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一怪目
新シリーズ
多分すぐ終わる⋯はずです。
俺がとあるネット掲示板のオカルト板にこのような書き込みをしたのはようやく突拍子もない現実を少しずつ受け入れられた時だった。
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1:イッチ
俺の片思いしていた先輩が失踪した。あ、いや、行方不明?
なんかわからないけど、いなくなった⋯らしい。
警察も動いてるんだけど⋯多分先輩は警察も手に負えない場所にいると思う。
2:名無し
事件の予感
3:名無し
警察も手に負えない場所?反社会勢力の人たちの事務所とか?外国か?
4:名無し
詳しく
5:イッチ
えっと⋯どこから話そうかな。
先輩はオカルト部の部長だったんだ。で、先輩に一目惚れした俺もオカルト部に入った。
先輩はオカルトが好きだった。と、いうより依存してた。
6:名無し
依存?どゆこと?
7:名無し
警察が手に負えないならイッチにも手に負えないのでは?
って言おうとしたらなんか不穏な展開になってきてた
8:名無し
今どきオカルト部なんてあるんやな
というか、そんな理由で部活に入るとかイッチ青春しとるな
9:イッチ
なんて言ったらいいのかな。
先輩の周囲の人がろくでもない人ばっかりだったみたいで、その現実逃避にオカルトで頭をいっぱいにしてたって感じかな。
10:名無し
まぁ、イッチも一目惚れで部活入ってるろくでもない奴やしな
11:名無し
先輩病んでない?怖いんだが。そしてそれを知ってなお先輩に好意を寄せるイッチも怖いんだが。
12:名無し
ろくでもないってどゆこと?
13:イッチ
ボカして言うけど家族からの扱いが杜撰だったり、クラスメイト達とも色々あったり、
教師からも腫れ物扱いみたいな感じかな
14:名無し
四面楚歌やん
15:名無し
うわぁ、そりゃ病むな。
16:名無し
で。そんなクソみたいな現実から目を背けるためにオカルトに⋯オカルトに?何故に
17:イッチ
なんか、連れ去る系怪異っているじゃん?
18:名無し
ん?いるな
19:名無し
急にどうした?
20:名無し
あ⋯
21:イッチ
連れ去って⋯ほしかったみたいで⋯
22:名無し
!?
23:名無し
とんでもねぇwww
24:名無し
そこまで追い詰められてたのか⋯いや。余裕があるような⋯?
25:イッチ
だから、そういう系のオカルトをひたすら集めてたみたいで。
で、失踪前に調べてたのがとある山の神様の伝承⋯?みたいなので。
26:名無し
なるほどつまり、先輩はそこにいるかもってことか
27:名無し
警察に話せば?
28:イッチ
話したけど取り合ってもらえなかった
29:名無し
世知辛い⋯
30:名無し
まぁ、そんなもんよな
31:イッチ
ってことで!今から先輩救出してくるわ
32:名無し
え、今からって⋯
33:名無し
イッチ、学生やろ?もう23時やから明日にしな
34:名無し
睡眠取らないと本当にヤバいよ。早く寝な?
35:イッチ
いや。先輩心配で眠れないから今から行くわ!
目的地着いたらまたスレくるな!じゃノシ
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「ふぅ。さて、行くか」
山までは少し遠い。
俺は自転車に跨って夜の道路に繰り出す。
必死に自転車を漕ぎながら、先輩と初めて会った頃を思い出した。
***
「オカルト部を作りたいのですが、部員が足りないんです。誰か、入ってくださいませんか」
一年の夏休み明け、一人の少女がチラシを配っていた。
部活に入りたい奴は入り、入りたくない奴は入らない。
そう一学期中に生徒が分け切った後の二学期に、部活の勧誘とは珍しいと思いなんとなく彼女の顔を見た。
綺麗だと思った。
黒曜石のような大きな目、熟れた桃のように瑞々しくピンクの唇、陶器のように滑らかな肌。
それらに目を奪われ、俺はそのチラシを受け取ろうと近づく。
そして、思わず息を呑む
その美しい目は光を失い海底のようで、綺麗な肌には痛々しい包帯や、ガーゼが散らばっていた。
そのアンバランスさが、なるほど確かにこの世のものとは思えない。
オカルト部を作るだけのことはある。
「チラシ、ください」
これが、怪異に魅入られた少女と、その少女に魅入られた俺の出会いだ。