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春嵐
春嵐(はるあらし)・・・春先に吹くはげしい風
僕は作曲家だった。
初音ミクと歌を作っていた。
ある日、ミクが言った。
「虚像に|塗《まみ》れた私。まるで神様みたいね」
「ミク・・・」
最近、リリースした曲が考察されることが多くなった。
しかし、その考察が間違っている事が多々あった。
ミクを、僕を虚像にされた。
なのに、「この人神ww」「すげぇ!神調教師やん」などと、僕らを神として崇めた。
本当の気持ちを知ったかぶって。
「君が悪いの。妖どもめ!」
「ミク、口が悪いよ?」
ただ、ミクの気持ちも痛いほど分かった。
何かを掴んだ気になって、それで幻想を壊して。
ぐちゃぐちゃにしてから別の曲に惹かれていく。
そんなの、
「愚の骨頂だ・・・」
ただの雑魚に取り合わない。
冷静を装う僕が言葉を口にするのは、
簡単だけど、
虎視眈々と
--- 怒っているから ---
僕のデビューは四月の春だった。そのデビューはボカロ界に風を巻き起こした。
春の嵐呼んだ
僕は泣いた
心傷つけられた
「そんなの思い上がりでしょ?」
「どうせそうよね分かっているけど」
吐いた息もきっと目障りに映るでしょ
愛されたいと願うのは、
「罪と言うのね」
ミクが悲しく呟いた。
ミクが悲しむなら、
揺れる|炭酸《サイダー》飲み干したら、
サヨナラしよう。
---
思想が渇いた私。
「何処が神様なんでしょう」
ミクが怒っている。しょうがないよな。まだ視聴者は勘違いしたまんま。
とっくに怒りはなくなった。けど、それは
演じているだけ。それもつゆ知らずにのうのうと生きている。
それでもこの物語を終わらせずにいるのは、
変わらず応援している君たちに、この思いが届くことを願っているから。
停戦を誓った僕の、人格は剥がれ落ちた。
もう落胆されてもいい。
その覚悟は持っているつもりだ。
春の嵐呼んだ
僕は泣いた
心傷つけられた
「そんなの思い上がりでしょ」
「どうせそうよね分かっているけど」
吐いた息もきっと目障りに映るでしょ
愛されたいと願うのは
「罪と言うのね」
ミクが悲しく泣いた。
揺れる|炭酸《視聴者》
飲み干したら
サヨナラしましょ。
---
人生で初めて配信をした。
わざと君たちを呼んだ
僕は死んだ
心朽ち果てられた
「そんなの思い上がりでしょ」
「どうせそうよね分かっているけど」
「馬鹿」
と君に言った
煙たがった
君を見て目覚めたの
あぁそうか、
「愛されたいと願うのは」
「罪と言うのね」
甘い香りで揺れる|炭酸《サイダー》
飲み干したら
サヨナラしましょ
---
サヨナラして
焦がれたなら
「また笑いましょ?」