源氏物語の世界で美しい民の天女が帝に容赦なく正論を送る!
登場人物
主人公 女五の宮
原作の輝く日の宮こと藤壺の宮の妹なので、超美女。家族のことと民のことしか頭にないのかもしれない。超才女で、誰に対しても正論しか言わない。
女四の宮(お姉さま)
彼女こそ原作の輝く日の宮こと藤壺の宮。当然発光していること思うほどに美しい。
兵部卿宮(お兄様)
原作の紫の上の父なだけあって美しい。シスコン。
母后(お母様)
上の三人の母なだけあって、美しい。年を取ってさらに美しさが洗練されたともいわれる。
桐壺帝
主人公にしばかれる光る君の父親
光る君
光り輝くように美しい。様々な事件ののち三条の宮に引き取られる。
命婦
実の子を亡くしているため主人公を実の子のように可愛がって?くれてる
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目次
プロローグ
初投稿の小説なのでヤバいところがないかチャッピーに見せまくったところ文章が固くなってしまいました。今では後悔してますが…直すのも面倒だし教訓として残しておこうかなーと思いそのままです。
「姫宮!宮!」
私は、お母様の緊迫した声で目を覚ました。見上げれば、いつも気品に満ち溢れているお母様が、今にも泣き出しそうな顔で私の方を揺り動かしている。
「宮…悲しい報せがございます。心してお聞きになって…」
お母様のあまりに深刻な表情に私の眠気は一瞬で吹き飛んだ。ふと傍らを見れば、お姉さまもお兄様もすでに沈痛な面持ちで座している。ただ事ではないのだと、幼心にも察せられた。
「主上が、昨夜…|崩御《ほうぎょ》なされました…」
「…!お父様が?本当に?」
信じられず問い返したが、お母様はただ涙を堪えて頷くだけだった。それが残酷な真実なのだと、嫌でも理解させられる。
「そんな…昨日お目にかかったときはあんなにお元気そうでしたのに。どうして…」
喉がひきつり、声がかすれていく。言葉にならなくなった息の代わりに、大粒の涙が溢れだした。張り詰めていた|御座所《おましどころ》の空気が破れ、私はお母様やお兄様、お姉さまと共に、ただ声をあげて泣き伏した。
この日から、私たちの運命は大きく回り始めたのだ。お父様という最大の後ろ盾を失った我が家に、やがてあの愚帝の魔の手が迫ろうとは、七歳の私はまだ知る由もなかった。
読んでくれてありがとうございました!
10話くらいまでは書かれてるのですが、これ以降はどうなるかわからない小説ですが、よろしくお願いします!
第一話
前話になるプロローグから、5年後の話になります!話の中にも書いてありますが…この小説は美しい人ばっかなので書く機会があれば不細工も書いてみたいなーと思ってます。
父帝が亡くなってから、5年の月日が流れた。私は十二になり、お姉さまは先日|裳着《もぎ》を済まされたばかりだ。
「宮様。また文が届いておりますよ」
|命婦《みょうぶ》が持ってきたのは、民からの感謝の文だった。私のしたことといえば、流行り病の折に薬を配ったくらいですのに。
『宮様はまるで慈悲深い天女のようでございます。私どものような卑しい農民にまでお気遣いくださって…』
民たちはいつも私を天女のようと称える。誇らしく思う反面、困ったこともあった。その評判を聞きつけた都の殿方たちが、「天女というからにはさぞやとても美しいのだろう」と勝手に盛り上がってているのだ。私はまだ裳着もしていない子だもだというのに、しつこく文を送ってくるのには、辞易してしまう。
「ねえ、五の宮。お母様が、なにやらお悩みのご様子なの。何事かしら…」
お姉さまにそう声をかけられ、私は胸騒ぎを覚えて、お母様の|御座所《おましどころ》に向かった。
御座所のなかでは、皇太后であられるお母様が熱心に文を見つめ、深くため息をついていらした。
「お母様、いかがなさいましたか」
「…ああ、五の宮ですか。実は|今上《きんじょう》の帝から『四の宮を|入内《じゅだい》させよ』と届いたのです。亡き更衣に似ていると聞いたから、と…話が娘を更衣の身代わりにせよなどと、なんとかしてお断り出来ないものでしょうか」
――なんですって!
