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第5話 ???
ある日曜日の朝、事務所を訪ねたら、マネージャーがペンになっていた。
「あ、おっはよーー、らいくーん!」
「……は?」
人間ぐらいの大きさの手足の生えたペン(黒色)が、いつもマネージャーが座っている椅子に堂々と座っている。
「え……どういう状況ですか、これ」
「あぁ、これ?えーとねぇ……朝起きたらこーなってた⭐︎」
「………」
そういえば、マネージャーの苗字は牧田。…で、あだ名が確か……、
「……マ◯キーペンってことですか?正直言ってすごくスベってますよ」
「えー?でも、好きでこうなったわけじゃないのにさ〜」
目の前のペンが笑った…‥ように見えた。顔は分からない。
「……色々大変そうですね」
思いっきり皮肉ってやる。それから自主練に入ろうとしたら、相方のむつきが来た。
「…おはようございま………」
目の前に広がる残状に、面食らった顔をする。
「あ、おはよーむつきくん!じゃ二人とも、もう練習取りかかっちゃってーーっ」
結局今日1日は、でかいペンが部屋の隅に座っていること以外、何ら変わったことは無かった。
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休憩の合間に、ついてむつきと話し合った。
「なぁむつき、あいつのことどう思った?」
「……あいつとは」
「マネージャーだよ。あんなに真っ黒な見た目してるのに、凄い喧しくなかったか?」
「………ノーコメント」
「…あっそ」
…沈黙。気まずい空気が流れる。僕は、沈黙は破りたい派。
「…ま、普段からうるせーやつだからな、今日ぐらいが丁度いいんじゃないか?」
そう言って苦笑したら、むつきが下を向いた。
「……陰口、良くない」
「………」
こんな頼りないやつなのに、舞台に立てばこの無口さが逆に観客を虜にさせているらしい。意味わかんねー。
「てか、書類整理とか楽そうだよな、指からインク出してさw」
「………」
……だんまりかぁ…。沈黙二回目来るか…?
「…ねー、なぁに話してーんのっ?」
急に背後から声が聞こえる。振り向くと、そこにはやはり黒色の某有名な名前ペンが……
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…瞼が開く。目の前にはいつもの僕の部屋の天井。
「……はぁ??」
…夢…か。全く、これでもかってくらい酷い悪夢だった。今日は……日曜日か。
「…あ、事務所……って!ああぁぁ!!!遅れる、遅れる!やっっば!!あぁぁぁぁっっ!!!」
僕は慌てて食パンを一枚だけトースターにセットしに行った。
羅衣が熟睡中、真夜中の研究所ーーー
「…よしっとぉ、完成!自分に一番似通ったモノになる薬!明日事務所行く前に飲んでみよっかなぁ〜?着ぐるみ着てるって言えば……うん!多分バレないでしょ!」
……正夢だった。