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宇宙人の決断
クライマックス!リクエスト頂いた方ありがとうございます!
さよならの日が来た。アルは朝8時に家を出る。また朝が嫌いになった。
「シュウ、おはよう」
「おはよう、アル」
このやり取りも今日で最後。いつもは幸せなこのやり取りも、心が重かった。
「・・・あと一時間だね」
「・・・うん」
アルは申し訳なさそうだった。アルは悪くないのに。
「最後に、沢山話そう。そして、俺との思い出を、親しい人に話せばいい」
「・・・・・・そ、そうだね!」
アルが慌てた、というより、何かを誤魔化した。
「? どうした?」
「ううん!なんでもない!」
アルは挙動不審だ。だが、本人が話したくなければ、自分は掘り下げない。アルが嫌がるのは、自分も嫌だった。
それから、一時間アルとずっと話した。その後、アルは家を出た。途中まで見送りたかったが、アルがそれを拒んだ。
「じゃあ・・・さよなら」
「うん。ばいばい」
2人は決して「またね」とは言わなかった。もう二度と、会えないのを知っているから。
アルが背を向けた。そのまま歩き出す。寂しくなるのが嫌だったのか、その後、アルの姿が見えなくなるまで、アルは決して振り返らなかった。
「死にたい」
そんな言葉が、ポロリとこぼれた。だが、それは自分の本心だったので、驚きもしなかった。
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彼の家を出た。何だろう、胸騒ぎがする。苦しい。彼は最初、死のうとしていたんだっけ。彼は毎日、こんな気分だったのだろうか。
「そりゃ、死にたくもなるよ・・・」
目的地まで10分ほどある。本当は目的地までついてきてほしかった。でも、ここには誰もつれてきてはいけないと決まっていた。
悲しい。寂しい。苦しい。お別れがこんなに苦しいものだなんて、知らなかった。自分でも知っているほど天真爛漫な自分でさえこんなに苦しいのだ。もしかしたら彼は・・・。
「あ・・・」
嫌なことを思い出した。死のうとしていた彼が今まで生きてきた理由、それは、自分がいたからだ。なら、自分がいなくなった今・・・彼は・・・
「行かなくちゃ」
彼のため、というより自分が会いたかった。彼は、親しい人に思い出話をすればいいと言った。だが、彼は知らないが、
「私には家族も友達もいない!」
人造人間として生まれた自分は、家族どころか友達もいなかった。なんで今まであの環境で明るく暮らせたのか、分からない。この幸せを知った今、元の暮らしには戻れない。
「帰りたい、私の家に!」
私の、いるべき場所に。
全力で走るうちに、目から熱い水が出てきた。アルはそれが涙だということに気づくまで、3秒かかった。涙を流すのは、初めてだった。
家に、”自分の”家に、たどり着いた。何度も見てきた家。少し古い、でも安心する家。
何度も鳴らしたインターホンを押す。
出なかったらどうしよう。そんな不安をよそに、ドアが開いた。
「え・・・」
シュウ、シュウだ!!!!
「シュウ!」
思わず抱きしめた。シュウが恥ずかしそうにもぞもぞする。
「アル!?どうしてここに・・・」
「帰るのやめた!」
「へ!?いいの!?」
「うん!別に一人部員が減った所で、あいつらは痛くもかゆくもないよ!」
秀は微笑んだ。安心したように「そっか」と呟く。
そのまま、2人は少しの間、抱きしめあった。
感動の最終回!・・・と思ったでしょ?次が最終回です。まぁほぼこれが最終回ですけどね。悲しいどんでん返しとかはないんで安心してください。