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聖なる夜に、甘い思い出を。
|佐野 勇斗《さの はやと》:吉田仁人の恋人、文化祭実行委員長
|吉田 仁人《よしだ じんと》:佐野勇斗の恋人
|塩﨑 太智《しおざき だいち》:吉田仁人の親友
|山中柔太朗《やまなかじゅうたろう》:佐野勇斗の幼馴染
|曽野 舜太《その しゅんた》:クラスの人気者
今日は12月25日、クリスマス。
俺はクラスメイトたちと、文化祭の打ち上げとクリスマスパーティーをするために勇斗の家に来ていた。
今は太智と一緒にクリスマスツリーの飾りつけをしている。
「みんな集まってやー!」
「はーい!」
舜太の声掛けで、部屋の飾りつけや料理の準備をしていたクラスメイトたちが、部屋の中央のテーブルに集まる。
舜太はクラスの人気者で、こういう時には率先してみんなの前に立つのだ。
「みんな来たな? ほんとははやちゃんが挨拶する予定やってんけど、実行委員の仕事でちょっと遅れるらしいから俺が挨拶するで! みんなコップ持ってー!」
クラスメイト全員が各々のコップを持ったのを確認してから、舜太が声を上げた。
「じゃあ、恵比寿高校3年1組、文化祭打ち上げ&クリスマスパーティーを始めます! かんぱーい!」
「かんぱーい!」
クラスメイトがそれぞれ友達とグラスを合わせた。
俺も太智とグラスを合わせてから席に座った。
「よっしー食べよう!」
「あぁ、うん」
少年のように瞳をキラキラと輝かせている太智は、俺の返事を待たずに料理に手を伸ばしていた。
テーブルに並べられているのは、チキンやピザ、ポテトなど、クリスマスの定番のメニュー。
どれだけ食べられるかわからなかったので、とりあえず全部ひとつずつ取っておいた。
隣の太智を見ると、いつのまにか取り皿が食べ物でいっぱいになっていた。
「太智、そんなに食べれるの?」
「うん、余裕やで! まだまだ食べるし! よっしーもはよ食べや!」
勢いよく食べ進める太智に呆れつつ、俺もゆっくりと食べ始めた。
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「じーんちゃん! 楽しんでる? …って何その顔。どしたん?」
クラスメイトたちと騒いでいた舜太が、いつの間にか俺の横に来ていて声をかけてきた。
いつもはそれに対して明るく答えるのだが、今はそんな気分ではない。
なぜなら‥‥
「勇斗が全然来ぉへんからいじけてるんよ」
「そーゆーことかぁ」
そう、会が始まって30分経っても恋人である佐野勇斗が来ないからだ。
始まる前に「10分くらい遅れる」と連絡が来ていたし、実行委員長の仕事が忙しいのもわかっている。
だけど、30分はさすがに遅すぎるだろう。
「連絡してるんやけど返事こぉへんのよなぁ…。仁ちゃんから連絡してみたら?」
「‥‥もういい」
「そんないじけてても意味ないじゃん、よっしー!」
と、その時、玄関の方から鍵が開く音がした。その後すぐにバタバタと走る足音が聞こえてきた。
「あ、はやちゃん来たんちゃう?」
3人一緒にリビングのドアを見つめていると、ドアが開け放たれて、俺の恋人───佐野勇斗が現れた。
「ごめん、めっちゃ遅れた! 始まってる…よな?」
肩で息をしながら部屋の中を見渡していた勇斗が俺の方に目を向けると、満面の笑みを浮かべてすごい勢いで近づいてきて俺に抱きついた。
「仁人~! 待たせてごめんな、会いたかったぞ!」
勇斗に抱きしめられているのをみんなに見られるのが恥ずかしくて、身を捩って勇斗の腕の中から抜け出した。
「勇斗! おっそいんだよ、お前は~! とりあえず挨拶お願い!」
「じゅう、ごめんな! もうわかったから押すなって!」
幼馴染の山中柔太朗に背中を押されながら、みんなの前に立って挨拶を始めた勇斗。
実行委員長として一番頑張っていたのは勇斗なのに、口にするのは「みんなのおかげ」という言葉ばかり。そんな優しいところも俺は大好きなんだ。
挨拶が終わると、勇斗はあっという間にクラスメイトたちに周りを囲まれてしまった。
ひとりひとりに言葉を返しながら笑っている。