私は心のなかで激昂した。お母様を悩ませるばかりか、気高き内親王であるお姉さまを一介の更衣の身代わりにせよというの!?これは我が家に対する明らかな侮辱だわ!
「お母様。もしよろしければ、このお断りの件、私に委ねてはいただけないでしょうか。お母様を困らせる不届きものはたとえ帝であっても許しませんわ。」
私は荒ぶる感情をぐっと抑え、あえて毅然と、冷静な声を装って申し出た。お母様は驚いたように目を見張ったが、やがて優しく微笑まれた。
「ありがとう。聡明なあなたならきっと帝に未練を残させぬよう、完璧なお断りの文を書いてくれると信じていますよ」
よし、お許しは得た。私の大好きなお母様とお姉さまを苦しめる者は、誰であれ容赦しないわ!
読んでくれてありがとう!
第二話
この話は私の意見?が主な部分になります。私の意見(藤壺の宮推し桐壺帝大嫌い)を反映したようなものなので。ただ、私は学校のノート2ページを箇条書きで桐壺帝の悪口20数個で埋めるような人間なので、この程度ではないですけど。
さて、書くことを決めたはいいけれど、具体的に何をしたためようか。お父様が|崩御《ほうぎょ》なさってからの五年間、必死に勉学を励んできた。その成果を今こそ発揮するときだ。
責めるべき点は、大きく分けて二つある。
まず一つ目は、お姉さまを一介の更衣の身代わりにしようとしたことだ。これは私の私情ではない。|后腹《きさいばら》の内親王の方が遥かに身分が高いというのに、更衣の身代わりにせよなどとは、いくら帝とはいえおふざけが過ぎるというものだ。
そして二つ目は、桐壺の更衣を|寵愛《ちょうあい》するだけして、己が欲を満たしながらも、彼女を少しも守ろうとしなかったこと。後ろ盾のない更衣をあれほど過剰に寵愛すれば、 |弘徽殿《こきでん》の女御をはじめとする宮中の人々が黙っているはずがない。 それなのに具体的な策も講じず、 結局は守り抜けなかったというのに、高貴なお姉さまを預けて守りきれるわけがないではないか。
大きく言ってこの二つかしら。本当はまだまだ書きたいことが山ほどあるけれど、これくらいに留めておこう。あの執念深い帝も、これを見ればさすがに諦めて自らの非を認めるに違いない。
「命婦、 どうかしら。 文が書けたのだけど」
「まあ。 宮様は相変わらずお見事な筆跡でいらっしゃいますわね」
「そういうことではなくて、 中身を見てちょうだい。読んでみて」
命婦は私の|乳母《めのと》でもある。 自らの子供を早くに亡くしているためか、私たちを他の乳母よりもさらに深く、実の娘のように愛してくれている。
「.........まあ! 宮様、何てことをお書きになって......。帝に対して、このような手厳しい物言いをなさって」
「そう言うと思っていたわ。でも、あの執念深いにはこれくらいガツンと言ってやるのがちょうどいいのよ」
私はふん、と胸を張った。 何枚も衣を重ねているから、外からは分からないでしょうが。
「それは、確かに仰る通りでございますね」
「ね? そうでしょう。お母様とお姉さまを苦しめる人は、一人として許さないのだから」
その後、私は、|内裏《だいり》へと文を送り届けさせた。
読んでくれてありがとう!
ルビがいるかわからないけどつけてます。こんなの読む人は歴史好きばっかだと思うから知ってると思うし…
第三話
数日後。 私は宮仕えもしている中将の君から、 内裏での帝の様子を聞き出した。 返ってきた報告は、呆れて言葉を失うほど 愚か極まりないものだった。
『帝は、女四の宮さまことはお諦めになったようでございます。 しかし、 身代わりが手に入らぬのならせめて形見を愛でよ うとでも思われたのか、亡き桐壺の更衣の形見である二の宮様・・・・・・巷で噂の光る君を、常に御身辺に置いて離そうとしない ご様子で・・・・・』
私はこの話を聞いて激昂した。
ーーもう一度、文を送ってやるわ・・・・・・! あの愚帝は一体何を考えているの!
