見えないはずの「他人のカウントダウン」が見えるという秘密を持っている。雫のタイマーが残りわずかであることに気づき、放課後の教室で彼女に声をかける。雫の孤独をそっと包み込むような、温かい光のような存在。
■ 黒崎 結愛(くろさき ゆあ) / クラスの輪の中心にいる女子
頭上のタイマー: あと70年近くあり、のんびりと進んでいる。
紹介文:
雫のクラスメイトで、いつも友達に囲まれている目立つ存在。悪意があるわけではないが、いつも暗く、親の虐待によるアザを隠そうとする雫のことを「なんか気味が悪い」と敬遠し、クラス全体で雫を孤立させる原因を作っている。未来の夢や楽しい予定に溢れており、雫にとっては「自分とは違う世界の住人」の象徴。
■ 雫の母親と父親
頭上のタイマー: 平均的(自分のことしか考えていないため、のうのうと生きている)。
紹介文:
雫に対して理不尽な暴力を振るい、暴言を吐き続ける親。雫の頭上の数字が異常に早いことなど知る由もなく(普通の人には見えないため)、「お前なんて生まれなきゃよかった」と雫の心を削り続ける。雫が「早く死んでしまいたい」と思う最大の原因。
って言う感じの登場人物紹介でした〜‼️
次から一話とか書きます‼️
生まれてから死ぬまでのカウントダウン 一話
--- 第一話:数字だけの世界で ---
すべての人間の頭上には、生まれた瞬間からデジタル時計のような数字が浮かんでいる。
【78年 04月 12日 05:12:04】
街を行き交う人たちの頭上を見上げれば、だいたいはそんな風に、気が遠くなるほど長い時間が刻まれている。みんな、その数字を「当たり前」のものとして見つめ、何年も先の未来の話を楽しそうにしている。
けれど、私の頭上にある数字は、それとは全く違っていた。
【00年 02月 14日 18:24:11】
あと、たったの二ヶ月。
私のカウントダウンは、生まれた時から他の人の何十倍ものスピードで、ものすごい勢いでゼロに向かって進んでいる。
でも、私にはそれが嬉しかった。早くこの世界から消えてしまいたかったから。
「おい、いつまで寝てんだよ。さっさと起きろよ、役立たず」
冷たい罵声とともに、硬いプラスチックのゴミ箱が私の背中に叩きつけられた。中のゴミが床に散らばる。鈍い痛みが走るけれど、私は声を出さない。声を上げれば、さらにひどい暴力が飛んでくることを知っているからだ。
母親にとって、私は自分の人生を邪魔するお荷物でしかない。
「ごめんなさい……」
俯いたまま床を片付け、学校の制服に着替えて逃げるように家を飛び出した。長袖のセーターの袖をきつく握りしめ、腕にある新しい青あざを隠しながら。
学校に行っても、私の居場所なんてどこにもない。
教室のドアを開けると、朝の賑やかな声が耳に刺さる。
「あ、おはよう……結愛ちゃん」
クラスの中心にいる黒崎結愛(ゆあ)に、勇気を出して声をかけてみた。けれど、彼女は一瞬だけ嫌そうな顔をして、すぐに自分のグループの友達の方を向いた。
「ねえねえ、夏休みの旅行どこ行く? 楽しいこといっぱい計画しよ!」
結愛たちの頭上には、あと70年近くある輝かしい時間が浮かんでいる。楽しそうな未来の話。私には絶対に訪れない、遠い世界の話。
クラスの誰もが、私のことなんて透明人間のように扱い、関わろうとはしない。
家でも、学校でも、私は一人ぼっちだった。世界は灰色で、冷たくて、どこを見渡しても絶望しかなくて。
(早く、ゼロになればいい……。そうすれば、全部終わるから)
夕暮れの放課後。夕陽が教室を赤く染める時間。
誰もいなくなった放課後の教室で、私はぽつんと窓際の席に座り、窓ガラスに映る自分のカウントダウンを見つめていた。
【00年 02月 14日 16:02:55】
【00年 02月 14日 16:02:54】
一秒、また一秒。私の命が確実に削られていく。
早く、早く終わってほしい。そう願って、そっと目を閉じた。
その時だった。
「……やっぱり。君の時計、もうすぐ止まっちゃうんだね」
静かな教室に、場違いなほど穏やかな声が響いた。
驚いて目を開けると、いつの間にか私の席の前に、クラスメイトの一ノ瀬春馬(はるま)が立っていた。普段は誰にでも優しくて、クラスの人気者で、私とは正反対の「光」の中にいる男の子。
彼が、愛おしそうに、そして少しだけ悲しそうに私の頭上を見上げている。
「え……?」
声が震えた。普通の人には、他人のカウントダウンの数字なんて見えないはずなのに。