その笑顔はすごく愛おしいのに、心の中は全く満たされない。
「やっぱ勇斗って人気者だよな~。よっしーはいかなくていいの?」
「うん。…ごめん、ちょっと外の空気吸ってくるわ」
そう言って立ち上がった瞬間、涙がこぼれた。
ベランダに向かって歩きながら、「太智に涙を見られてないといいな…」なんてことを願っていた。
吐く息が白くなっていくほどの寒さの中で、ひとり、涙を流す。
パーティーの準備の間も、パーティーが始まってからも、隣に勇斗がいなくて寂しかった。
文化祭を機に付き合い始めたカップルが楽しそうにしているのも、見ていられなかった。
やっと来たと思ったら、他の人と楽しそうにしてて‥‥
「なんでだよ…、こんなに好きなのは俺だけなのか…?」
そう呟いてうつむいたとき。
ふわりと、優しい温もりと大好きな香りに包まれた。
そして耳元で響く、愛おしい声。
「そんなわけねぇだろ。俺も、仁人のこと大好きだよ」
大好きな人の言葉に、一気に涙が溢れ出した。
勇斗が一度離れたかと思えば、強引に勇斗の方を向かされ、唇を塞がれた。
少しずつ深くなっていくキス。
息が苦しくなって、俺は勇斗から離れた。
勇斗は俺の顔を見つめて、ふっと笑った。
「泣きすぎ。顔ぐっちゃぐちゃだぞ?」
「…うるさい」
「つーかさ、一人で泣くなよ。寂しくなったら俺のところに来い。全力で愛してやるから」
「嫌だ。勇斗のせいだろ」
「はぁ…。素直じゃないなぁ、仁人は。まぁ、そんなところも可愛いけどな」
自分でも素直じゃないとは思うけど、勇斗が可愛いって言ってくれるならこのままでもいいかなって思う。
「はい」
と一言だけ言って、一つの箱を勇斗に差し出した。
「ん? あ、もしかしてクリスマスプレゼント? 開けていい?」
「うん」
勇斗が小さな箱をゆっくりと開ける。中身を見たその瞬間、勇斗は目を見開いた。
「え、これ…」
「ペアリング。離れてるときも寂しくないように、って‥‥嫌なら捨てていいけど」
「嫌なわけないじゃん! 仁人大好き、ありがとう! はい、左手出して」
俺の左手を掴んで、薬指にリングをはめる。
もう一つのリングを俺に渡して、左手をこっちに向ける。
俺が勇斗の薬指にリングをはめると、勇斗は嬉しそうに笑った。
「ねぇ、勇斗のプレゼントは?」
「もちろんあるよ。こっち来て」
勇斗に手を引かれて室内に戻り、2階へと上がっていく。リビングを通ったときに太智と舜太と目が合って、ジェスチャーで「頑張って」と伝えられた。
何を頑張るんだよ、と思いながらもそのまま勇斗についていくと、2階の勇斗の部屋の前で止まった。
勇斗に引っ張られるまま、部屋の中に入ってベッドに座った。
「俺からのプレゼントはこれです」
そう言って勇斗が渡してきたのは小さな紙袋。
中身をそっと取り出してみる。
「マフラー?」
「そう。仁人いっつも寒そうだからさ、少しでもあっためてあげたくて。どう?」
「めっちゃ嬉しい! 色もデザインも俺好みだし! ありがとう、勇斗!」
俺がそう言うと勇斗は一度うつむき、すぐに顔をあげた。顔を上げたときの勇斗の目に、不気味な光が宿っていたのは俺の気のせいだろうか。
「ほんと仁人ってさ…」
勇斗は急に立ち上がると、勢いよく俺の体を押し倒した。
そしてそのまま俺の唇を塞ぐと、口内に舌をねじ込んできた。
息を乱した勇斗は、一度俺から離れると近くに落ちていたマフラーを手に取り、ニヤリと笑った。
「今日はクリスマスだし、トクベツなこと、しよっか」
勇斗は手に持ったマフラーを俺の方に近づけてきて、そのまま俺の視界を塞いだ。
俺は何も見えない中で勇斗の愛撫を受け、声を上げて悶える。
いつも以上に敏感になっている感じがして、すごく気持ちよくて何も考えられなかった。
上から下まで、全身に優しいキスが落とされ、俺は快感の波に飲み込まれていった。
読み返したらじゅうちゃんの出番が少ないことに気付きました笑
まぁ、さのじんの話だし仁ちゃん目線だからしょうがないよね。(ということにしておいてください)
次は年越しの小説になると思います。何も決まっていませんが、たぶんM!LKの二次創作です。
何とか頑張るので楽しみにしていてください!
では!