編集者:パパニペタゴン🐉
二十五年前。
世界は突然現れた巨大生命体――怪獣によって一変した。
最初に現れた怪獣は、一つの都市を半日で壊滅させた。
戦車は装甲を砕かれ、戦闘機のミサイルは厚い皮膚を貫けず、世界中の軍隊は敗北を重ねた。
怪獣は一体倒しても、数か月後には別の場所から新たな個体が現れる。
原因は誰にも分からない。
人類は絶望の中にいた。
そんな中、日本の研究機関が一つの特殊金属エネルギーを発見する。
その名は――スチール。
スチールは単なる金属ではない。
人体と融合することで、体の一部を鋼鉄へと変化させる未知のエネルギーだった。
鋼鉄化した肉体は怪獣の攻撃にも耐え、怪獣と互角以上に戦える。
しかし適合率は極めて低く、多くの人はスチールを受け入れられなかった。
世界各国は共同で新たな組織を設立する。
その名は――
怪獣対鋼鉄対抗計画(Steel Counter Project)
通称、SCP計画。
適合者を育成し、人類最後の希望となる鋼鉄戦士を生み出す計画だった。
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目次
怪獣対鋼鉄計画1話
怪獣対鋼鉄対抗計画
プロローグ ― 鋼鉄が人類を救う日
二十五年前。
世界は突然現れた巨大生命体――怪獣によって一変した。
最初に現れた怪獣は、一つの都市を半日で壊滅させた。
戦車は装甲を砕かれ、戦闘機のミサイルは厚い皮膚を貫けず、世界中の軍隊は敗北を重ねた。
怪獣は一体倒しても、数か月後には別の場所から新たな個体が現れる。
原因は誰にも分からない。
人類は絶望の中にいた。
そんな中、日本の研究機関が一つの特殊金属エネルギーを発見する。
その名は――スチール。
スチールは単なる金属ではない。
人体と融合することで、体の一部を鋼鉄へと変化させる未知のエネルギーだった。
鋼鉄化した肉体は怪獣の攻撃にも耐え、怪獣と互角以上に戦える。
しかし適合率は極めて低く、多くの人はスチールを受け入れられなかった。
世界各国は共同で新たな組織を設立する。
その名は――
怪獣対鋼鉄対抗計画(Steel Counter Project)
通称、SCP計画。
適合者を育成し、人類最後の希望となる鋼鉄戦士を生み出す計画だった。
第一話 ― 少年の決意
「また怪獣だ……。」
テレビには炎に包まれた街が映っていた。
逃げ惑う人々。
崩れるビル。
そして巨大な怪獣。
高校二年生の神崎 悠斗は、ただ画面を見つめることしかできなかった。
幼い頃、悠斗の父は怪獣災害で命を落とした。
消防隊員だった父は、最後まで市民を避難させ続けたという。
その姿を母は誇りに思っていた。
しかし悠斗は違った。
(守るだけじゃ足りない。)
(怪獣を倒せる力が欲しい。)
その思いだけが、何年も胸の奥で燃え続けていた。
数日後。
学校に一通の通知が届く。
『怪獣対鋼鉄対抗計画 第18期候補生募集』
適合率検査。
合格者のみ入隊。
生存率は決して高くない。
それでも応募者は後を絶たない。
悠斗は迷わなかった。
「俺は行く。」
母はしばらく黙っていた。
そして静かに笑った。
「お父さんなら反対したと思う。」
悠斗は少し俯く。
「でも最後には、きっと応援してくれたはず。」
母は父の形見だった腕時計を差し出した。
「必ず帰ってきなさい。」
悠斗は力強くうなずいた。
「約束する。」
数週間後。
巨大な地下施設。
そこがSCP計画日本本部だった。
全国から集められた候補生は百人以上。
しかし最後まで残れるのは、ほんのわずか。
「これから適合試験を開始する。」
教官の低い声が施設中に響く。
「ここから先は命懸けだ。」
「途中で辞退しても構わない。」
誰一人動かなかった。
「……よし。」
「スチール適合試験を始める。」
銀色に輝くカプセルがゆっくりと開く。
中には液体のように揺らめく金属エネルギー――スチール。
悠斗はゆっくりとカプセルへ歩き出した。
(父さん。)
(今度は俺が、人を守る。)
その一歩が、鋼鉄戦士としての運命の始まりだった。
怪獣対鋼鉄計画2話
怪獣対鋼鉄対抗計画
第二話 ― 鋼鉄の脚
SCP日本本部・地下第五訓練区画。
候補生たちは一列に並び、巨大なガラス越しに銀色の液体を見つめていた。
それは水でも、金属でもない。
意思を持つようにゆっくりと揺れ続ける未知のエネルギー――スチール。
「これがお前たちの運命を変える。」
教官・黒崎は静かに言った。
「スチールは力を与える。しかし、全員が適合するわけではない。」
モニターに数字が映し出される。
適合率:27%
重傷率:18%
死亡率:2%
訓練室が静まり返る。
「怖くなった者は今なら帰れる。」
誰も動かなかった。
「……よし。適合試験を開始する。」
一人、また一人と候補生がカプセルへ入っていく。
ある者は適合に成功し、腕を鋼鉄化させた。
ある者は拒絶反応を起こし、医療班へ運ばれていく。
そして――
「神崎悠斗。」
名前を呼ばれた。
悠斗は深呼吸をしてカプセルへ入る。
冷たい銀色の液体が脚を包み込んだ。
(熱い……!)