春馬は驚く私を見て、ふっと悪戯っぽく笑うと、私の前にしゃがみ込んだ。そして、冷え切った私の手を、両手でそっと包み込むように握りしめた。
彼の温かい体温が、じわが、と私の心に染み込んでいく。
「ずっと気になってたんだ。いつも一人で、今にも消えちゃいそうな顔をしてるから」
春馬は私の目をじっと見つめ、静かに、だけど真っ直ぐにこう言った。
「ねえ。その最後の時間、僕に預けてくれない?」
カチ、と、私の頭上の数字が動く。
灰色だった私の世界に、生まれて初めて、鮮やかな色がついた瞬間だった。
(第一話・終わり)
きゃああああ❣️やばくないですか一話‼️
私の表現力‼️これぞ、天性の才能、、✨🪽
なんちゃって⭐️
一話は春馬との関係がちょびっとできるやつです‼️
二話もお楽しみに❣️
生まれてから死ぬまでのカウントダウン二話
--- 第二話:灰色の世界に、君が触れた ---
【00年 02月 13日 08:15:32】
翌朝、目が覚めて最初に視界に入ったのは、昨日より確実に減っている自分の数字だった。
あと、二ヶ月と、あと十三日。
(……夢じゃ、なかったんだ)
昨日の放課後、一ノ瀬春馬に手を握られて言われた言葉が、ずっと頭から離れない。
『その最後の時間、僕に預けてくれない?』
思い出すだけで、心臓の奥がトクンと跳ねる。人からそんな風に求められたことなんて、生まれてから一度もなかったから。
でも、いつものように重い足取りで学校へ向かい、教室の席につくと、すぐに現実へ引き戻された。
春馬はいつものように、クラスの中心で黒崎結愛たちと楽しそうに笑い合っている。彼の周りにはいつも、たくさんの人が集まる。
やっぱり、昨日のことは何かの間違いか、ただの気まぐれだったんだ。私みたいな暗い人間が、彼に関わっていいはずがない。
そう思って、私はまた透明人間になるように、机に突っ伏して気配を消した。
キーンコーンカーンコーン――。
お昼休みを告げるチャイムが鳴った瞬間だった。
「天野さん、いこ」
突然、頭上から声が降ってきた。
びっくりして顔を上げると、そこにはお弁当箱を持った春馬が立っていた。クラス中の視線が、一斉に私たちに集まるのがわかった。結愛たちが「え、なんで?」という顔をしてこちらを見ている。
「え、あ、どこに……?」
「いいから、お弁当持って。お勧めのお昼寝スポットがあるんだ」
戸惑う私を置いて、春馬は私の手首をそっと掴むと、そのまま教室の外へと連れ出した。
彼に引かれるままに辿り着いたのは、普段は鍵がかかっているはずの、古い旧校舎の屋上だった。
「ここ、先生たち滅多に来ないから静かでいいんだよね」
春馬は風に髪を揺らしながら、気持ち良さそうに背伸びをした。
私は、錆びついたフェンスに背中を預け、恐る恐る彼を見つめる。
「あの……一ノ瀬くん。なんで私なんかを……。クラスのみんなも、変な目で見てたし……」
「『なんか』って言わないの。あと、僕のことは春馬でいいよ」
春馬は私の隣に歩み寄ると、地べたにパタンと座り込んだ。そして、自分の頭上を指さす。そこには【62年 08月 11日】という、途方もなく長い数字がのんびりと刻まれていた。
「僕にはね、生まれた時から他人のカウントダウンが見えるんだ。だから、みんながどれだけ未来を楽観視してるかも、どれだけ時間を無駄にしてるかも、全部わかっちゃう」
春馬は少しだけ寂しそうに笑った。
「でもね、雫ちゃんの数字を見た時、胸が苦しくなった。こんなに早く進む時計を背負いながら、君は毎日、一人で耐えてるんだなって。だから……君が世界を嫌いになって消えちゃう前に、楽しいことをいっぱい教えたいって思ったんだ」
「春馬、くん……」
私は言葉に詰まった。
私の腕のあざのことも、家でのことも、彼は詳しくは知らないはずだ。なのに、私の孤独を全部見抜いているような、そんな優しい声だった。
「ほら、お弁当食べよ。あ、それ僕の卵焼きと交換ね」
春馬は私のお弁当箱から勝手にウインナーを奪うと、代わりに自分の綺麗な卵焼きを私のスペースにぽんと置いた。
口に運ぶと、じわりと甘い味が広がった。
「……美味しい」
「でしょ? 雫ちゃん、笑うと可愛いじゃん」
悪戯っぽく笑う春馬の顔を見て、胸の奥がキュンと痛む。
こんなに優しい人がいるなんて、知らなかった。世界がこんなに温かいなんて、知らなかった。
けれど、彼の笑顔が眩しければ眩しいほど、私の視界の端でカチカチと進む、赤いデジタル数字が嫌でも目に入る。
【00年 02月 13日 12:40:05】
【00年 02月 13日 12:40:04】
生きたい。
初めて、そう思ってしまった。