責めるべき点はまたしても二つ。
一つ目。 前途ある幼子を愛玩の身代わりにし、 まともな教育も受けさせずに手元に囲い込むとは如何なものでしょうか。
二つ目。己の私情に溺れて国の政を疎かにするとは、 国の長として如何なものでしょうか。
追伸。 光る君はこちらで責任を持って教育いたしますゆえ、 金切声で泣くほどに干渉なさらないでください。
よし、 できた。
「命婦、文ができたわ。 読んでみて」
「はいはい、分かりました」
また同じことを言われるかしら。 帝に対してこのような手厳しい物言いをするな、と。
「宮様、 また帝にこのような物言いをなさって・・・・・。 聡明でいらっしゃるのは素晴らしいことですが、 その知識は帝をお説 教するためにあるのではありませんわよ」
「だから言っているでしょう。 あの帝は本当に愚かなのよ!」
私の剣幕に、命婦は大きなため息をつきながらも、最後には納得したように深く頷いた。
「五の宮。 お前はまた帝に手厳しい文を送りつけるつもりなのかい?」
呆れたような、それでいて愛おしそうな表情で話しかけてきたのは、 最近声変わりをされたばかりの格好良いお兄様だっ た。
「ええ!だって帝があまりにも愚かでいらっしゃるのですもの」
「おいおい。それは事実だとしても、帝に向かって面と向かって言って良いことではないよ。 分かっているだろう? 聡明 なお前なら」
お兄様のあまりに真っ当な正論に、 私は返す言葉もなくて苦笑するしかなかった。
「では、お兄様。この文、内裏へ行かれる際についでに帝へ届けてくださいましね。頼みましたわよ」
「やれやれ。畏れ多いことこの上ないが、可愛い妹の頼みとなれば断れないな。喜んで引き受けよう」
さすがは私たち姉妹を溺愛してくださっているお兄様、頼りになるわ。
「ありがとうございます。では、お気をつけて行ってらっしゃいませ」
「ああ、行ってくるよ。私の可愛い宮」
私たちののやり取りを見守っていた周りの女房たちは、その仲睦まじい様子にほっこりと顔を綻ばせていた。
読んでくれてありがとう!今回も私の個人の意見が入ってますね‥
第四話
日が暮れてきた。 そろそろお兄様がお帰りになる頃かしら。
「五の宮。 光る君をこちらでお育てするのでしょう? たくさんの書物を集めておきましたわ。 どれから学ばせるのが良いかしら ......」
悩ましそうな顔で話しかけてきたのは、お姉さまだ。 先日、裳着を済まされて以前にも増して美しくなられたお姉さまの もとには、毎日恋文の嵐が鳴り止まない。
「ううん、 帝がこれまでどの程度教育なさったのか分かりませんもの。 見当もつきま せんわ」
「そうよね。…噂によると、 あちらでは普通の姫君が受けるような教養ばかり身につけさせられているそうなの。 和歌に琴、和琴、琵琶、それからお香の調合などね」
お姉さまからそんな驚きの事実を聞かされ、 私は呆れて頭が痛くなった。
「はあ。 流石に度が過ぎているわ......」
あまりの呆れ具合に、 いつもなら次々に出てくる小言が、この時ばかりはほとんど喉に詰まって出てこなかった。
「宮様、 宮様! 兵部卿の宮様が、 光る君を連れて牛車でお帰りになりましたわ! お二人が並ぶと、 それこそ輝かんばかりの美 しさでございますよ!」
命婦が息を切らせて知らせてくれた。私とお姉さまは御簾の隙間からそっと外を覗いてみた。......そこにいたのは、本当に言 葉を失うほど美しい少年だった。 お兄様と並んで見劣りしない男など、きっとこの世で光る君をおいて他にはいないわ。
「愛しい姫宮たち、 今帰ったよ。 こちらが光る君だ」
お兄様に促され、 小さな影が一歩前に出た。
「............お初にお目にかかります。 二の宮でございます。 これから、よろしくお願いいたします・・・・・・」
光る君の声は、かすかに震えていた。 緊張しているのか、あるいは怯えているのだろうか。 無理もないわ。 何せ私は、彼の父親 である帝に堂々と説教の文を叩きつけた、唯一の女なのだから。
