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【第一章】4話:執着、狂った兄弟
「…………。」
冥濁の研究所の屋上で、ロゼアは一人静かに佇んでいた。
昇る朝日をその薄暗い濁った灰色の瞳で見つめる。
「こんなところで何をしているのですか?兄さん。」
ふと背後から声がした。
振り返ると、スーツに身を包んだ幽楽「断罪部隊」副隊長のヴェルアが立っていた。
「あぁ…ヴェルアか。珍しいじゃないか、君がここに来るなんて。」
ヴェルアの方に体を向け、ふんわり微笑んでロゼアはそう返す。
ヴェルアは足を踏み出し、ロゼアの方へと一歩、また一歩と近付いて行く。
「貴方の様子が気になったので。それにしても、いつまでそのメガネをかけているつもりですか?」
ヴェルアも、ロゼアに似た笑顔で微笑みながら、首を少し傾けた。
ロゼアはヴェルアの問いかけにはぁ、と呆れたようにため息をついた。
「別に君に話したところで意味はないだろう?」
「まぁ、そうかもしれません。だが私は知っている。」
ヴェルアは手袋を嵌めた手を伸ばすと、ロゼアの頬へと添えた。
「貴方があの日、残月の一人を逃した事も、そしてそれを`隠蔽`しようとしたことも。」
先ほどよりも低い声音で言葉が紡がれて行く。
ロゼアはその言葉に微かに眉を動かし、冷たい視線でヴェルアを見つめた。
「それがどうしたんだい?」
「分かりませんか?私は貴方の秘密を知っている。兄弟だから当然です。そして、いつでも貴方の首を刎ねる権利があること。」
「………。」
ロゼアは笑みを消し、冷たい視線でヴェルアを見つめたまま、黙ったままでいた。
ヴェルアはその視線を感じながら、再び口を開く。
「貴方のことはいつでも殺せるんですよ。あぁ、その研究所長の座を望むわけでありません。」
「じゃあ、何がしたいのかな?」
ロゼアが無表情で問うと、ヴェルアは嘲笑した。
「貴方が一人、野垂れ死ぬのを見たいだけ。今はまだその時ではありません。」
ヴェルアはロゼアの耳元へ顔を寄せると、甘い声でそう囁く。
ロゼアはそれを横目で見つめ、眉間に皺を寄せる。
「…少々、距離が近いと思うな。」
「おや、これは失礼。」
ロゼアが低く冷徹な声で喋ると、ヴェルアは手を引っ込み、数歩下がる。
重たい空気がその場に漂った。
ロゼアはヴェルアを鋭い視線で睨み付けると、踵を返し、ヴェルアの横を通り過ぎていく。
ヴェルアは彼が自分の横を通り過ぎた後振り返り、その背中を見送った。
「…哀れですね。研究に囚われ、その命はもう`長く続かない`のに。どうして貴方はそこまで…。」
ヴェルアがつぶやいたその言葉は、誰の耳にも入らぬまま風に流されて消えていく。
ヴェルアは目を細め、前へと向き直る。
「夜鴉さん、そこにいるのでしょう?」
振り返らず、いつの間にか背後の闇に溶け込むようにして立っていた夜鴉へと言葉をかける。
「…はい。」
静かな声で、夜鴉は短く返事をした。
ヴェルアは振り返り、夜鴉を見つめて口を開く。
「瑠璃さんを見つけて来てください。」
「…承知。」
ヴェルアがそう命じると、夜鴉は頭を下げ、一瞬でその場から消える。
ヴェルアも一歩踏み出すと、その体は煙に包まれるかのように消えた。
研究所の屋上は静まり返り、温かな風が吹いていた。
今日は珍しくドミナートル兄弟メインで書いてみました〜♫
やっぱり天蝕所属なだけあって狂ってますね…(笑)
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