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第一話
前話になるプロローグから、5年後の話になります!話の中にも書いてありますが…この小説は美しい人ばっかなので書く機会があれば不細工も書いてみたいなーと思ってます。
父帝が亡くなってから、5年の月日が流れた。私は十二になり、お姉さまは先日|裳着《もぎ》を済まされたばかりだ。
「宮様。また文が届いておりますよ」
|命婦《みょうぶ》が持ってきたのは、民からの感謝の文だった。私のしたことといえば、流行り病の折に薬を配ったくらいですのに。
『宮様はまるで慈悲深い天女のようでございます。私どものような卑しい農民にまでお気遣いくださって…』
民たちはいつも私を天女のようと称える。誇らしく思う反面、困ったこともあった。その評判を聞きつけた都の殿方たちが、「天女というからにはさぞやとても美しいのだろう」と勝手に盛り上がってているのだ。私はまだ裳着もしていない子だもだというのに、しつこく文を送ってくるのには、辞易してしまう。
「ねえ、五の宮。お母様が、なにやらお悩みのご様子なの。何事かしら…」
お姉さまにそう声をかけられ、私は胸騒ぎを覚えて、お母様の|御座所《おましどころ》に向かった。
御座所のなかでは、皇太后であられるお母様が熱心に文を見つめ、深くため息をついていらした。
「お母様、いかがなさいましたか」
「…ああ、五の宮ですか。実は|今上《きんじょう》の帝から『四の宮を|入内《じゅだい》させよ』と届いたのです。亡き更衣に似ていると聞いたから、と…話が娘を更衣の身代わりにせよなどと、なんとかしてお断り出来ないものでしょうか」
――なんですって!
私は心のなかで激昂した。お母様を悩ませるばかりか、気高き内親王であるお姉さまを一介の更衣の身代わりにせよというの!?これは我が家に対する明らかな侮辱だわ!
「お母様。もしよろしければ、このお断りの件、私に委ねてはいただけないでしょうか。お母様を困らせる不届きものはたとえ帝であっても許しませんわ。」
私は荒ぶる感情をぐっと抑え、あえて毅然と、冷静な声を装って申し出た。お母様は驚いたように目を見張ったが、やがて優しく微笑まれた。
「ありがとう。聡明なあなたならきっと帝に未練を残させぬよう、完璧なお断りの文を書いてくれると信じていますよ」
よし、お許しは得た。私の大好きなお母様とお姉さまを苦しめる者は、誰であれ容赦しないわ!
読んでくれてありがとう!