この人と、もっと一緒にいたい。明日も、明後日も、来年も。
でも、私の時計は止まらない。
幸せを知ってしまった私の心に、残酷なカウントダウンの音が、昨日よりも大きく響き始めていた。
(第二話・終わり)
第二話、いかがでしょうか❣️
お昼休みに強引に連れ出す春馬のカッコよさと、初めて「生きたい」と願ってしまった雫の切なさが混ざり合う、エモい展開にしてみました。
一話、二話と来て、ここから二人の期限付きのデートや、親・クラスメイトとの葛藤が始まっていきます‼️
お楽しみに❣️
生まれてから死ぬまでのカウントダウン三話
--- 第三話:奪われる時間 ---
【00年 01月 28日 16:10:02】
春馬と旧校舎の屋上で過ごすようになってから、二週間の月日が流れていた。
私のカウントダウンは、ついに残りの「月」の桁が『01』になった。あと一ヶ月ちょっと。信じられないスピードで、私の命は終わりへと向かっている。
けれど、私の世界は確実に変わり始めていた。
「雫ちゃん、見て。あそこの売店の新作パン、争奪戦に勝って買ってきた!」
「ふふ、すごいね春馬くん。服、ボタン外れてるよ」
「うわ、本当だ。恥ずかしい……」
放課後の屋上で、二人で他愛もない話をして笑い合う。
春馬と話している時間だけは、頭上の赤い数字のチカチカとした不快な光が、不思議と気にならなくなる。世界には、こんなに優しい色もあったんだ。生まれて初めて、明日が来るのが少しだけ楽しみになっていた。
けれど、そんな小さな幸せを、世界は簡単に許してはくれない。
次の日の朝。教室に入った瞬間、空気が凍りついたのがわかった。
私の机の上に、油性ペンで大きく殴り書きがされていた。
『気味悪いんだよ、消えろ』
『一ノ瀬くんにすり寄るな』
心臓がバクバクと嫌な音を立てる。周りを見渡すと、黒崎結愛たちがニヤニヤとした冷たい視線をこちらに送っていた。
誰も、助けてはくれない。やっぱり私は、この世界にいちゃいけない存在なんだ。昨日までの温かい時間が、まるで全部幻だったかのように、一瞬で世界が元の灰色に染まっていく。
私は逃げるように教室を飛び出し、そのまま荷物を持って学校をあとにした。
どこにも行き場なんてないのに。
夕方、トボトボと家に帰り、玄関のドアを開けた瞬間だった。
「何よ、その陰気な顔は! 見てるだけでイライラするのよ!」
リビングから飛び出してきた母親が、私の髪を乱暴に掴んで床に叩きつけた。
学校から無断で帰ってきたことが、どこからか伝わっていたらしい。容赦のない蹴りが、私のわき腹や背中に何度も突き刺さる。
「ごめんなさい……ごめんなさい……っ!」
涙が溢れて止まらない。
痛い。体が痛いんじゃない。せっかく春馬くんが「生きたい」って思わせてくれた心を、ボロボロに踏みにじられるのが、痛くて、悔しくて、たまらない。
「お前なんか、本当に生まれなきゃよかったのよ! さっさと目の前から消えなさい!」
怒鳴り声を残して、母親は激しくドアを閉めて自分の部屋にこもった。
暗いリビングの床に、私はうずくまったまま動けなかった。冷たい床に涙がこぼれ落ちる。
(もう、嫌だ……。やっぱり、早くゼロになってよ……!)
その時、ポケットの中でスマホが激しく震えた。
涙で霞む目を凝らして画面を見ると、そこには『春馬』の文字。
『雫ちゃん、今どこ!? 家にいる? 教室の机のこと、今聞いた。守れなくてごめん。今すぐ行くから!』
メッセージと一緒に、通話の着信が画面を埋め尽くす。
出てはいけない。これ以上、彼を私の泥沼みたいな人生に巻き込んじゃいけない。
けれど、震える指先は、勝手に通話ボタンをスワイプしていた。
「……もしもし、春馬くん」
『雫ちゃん!? よかった……っ! 今どこ!?』
受話器の向こうから、今にも泣きそうな、必死に走っている春馬くんの息遣いが聞こえる。
その優しさに、私の我慢は限界を迎えてしまった。
「春馬くん……助けて……。わたし、もう、一秒も耐えられないよ……っ」
声をあげて泣きじゃくる私の頭上で、無情なカウントダウンの数字が、激しく火花を散らすように点滅し始めていた。
【00年 01月 28日 19:42:15】
【00年 01月 28日 19:42:14】
(第三話・終わり)
第三話、いかがでしたでしょうか……⁉️
一気にシリアスな展開になり、雫のピンチに春馬が必死に駆けつけようとする、ハラハラが止まらない引きにしてみました。
ついにカウントダウンも一ヶ月を切り、物語は大きな転換期を迎えます❗️
お楽しみに❣️