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𝔼𝕡𝕚𝕤𝕠𝕕𝕖 𝟙 新参者
☾奏者ボカロファン視点☽
不可思議な感覚と共に、私は目を覚ました。
夢の名残なのか、まだ微かに浮遊感がする。
······この世界に堕ちてきた時の様な、浮遊感。
なんでこの世界にいきなり堕ちたのか分からないし、そもそも《《この世界に来る前の記憶が綺麗さっぱり抜けていて、自分の元々の名前すらも思い出せない》》。
当初はこの浮島の世界に、住んでいる人々に、自分の姿に驚いたが······何年も暮らしていたせいか、もう慣れた。
気分を少し晴らそうとカーテンを開けると、これまで静寂の闇地帯だった部屋に、淡い月光が差し込んで照らした。
空には美しい上弦の月が浮かんでいる。
そういえば、この世界に来た日は三日月だったなぁ······なんて、昔の事をまた思い出していると、外が少し騒がしくなった気がして窓も開けた。
「·········懲りない奴ら。」
外には、この村の呪詛に祟られ生きる屍と化した······嘗ての村人達が、動き始めていた。
何度倒しても蘇る怪物。
今日はそこまで多くないから、放って置いてもいいんだけどな······。
どうしようかと悩んでいると、小さな音まで捕えられる私の狼の耳が、微かに助けの声を聞き取った。
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☾???視点☽
目を開けると、そこは見知らぬ浮島世界だった。
大小様々な浮島同士が橋で繋がれている。
さっきまで自分は何をしていたのか、何処にいたのか、さっぱり思い出せない。
これは······夢か何かだろうか。夢にしてはリアル過ぎる気もする···。
にしても、やけに目線が低い気がする。これは四つん這いになってるから?でも何故?
ふと、近くにあった水溜りを覗いてみた。
······そこにあったのは、茶色の······どちらかというと、若干狼にも近い様な······大型犬の姿。
「え!?これ私!?!?」
驚きの声を上げると、|水面《みなも》に映る大型犬も同じく口を動かした。
一体自分に何が起こっているのだろう。そしてこの世界は······?
家々は壊れかけているし、何か嫌な空気が漂ってるし、中央広場らしき所には絞首台みたいなのに吊るされた死体······?があるし······凄く不気味だ。
怖くて離れようとしたその時、目の前の地面から朽ちかけた死体が出てきて私を見据えた。
危険を感じて近くの家まで走る。すると、その家の中からも似たような怪物が数体現れ、私に襲いかかってきた。
「う、うわぁぁぁ!?!?」
これは悪夢だと自分に言い聞かせながら全力で逃げ惑うが、一向に夢から覚める気配が無い。
いつの間にか怪物に囲まれ、逃げ道は一切無くなっていた。
「た······助けて······っ!!」
咄嗟に助けを求める。が、誰がこんな所に来てくれるというのだろう。
その間にも怪物達は少しずつ、距離を縮めていく。
もう駄目だ、そう思い目を瞑る。その時だった。
ワオォォォン··················
そう遠くない場所から、狼の遠吠えが聞こえた。
怪物達は動きを止め、私も反射的に遠吠えのする方向を見る。
「あ、あれは······?」
数メートル先にあった、比較的綺麗に形を保っている家の屋根。
その上に、死神が持っている様な大きな鎌を携えた誰かが、月明かりに照らされ優雅に佇んでいた。
その姿を視認出来たのも束の間、瞬きをして目を開けた時には、既に人は消えていた。
あまりの速さに驚く。
次の瞬間、私を囲っていた怪物達は全員残らず首を刎ねられ粒となって消えていき、目の前に、先程まで屋根の上にいたはずの人物が降り立った。
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☾奏者ボカロファン視点☽
危機一髪だった。あと少し遅ければ、私の足元で怯えるこの大型犬は、奴らの仲間入りしていただろう。
「あ、あの······!」
大型犬(おそらくメス)が口を開く。
······人の言葉を話せる犬か···。この世界にはもっとクレイジーな生き物もいるから、この程度では驚かなくなってしまった。
「助けてくれてありがとうございます······!」
大型犬は礼儀正しくお礼を言った。
そこで私はようやく口を開き、質問をした。
「君······どこから来たの。名前は。」
すると、「ええと······」と、戸惑う様な表情をして言った。
「それが、気がついたらここにいて···それに、ここに来る前まで何してたのか、自分の名前は何か······全く思い出せないんです······。」
私と似た様な人(犬)······。
もしかしたら私達以外にも、同じ人がいるのかも知れない······。
「···そっか。私も同じだから···そう焦らなくていい。名前がなければ新しく考えればいいし···この世界も案外悪くないから。下手すりゃ死ぬけど。」
「え。」
笑えない冗談に戸惑っている。
この空間から出た事は1度も無いから分からないが、外にも様々な魔物が潜むと聞く。
きっと私だけでは手に負えないのだっているはず······。
だけど、この出来事を気に村を······呪われた廃村を出て、嘗て師匠がしていた様に世界を旅するのもありなのかも知れない。
「ねぇ。えっと······わんこ。」
「わ、わんこ???」
「ごめん、直ぐにいい名前思いつかなくて。」
犬にわんこ、なんて当たり前な······っていうか、ちょっと変な気もするが······今はそんな事言ってる場合じゃない。
「この世界は夢じゃない。紛れもない現実。······それなら、貴方にもこの世界を知る権利はあるはず。」
私は少しの間の|後《のち》、わんこに問うた。
「貴方も私も同じ境遇なら、きっとこの世界に何かがある。来てそうそうで申し訳ないけど、この世界の真実を探る旅に協力してくれないかな?」
静寂。
恐らく数秒程だったと思うが、私にはこの静けさが永遠の様にも感じられた。
そして、わんこによってこの静寂は破られた。
「······はい。えぇと······。」
「······奏者。······奏者ボカロファン。好きに呼んで。」
自分でも、この名前を口に出すのは久しぶりな気がする。
思えばここ数年で出会ったのはこの廃村の屍以外誰もいなかった。
久々に名前を呼んでくれる人がいる。
そう思うと、少し嬉しい様な気持ちになった。
ふと、空を見上げる。
夜以外が訪れぬ永夜の世界。
星々が、月が、美しく輝いている。
夜が明ける気配は無い。
空が陰り、不穏となる気配も、まだ無かった。
―私達が、真実を知るまでは。
☾Loading······↻☽
だいたいの月下メンツ出したいなぁ······。
まぁこんな話は置いといて(後で無くすオチ)。
ようやく感が凄い。
ここからは小話なのですが、普通の大地にすると月下パロや壊れた世界の救い方と似通ってしまうなぁ、と考えた為、地面をぶち抜いて浮島世界にする運びとなりました(は?)
あと、今回は用語集を作成致しません。
その代わり(?)に、キャラ一覧くらいは作成、更新しようと考えております。
一応確認はしたつもりですが、もし誤字脱字等御座いましたら匿名でもいいので連絡下さると幸いです。
では。