「光る君。 そんなに怯えなくてもよろしいのですよ」
彼の不安をいち早く察して、 すぐに優しい声をかけたのはお姉さまだった。
「そうですわ。 私たちはあなたを救うために、当然なすべきことをしただけですもの」
お姉さまに続いて、私もそう言葉を重ねた。 すると、 光る君はその秀麗な顔を困惑に歪ませて問いかけてきた。
「私を......... 救う? 私は、 何かから苦しめられていたのですか?」
――まさかこの子は、父帝のなされていたことがすべて正しいと教え込まれてきたのかしら。 やはりあの帝は、この上ない愚帝だわ。
「あなたはまだご存じなかったのかもしれないけれど、あなたの父帝は、あなたに対して大きな罪を犯しておられたのですわよ。 ・・・・・・でも、もう安心なさい。 あなたはこれから我が家で、たくさんのことを学ぶことになるわ。 本当のきょうだいのように 思って、何でも頼ってくださると嬉しいわ」
私は、 自分にできる最大限に優しい微笑みを彼に向けた。 この子にもいつか、民のために必死になれる立派な人になってもら わなければ困るもの。都一の教育を施して、都一の天才に育て上げてみせるわ!
「・・・・・・ありがとうございます」
光る君の、最初は緊張で強張っていた顔が少しずつ綻び、小さな笑顔がこぼれた。その姿は、息をのむほどに美しかった。
読んでくれてありがとうございます!
第五話
遅くなりました!ごめんなさい!
あと少しで天女の万華鏡終わりそうになっちゃいましたわ!
光る君が我が家へやってきてから、四日が経った。
最初にあれほど怯えていたのが嘘のように、 今や「お姉様!」 と私の傍へ寄ってくるほどに懐いている。
そして光る君がそうして甘えるたびに、周りの女房たちは 「なんて美しいのかしら......」と、うっとりしたため息 を漏らしていた。
「五の宮。 どうですか、光る君の様子は」
お母様も悩みの種が消えたからか、いつもの気品ある美しさを取り戻していらした。
「あの愚帝がまともな教育を受けていなかったせいで、無知なことも多々ありますが、まるで乾いた土が水を吸い上げるように、教えたことを次から次へと覚えていくのです。さすがは 『光る君』と噂されるだけはありますわね」 「そうなのですね。 目の肥えたあなたがそこまで認めるということは、相当な才なのでしょう。 あなたがその子の 受けてこなかった数年分の教育を施すのでしょう? 本当に、体にだけは十分に気をつけなさいね」
「ありがとうございます、お母様。 明日からも気合を入れて頑張りますわ!」
お母様との話がひと段落したその時、ぱたぱたと廂を走る足音が響き、光る君が元気よく入ってきた。
「お姉様! 命婦が唐菓子を持ってきてくれましたよ! 一緒に食べませんか?」
「まあ、光る君。一日で随分と明るくなられましたね。その美しさに年相応の幼い輝きが加わって、とても素敵ですよ」
お母様が優しく、気品に満ちた声で光る君を褒めちぎった。
「そうでしょうか? ありがとうございます、お母様!」
嬉しそうに微笑む光る君は想像以上に可愛らしくて、 私も内心驚いてしまうほどだった。
「それで? 命婦が唐菓子を持ってきてくれたのだったかしら。 私も行くわ!ではお母様、失礼いたします」
「失礼いたします!」
私たちが御前を退いた直後、お母様の御座所の中から、
「若いというのは良いものですねえ。 本当に楽しそうで・・・・・・」
という、小さくも温かい呟きが聞こえた気がした。
光る君の手を引いてお姉さまの御座所へ向かうと、甘葛の甘い匂いと、お姉さまが愛用していらっしゃる百歩の香 の薫りがふわりと漂ってきた。
「五の宮、待っていたわ。出来立ての唐菓子よ。さあ、みんなで頂きましょう」
三人で囲んで食べる甘い唐菓子は、格別に美味しかった。光る君が
「内裏には、こんなに美味しいものは元よりありませんでした」
と満足そうに零していたので、私は心の中で、あの愚帝にまた一つ打ち勝ったような気がして、たまらなく嬉しくなった。
第六話
光る君を教育し始めて、 早くも半年が経った。
