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ヒトリユラリ
誰もいない隅の木陰で泣いた
何で。何で。何で。
「はぁっはぁっ」
怖い。怖い。怖い。
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今まで、優しくしてくれていた彼が、豹変した。
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彼の家に呼ばれた。
だから、行った。
何も疑いもせずに。
今、私の中には
子供がいる。
2歳年上の彼は、とても優しくしてくれた。
今までは。
突然の事で、理解が出来なかった。
ベッドに押し倒され、それからは・・・
何があったか、皆ならわかるよね?
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私は高校生。当たり前だけど子供は降ろした。でも、まったく身体は軽くならない。
さよなら。ただただ愛がないや。
嗚呼
フラフラする。
落ちていく。
あなたが泣いているような幻聴がする。
あなたも、私も、きっとふらりくらり、苦しんでいる。
誰もいない、学校の隅の木陰。そこで罪悪感に負けてくらり泣いていた。
でも、まだ、死にたくない!明日よりもっと。明後日も。|明々後日《しあさって》も、ずっと!もっと!生きてたい!
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学校で彼にあった。妊娠したこと、降ろしたこと。まだ何も言っていない。こちらに気づいた彼は、ニコリと笑って手を振った。
「は・・・?」
何、その、全部忘れたみたいな顔は。そう思った。はらわたが煮えくり返った。でも、本当は、私だって、何もなかったみたいに、忘れたような顔をして、何もなかったみたいに生きているんだ。
自分は馬鹿だ。あんなことされて、でも、警察にも訴えない。それはきっと、まだ彼の事を、心の何処かで、愛しているからだ。
そんな自分が嫌い。いっそこのまま奈落へ落ちていたい。
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さよなら。ただただ愛がないや。
ふらふら落ちていく。
最初に相談したのは友達だった。親はいないのかだって?
あはは。いるよ。でも、捨てたの。違う。私が捨てられたんじゃない。私が捨てたの。あんな親、いらないから。今は一人暮らし。たまに彼の家に泊まったりして、楽しんでたの。捨てられた人間が、こんなに楽しんでる訳ないでしょ?
私の大親友。唯一の友達であり、彼のほかに、この子が心の|拠り所《よりどころ》だった。スマホで電話してたんだ。
「で、出来た子供は降ろす・・・んだよね?」
「うん。さすがに、私じゃ育てられない・・・凄く辛いけど」
「しょうがないよ!彼氏が全部悪い!なんで訴えないの!?」
「何でだろ・・・でも、訴えたくないの。私馬鹿だよね」
「まぁ、|百合《ゆり》がそういうなら私も勝手に訴えたりはしないけど・・・」
「うん。ありがとう。そろそろ切るね。聞いてくれて、少し落ち着いた」
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さよなら。ただただ愛がないや。
ふらふら落ちていく。
まただ。またあなたの泣き声が聞こえる。やめてよ。恨むなら彼を恨んでよ。
また今日も、誰もいない学校の隅の木陰で泣いた。
夜、眠ったあと、夢を見た。あなたの夢。あなたが一人、ゆらり。
私を助けてくれる人は誰もいないだけど、
明日よりも。ずっと。生きてたい!
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今日は散々。私の、たった一人の友達の、たった一人の大切な人の、大親友と喧嘩してしまった。何でだろう。思い出せないほどに、しょうもない理由で火が付いた。どちらかが、いや、私が引き下がればよかったんだ。でも、最近あなたの事で頭がいっぱいで、人に気遣いが出来なくなっていた。
いや、違う。思い出した。そうだ、
私のせいだ。
喧嘩じゃない。そうだった。あの子が正しいんだ。
あの子が、私を思って「警察に言おう?」と、優しく言ってくれた。そんなの、私に黙って警察に言えば済むことなのに、わざわざ私に聞いてくれたんだ。私の気持ちを、尊重してくれたのに。
「警察はいやって言ってるじゃん!!」
自分の放った言葉がフラッシュバックする。
「私最低・・・」
そう言葉が漏れた。
そんな時、スマホの通知が鳴った。
「あ・・・」
彼からだ。
「今日家行っていい?」
のんきにそう言う彼に、絶望した。
何?何?何なの!?噓でしょ?嘘だよね・・・?
私 の 全 て を 奪 っ て お い て ?
そうか、これが彼の本性なんだね?
もういっそ。
そのまま。
地獄へ落ちていけ。
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さよなら。ただただ愛がないや。
嗚呼
ふらふら落ちていく。
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まだまだ。愛がないや。
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嗚呼、また泣き声。
泣きたいのは私だよ?ねぇ。私だよ?
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あなた一人、くらり。
私の夢の中で、くらり。
また今日も、誰もいない学校の隅の木陰で泣いた。
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あなた一人、ゆらり。
私の夢の中で、ゆらり。
友達も彼も、私の支えは誰もいないだけど、
あなたよりもずっと生きてたい!
ども~ヤナギです。今回はリア友に好きなボカロ聞いて勝手に(許可はリア友に取りました)小説作りました。この曲好き~。これからも頑張るのでファンレターやリクエストよろしくです!ではまた別の小説でー!