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▣⸸第-1話:マーガレットの花は散る⸸▣
俺....いや、昔は私だったな。
私には、初恋の人がいた。
忘れもしない、私がただの女子高校生だった夏のことだ。
私が校外学習で、友達がいなくて一人で弁当を食っていたところに、灯は現れた。
女子高校生の藤井 灯は、私と一緒に飯を食った。
灯の顔は、周りの女子たちと比べて突飛つしているような、派手な美貌ではなかったが、
その顔が、性格が、立ち振舞が、優しさが、その全てが好きだった。
私は、それまで食事が好きじゃなかった。人が美味しそうにご飯を食べるのが理解できなかった。
けれど、あの日は違った。味がした。
甘酸っぱくて、ほろ苦い。もしかしたら恋の味だったのかもしれない。
あれから、私は食べるのが好きになった。
灯は、私と一緒に色々なところへ行った。
心霊スポット、有名な神社、私が転んで骨折していった病院、灯が好きだったアイドルのライブ。落石注意の看板がある山、柵のない崖。
思い返せば、全てがいい思い出ばかりだ。
最後に行った、昔の家の近くの公園以外は。
あの日、私は灯と待ち合わせをしていた。
灯は横断歩道の向こうに私を見つけると、信号が赤になったのに気づかずに、こちらへ走ってきた。私は目を瞑った。
次に目を開けたときには、赤色の花が、道路に咲いていた。
トラックには花弁が付着し、周りの人々は金切り声を上げる。
その声でやっと私は、灯が死んでしまったことに気づいた。
そのあと、私は灯の家族から、私宛の遺書をもらった。
灯の家まで、どうやって行ったのかは覚えていない。
───拝啓、最愛の田中へ。
私と友だちになってくれて、ありがとう。
きっとこの手紙を読んでいるということは、私はもうこの世にいないでしょう。
私が貴方に無理を言っていった場所は、危険な場所ばかりでしたから。
一度は死にかける経験をしてみたいって、私はいつも思っていましたからね。
私が貴方に無理難題を言っても、貴方は嫌な顔一つせずに叶えてくれました。
あなたには、私のことを忘れて、幸せになってほしいのです。
どうかお元気で。
p.s.自分らしく生きてね!
敬具、貴方を置いて死んだ、大馬鹿者より。
その日、俺は葬式も出ずに、家出をした。
俺のことも何も知らないところへ、とにかく遠くへ行った。
あの赤い花が咲いた場所に、一本のマーガレットの花を添えて。
私、自分らしく生きてみるから。
見ててね。灯。
作者コメント
今回は打って変わってしっかりと書いてみました。
どうでしょうか。
人々が心ゆさぶられる作品を書いたつもりです。
暖かくこの夢子のお話を見守ってくださると嬉しいです。