光る君は、ようやく数年分の遅れを取り戻し、普通の九歳が持つべき知識をすべて手に入れた。あの愚帝が施していなかった教育の穴があまりに多すぎたため、今日までは本当に大変な道のりだった。しかし、勝負はここからだ。何せ私の目標は、光る君を都一の天才に育て上げることなのだから。
「五の宮。この恋文の山、どう片付けるべきかしら。燃やすにしても、灰の始末だけで大変なことになってしまうじゃない?」
お姉さまが困り果てた顔で相談をもちかけてきた。 お姉さまの美しさは誰もが認める事実だけれど、これほど評判が立ってしまえば、絶え間なく押し寄せる男たちへの対応で苦労が絶えない。
さて、あの大量の文をどう処分するのが最も効率的かしら......
紙はよく燃える。そういえば最近、 薪が手に入らなくて炊事の燃料に困っている民たちがいたわね。 あの者たちの燃料として活用させれば・・・・
「五の宮? ずいぶんと小さな声でぶつぶつ言っているから聞こえないけれど、色々と考えてくれているのね?」
「えっ!? あ、思考が口から漏れてしまっていたなんて・・・・・・。 今、 思いついたのです。薪を買えずに燃料に困っている民たちへ、この文を配るというのはいかがでしょうか。紙ならよく燃えますでしょう?」
お姉さまは、およそ高貴な姫君からは出てこないであろう私の突飛な提案に、驚きを隠せない様子で目を丸くした。
「・・・・・・素晴らしいわ、五の宮。ただの塵にしてしまうより、お米を炊くための炎となり、 誰かのお腹を満たしてから塵になったほうが、文を贈った者たちにとっても遥かに本望というものね」
お姉さまがすぐに深く賛同してくれたので、私はほっと胸をなでおろし、心の中で小さくため息をついた。
「五の宮・・・・・・ 頼みがあるのだが・・・・・・」
「お兄様!? まあ、一体どうされたのですか、 そんなにおやつれになって・・・・・・!」
私はお兄様の顔を見て驚愕した。いつもの美貌が台無しになるほどげっそりとやつれ、全身から疲労が滲み出ている。
「聞いてくれるかい? 内裏を歩けば男たちが 『妹君に渡してくれ!』 と恋文を押しつけてくるし、女房たちの局の前を通りかかれば、寄ってたかって私の衣を引っ張って中に引きずり込もうとしては、これまた恋文を渡してくるのだ・・・・・・」
まあ、なんという酷い話かしら。いくらお兄様の顔立ちが良く、お姉さまが美しいからといって、宮中の者たちは少しは羞恥心を持ちなさい!私は心の中で怒りの炎を燃やし、どうにか感情を鎮めようと深呼吸した。
「まあまあ、 お兄様。・・・・・・ですが、 お兄様がそろそろ北の方をお迎えになれば、そうした騒ぎも収まるのではないかしら」
お姉さまの言葉は、 まさに正論だった。 確かに、 可愛い妹たちが二人もいるからと、これまですべての縁談を蹴って独り身を貫いてきた お兄様側にも、少しは原因があるかもしれない。
「無理だ・・・・・・。 女子という生き物は、つくづく恐ろしい・・・・・・」
お兄様の目は完全に濁っている。 あーあ、 すっかり重度の女性不信に陥ってしまっているわ。
「「ではお兄様! 私たちが心優しい姫君を探してきて差し上げますわ!」」
お姉さまと口裏を合わせたわけではないのに、 見事なまでに声が揃った。 お兄様を怖がらせる女ばかりではなく、中にはきっと、奥ゆかしく優しい人だっているはずだ。
「ありがとう、我が宮たち。しかし、そんな都合の良い姫君がいるものかね。我が家の北の方となれば、大臣の姫君か、さもなくば内親王や女王といった高貴な身分でなくては釣り合わないが・・・・・・」
「う......。では、我が家の女房たちに広く噂を探らせますわ。それか、光る君なら何か知っているかもしれません。 内裏には、数多の 女御や更衣がいたのでしょう? あの帝が、光る君を無理やり女たちの御簾の中に引き入れていたという噂ですし・・・・・・」
ここへきてもなお、あの愚帝の仕業が関わってくるとは、本当に不愉快極まりないわね。結局、何が起きてもあ奴の悪影響が絡んでくる のが本当に許せない。
読んでくれてありがと!