全身を電流が走る。
立っていられないほどの衝撃。
だが悠斗は歯を食いしばった。
「まだ……終われない!」
その瞬間だった。
銀色の光が脚へ集中する。
機械が激しく反応した。
『適合率上昇。』
『脚部適合確認。』
『鋼鉄脚能力、発現。』
光が消える。
悠斗がゆっくり立ち上がると、両脚は銀色の光沢をまとっていた。
「成功だ。」
黒崎教官が珍しく笑みを浮かべる。
「脚部特化型か。」
「今日からお前は候補生として正式登録される。」
午後。
訓練場。
「能力を発動しろ。」
悠斗は意識を脚へ集中させた。
すると脚が鋼鉄へ変化する。
重くなるどころか、身体が羽のように軽い。
「走れ。」
ダンッ!!
地面を蹴った瞬間、景色が一気に流れた。
「速い……!」
百メートル先まで数秒もかからない。
「跳べ。」
言われるまま跳躍すると、二階建ての建物ほどの高さまで飛び上がった。
「これが……鋼鉄の脚。」
教官はうなずく。
「速度・跳躍・脚力。お前は近接戦闘向きだ。」
その時だった。
施設中に警報が鳴り響く。
『警報!』
『訓練区画に怪獣侵入!』
「何だと?」
モニターに映ったのは、全長四メートルほどの小型怪獣。
甲羅に覆われた四足歩行型。
コードネーム――シェルガ。
「避難を開始!」
しかし怪獣は訓練場へ突進してくる。
候補生たちは混乱し、逃げ惑った。
黒崎教官は悠斗を見る。
「神崎。」
「実戦だ。」
「……はい!」
恐怖はあった。
だが逃げるつもりはない。
(ここで逃げたら、父さんに顔向けできない。)
悠斗は鋼鉄の脚を発動。
一直線に駆け出した。
シェルガの爪が振り下ろされる。
しかし悠斗は一瞬で横へ回避。
「あいつ……速い!」
教官も驚く。
悠斗は怪獣の周囲を高速で走り始めた。
攻撃は見切れる。
だが甲羅が硬い。
(正面じゃ無理だ。)
何周も回るうち、あることに気付く。
「後脚……。」
甲羅の継ぎ目だけ装甲が薄い。
「そこだ!」
悠斗は一気に加速。
怪獣の背後へ回り込み、鋼鉄の脚で渾身の回し蹴りを放つ。
ドゴォォン!!
鋼鉄と怪獣の肉体がぶつかり、衝撃が訓練場を揺らした。
シェルガは大きく体勢を崩す。
しかし倒れない。
逆に怒り狂ったように全身が赤く発光した。
「まずい!」
黒崎教官が叫ぶ。
「あれは暴走状態だ!」
怪獣が突進を開始する。
逃げ場はない。
悠斗はゆっくり構えた。
(普通のキックじゃ届かない。)
(もっと速く。)
(もっと鋭く。)
脚へスチールが集まり始める。
銀色の光が渦を巻く。
「これだ……!」
地面を蹴る。
空高く跳び上がる。
回転しながら急降下。
「蹴空斬(しゅうくうざん)!!」
鋼鉄の脚が空気を切り裂き、鋭い衝撃波をまとってシェルガへ落ちる。
ズガァァァン!!
