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怪獣対鋼鉄計画2話
パパニペタゴン🐉
怪獣対鋼鉄対抗計画
第二話 ― 鋼鉄の脚
SCP日本本部・地下第五訓練区画。
候補生たちは一列に並び、巨大なガラス越しに銀色の液体を見つめていた。
それは水でも、金属でもない。
意思を持つようにゆっくりと揺れ続ける未知のエネルギー――スチール。
「これがお前たちの運命を変える。」
教官・黒崎は静かに言った。
「スチールは力を与える。しかし、全員が適合するわけではない。」
モニターに数字が映し出される。
適合率:27%
重傷率:18%
死亡率:2%
訓練室が静まり返る。
「怖くなった者は今なら帰れる。」
誰も動かなかった。
「……よし。適合試験を開始する。」
一人、また一人と候補生がカプセルへ入っていく。
ある者は適合に成功し、腕を鋼鉄化させた。
ある者は拒絶反応を起こし、医療班へ運ばれていく。
そして――
「神崎悠斗。」
名前を呼ばれた。
悠斗は深呼吸をしてカプセルへ入る。
冷たい銀色の液体が脚を包み込んだ。
(熱い……!)
全身を電流が走る。
立っていられないほどの衝撃。
だが悠斗は歯を食いしばった。
「まだ……終われない!」
その瞬間だった。
銀色の光が脚へ集中する。
機械が激しく反応した。
『適合率上昇。』
『脚部適合確認。』
『鋼鉄脚能力、発現。』
光が消える。
悠斗がゆっくり立ち上がると、両脚は銀色の光沢をまとっていた。
「成功だ。」
黒崎教官が珍しく笑みを浮かべる。
「脚部特化型か。」
「今日からお前は候補生として正式登録される。」
午後。
訓練場。
「能力を発動しろ。」
悠斗は意識を脚へ集中させた。
すると脚が鋼鉄へ変化する。
重くなるどころか、身体が羽のように軽い。
「走れ。」
ダンッ!!
地面を蹴った瞬間、景色が一気に流れた。
「速い……!」
百メートル先まで数秒もかからない。
「跳べ。」
言われるまま跳躍すると、二階建ての建物ほどの高さまで飛び上がった。
「これが……鋼鉄の脚。」
教官はうなずく。
「速度・跳躍・脚力。お前は近接戦闘向きだ。」
その時だった。
施設中に警報が鳴り響く。
『警報!』
『訓練区画に怪獣侵入!』
「何だと?」
モニターに映ったのは、全長四メートルほどの小型怪獣。
甲羅に覆われた四足歩行型。
コードネーム――シェルガ。
「避難を開始!」
しかし怪獣は訓練場へ突進してくる。
候補生たちは混乱し、逃げ惑った。
黒崎教官は悠斗を見る。
「神崎。」
「実戦だ。」
「……はい!」
恐怖はあった。
だが逃げるつもりはない。
(ここで逃げたら、父さんに顔向けできない。)
悠斗は鋼鉄の脚を発動。
一直線に駆け出した。
シェルガの爪が振り下ろされる。
しかし悠斗は一瞬で横へ回避。
「あいつ……速い!」
教官も驚く。
悠斗は怪獣の周囲を高速で走り始めた。
攻撃は見切れる。
だが甲羅が硬い。
(正面じゃ無理だ。)
何周も回るうち、あることに気付く。
「後脚……。」
甲羅の継ぎ目だけ装甲が薄い。
「そこだ!」
悠斗は一気に加速。
怪獣の背後へ回り込み、鋼鉄の脚で渾身の回し蹴りを放つ。
ドゴォォン!!
鋼鉄と怪獣の肉体がぶつかり、衝撃が訓練場を揺らした。
シェルガは大きく体勢を崩す。
しかし倒れない。
逆に怒り狂ったように全身が赤く発光した。
「まずい!」
黒崎教官が叫ぶ。
「あれは暴走状態だ!」
怪獣が突進を開始する。
逃げ場はない。
悠斗はゆっくり構えた。
(普通のキックじゃ届かない。)
(もっと速く。)
(もっと鋭く。)
脚へスチールが集まり始める。
銀色の光が渦を巻く。
「これだ……!」
地面を蹴る。
空高く跳び上がる。
回転しながら急降下。
「蹴空斬(しゅうくうざん)!!」
鋼鉄の脚が空気を切り裂き、鋭い衝撃波をまとってシェルガへ落ちる。
ズガァァァン!!
轟音とともに衝撃が走る。
怪獣の甲羅は砕け、シェルガはその場へ倒れ込んだ。
静寂が訪れる。
数秒後。
オペレーターの声が響く。
「怪獣の活動停止を確認!」
候補生たちから歓声が上がる。
黒崎教官は悠斗へ歩み寄った。
「実戦で新技を生み出すとはな。」
「蹴空斬……か。」
「覚えておけ。その技は、お前だけの武器になる。」
しかしその時、司令室から新たな通信が届く。
「教官!」
「市街地に大型怪獣出現!」
モニターに映るのは、ビルよりも巨大な怪獣の姿だった。
黒崎教官の表情が険しくなる。
「候補生全員、第一格納庫へ。」
「本当の戦いが始まる。」