第七話
今日から、私はお兄様の北の方となるにふさわしい、高貴で心優しい姫君を探すことにした。
まずは、我が家で預かっている光る君に話を聞いてみよう。
「光る君。 あなたがいた内裏に、心優しい姫君はいらっしゃったかしら?」
「はい、お姉様! 内裏の姫君方は気のきつい方が多かったですが、麗景殿の女御とその妹君はとてもお優しくて、私とも仲良くしてくださいましたよ!」
おや、いきなり有力な情報を手に入れてしまったわ。けれど、麗景殿の女御は父親である大臣がすでに亡くなっており、強力な後ろ盾がないはずだ。お兄様の正式な北の方とするには少し身分が足りないけれど、お兄様の女性不信を優しく癒やしてもらう御方としては、これ以上ないほどぴったりかもしれないわね。
次は、我が家の女房たちに広く噂を聞いてみましょうか。まずは手近なところで、命婦かしら。
「命婦!どこかに、心優しくて高貴な姫君の噂を知らない?」
「さあて、 どうでしょう。 私はずうっとこの三条の宮にお仕えしているのですよ! 外の姫君のことなど、知るわけがないではございませんか!」
残念、知らなかったか。ずっと我が家に仕えてくれているのは分かっているけれど、他所の女房仲間から何か聞き齧ったりしていないかと思ったのだけど。
「悪かったわね。じゃあ、中将の君を呼んできてちょうだい」
「はーい。でも、中将の君は今、四の宮さまとお話しされていたので、すぐには難しいかもしれませんよ」
・・・・・・困ったわね、 不運が重なってしまったわ。
「じゃあ、 少納言の君はどうかしら? あの子はあの愚帝の妹である、女五の宮様のところに少し前まで仕えていたでしょう?」
「宮様、また今上の帝を愚帝などと仰って・・・・・・。少納言の君なら、今は局で休んでおりますから大丈夫ですよ」
「だったら話が早いわ、すぐに連れてきなさいな」
少納言の君とはそれほど親しいわけではないけれど、情報を聞き出すことくらいは私にだってできるはずだ。
「・・・・・・あの・・・・・・少納言と申します......」
部屋に入ってきた彼女は、あからさまに身を縮めて怯えていた。 私は一体、周囲からどんな恐ろしい存在だと思われているのだろう。ここは精一杯、優しく声をかけるとしよう。
「そんなに怯えないでちょうだい。自己紹介は省いて、すぐに本題に入るわ。あなたはどこかに、高貴で心優しい姫君をご存知ないかしら?」
「そ、それでしたら・・・・・・ 女五の宮様のところに、式部卿の宮様がよくお見えになっていたのです。その際、時折お連れになっていた姫君がいらっしゃいまして...。 式部卿の宮様の姫君は 私のような一介の女房にも本当に優しく接してくださいましたわ…」
うわあ、ぴったりじゃない! 式部卿の宮の姫君なら、身分は申し分のない女王だ。最高すぎる情報を手に入れてしまったわ。中将の君が取り込み中だったのは、むしろ怪我の功名だったかもしれない。お兄様が我が家へ帰っていらしたら、すぐにでも知らせて差し上げましょう。
「ありがとう、少納言の君! 助かったわ!」
少納言の君は、まさかここまで大喜びされるとは思っていなかったのか、一瞬きょとんとした表情を浮かべていた。私はすぐに席を立ち、お姉さまの御座所へと急いだ。