轟音とともに衝撃が走る。
怪獣の甲羅は砕け、シェルガはその場へ倒れ込んだ。
静寂が訪れる。
数秒後。
オペレーターの声が響く。
「怪獣の活動停止を確認!」
候補生たちから歓声が上がる。
黒崎教官は悠斗へ歩み寄った。
「実戦で新技を生み出すとはな。」
「蹴空斬……か。」
「覚えておけ。その技は、お前だけの武器になる。」
しかしその時、司令室から新たな通信が届く。
「教官!」
「市街地に大型怪獣出現!」
モニターに映るのは、ビルよりも巨大な怪獣の姿だった。
黒崎教官の表情が険しくなる。
「候補生全員、第一格納庫へ。」
「本当の戦いが始まる。」
怪獣対鋼鉄計画3話
怪獣対鋼鉄対抗計画
第三話 ― 初出撃
サイレンが基地中に鳴り響く。
『緊急警報。東京都第七区に大型怪獣出現。市民の避難を最優先とせよ。』
先ほどまで訓練をしていた候補生たちの表情が一変する。
大型怪獣。
それは小型怪獣とは比べものにならない力を持ち、一体で街一つを壊滅させる災害級の存在だった。
黒崎教官はモニターの前に立ち、静かに口を開く。
「今回出現した怪獣のコードネームは**『グランガ』**。」
モニターには全長約四十五メートルの巨大な怪獣が映し出される。
厚い岩のような皮膚。
巨大な角。
鋼鉄のような尻尾。
「現在、防衛部隊が足止めをしている。しかし通常兵器では時間稼ぎが限界だ。」
部屋が静まり返る。
「そこで今回は、候補生による実戦データを収集する。」
候補生たちはざわついた。
「俺たちが大型怪獣と戦うのか……?」
黒崎教官は首を振る。
「倒す必要はない。」
「避難していない市民を救出し、防衛部隊と連携して怪獣を誘導する。」
悠斗は拳を握る。
(人を守る……。)
そのためにここへ来たのだ。
巨大輸送機が基地を飛び立つ。
機内には十名の候補生が乗っていた。
悠斗の隣には、短髪の少年が座っている。
「俺は朝倉 蓮(あさくら れん)。」
「腕を鋼鉄化できる。」
蓮は笑いながら右腕を銀色へ変化させた。
「よろしく。」
「神崎悠斗だ。」
二人は固く握手を交わす。
その向かいには、冷静な雰囲気の少女が座っていた。
「白石 美咲(しらいし みさき)。」
「私は皮膚を鋼鉄化できる。」
「防御担当よ。」
こうして悠斗は初めて仲間と出会った。
輸送機の扉が開く。
街には黒煙が立ち上り、建物は次々と崩れていた。
遠くでは巨大怪獣グランガが咆哮を上げている。
ゴオオオオオォォ!!
その一声だけで窓ガラスが割れた。
「作戦開始!」
隊員たちは街へ散っていく。
悠斗は避難中の親子を発見した。
しかし、その前には崩れた高架橋が道を塞いでいる。
「助けて!」
少女の泣き声が響く。
「任せてください!」
悠斗は鋼鉄の脚を発動。
全力で走り、高架橋を飛び越える。
少女を抱き上げ、そのまま母親のもとへ戻った。
「ありがとうございます!」
親子は涙を流しながら避難車両へ乗り込む。
その瞬間だった。
グランガがこちらへ向きを変えた。
「しまった!」
巨大な尻尾が振り下ろされる。
「危ない!」
蓮が鋼鉄の腕で瓦礫を受け止める。
「ぐっ……!」
「蓮!」
今度は美咲が鋼鉄の皮膚を発動し、飛び散る破片から市民を守る。
三人は初めて息を合わせて戦っていた。
しかし、グランガはなおも歩みを止めない。
「通常部隊、押し切られます!」
通信が飛び込む。
その時、黒崎教官の声が無線から響いた。
「神崎。」
「怪獣の注意を引け。」
「だが、絶対に無理はするな。」
悠斗はグランガを見上げる。
(勝てない。)
(でも……。)
(俺が動けば、避難する時間を稼げる。)
悠斗は鋼鉄の脚を発動した。
銀色の光が足元に広がる。
「行くぞ!」
一気に加速し、グランガの正面へ飛び出す。
巨大怪獣は悠斗を見つけ、ゆっくりと視線を向けた。
その目には、まるで獲物を見つけたような光が宿っていた。
「こっちだ!!」
悠斗は地面を強く蹴り、ビルの壁を駆け上がる。
グランガは怒りの咆哮を上げ、その後を追い始めた。
作戦は成功した。
その間に市民たちは次々と避難を完了していく。
だが、グランガは突然立ち止まり、大きく口を開いた。
口の中に赤い光が集まっていく。
「エネルギー反応急上昇!」
「熱線攻撃が来る!」
悠斗は息をのむ。
逃げるか。
それとも迎え撃つか。
その瞬間、遠くの空から巨大な影が高速で近づいてきた。
銀色に輝く人型の鋼鉄戦士。
SCP最強部隊――鋼鉄特務隊が、ついに戦場へ到着したのだった。
――第4話へ続く。