「お姉さま! お兄様の北の方にこれ以上ないほど相応しい御方を見つけましたわ!」
「まあ! 本当? どなたの噂かしら」
「少納言の君から聞いたのです。 式部卿の宮様の姫君ですわ!」
お姉さまの顔がみるみるうちに笑顔になり、それこそ光り輝くように美しくなった。
「その御方なら女王の身分ですもの、お兄様とも本当にお似合いね。善は急げ、さっそく文を送ってみましょうか」
それから、私とお姉さまは二人で熱心に知恵を絞り、式部卿の宮の姫君へ向けた最初のご挨拶の文を書き上げ、すぐに使者を走らせたのだった。
「五の宮、四の宮。今帰ったよ」
待ちわびていたお兄様が、ようやく内裏から帰っていらしたわ!よし、さっそくあの素敵な姫君のことをお知らせしましょう。
「お兄様!少納言の君が、心優しくて高貴な姫君のことを教えてくれたのです。式部卿の宮様の姫君ですって!」
「本当に? その方は本当に、心優しい御方なのかい?」
お兄様はまだ少し女性不信が抜けないのか、縋るような目をしている。
「ええ。ですので、今度我が家へ遊びにいらしてくださらないかというお誘いの文を、すでにお送りいたしましたの。今度お兄様がご自身の目で、そのお人柄を確かめてみてくださいね」
その目で確かめるとは言っても、どうせ御簾を隔てて対面することになるのでしょうけれどね。
「う、うん。分かった、頑張ってみるよ」
作戦は大成功! お兄様も前向きになってくれたわ。あとは、私とお姉さまが心を込めて書いた文へのお返しを、楽しみに待つだけだわ。
読んでくれてありがとね。
第八話
朝、 あまりの眠さに今にも目が閉じてしまいそうな中、私はゆったりと空を眺めていた。そんな頃合いに、少納言の君が息を切らせて私の前へとやってきた。その手には一つの文が握られている。おそらくは······ 式部卿の宮様の姫君のことだろう。
「どうしたの、少納言。もしかしなくても、式部卿の宮様の姫君からのこと?」
「はい! 式部卿の宮様の姫君から、御文が届きました!」
思ったよりも返事が早いわね。さすがはお兄様の北の方候補、礼儀がしっかりしていらっしゃるわ。
中を確認してみれば…よし、明日我が家へ来てくださるそうだ。今のところは前向きに考えてくれているようで安心したわ。
「少納言、下がって良いわ。代わりに命婦を呼んできてくれる?ちょっと話があるから」
「はい、分かりました。五の宮様」
少納言の君がすぐに下がってくれたので、 私は命婦がやってくるまでの間、あの姫君のことを考えることにした。そういえば、 我が家の庭に咲く朝顔が美しかったからと、朝顔を添えて和歌を贈ったところ、彼女はそれは素晴らしい和歌を返してくれたのだ。だから、これからは仮に「朝顔の君」とでも呼んでおこうかしら。毎回、式部卿の宮様の姫君、と呼ぶのはあまりに長くて面倒だもの。
「宮様。 お呼びでございますか、どうなさいました」
そこへ命婦が入ってきた。
「ん......。 まずは朝餉を持ってきてちょうだい。話はそれからよ」
私の言葉に、命婦が一瞬、あからさまに呆れたような顔をした気がする。話があると言って呼び出しておきながら、開口一番に「ご飯を持ってこい」と言われたら、さすがに落胆するかもしれないとは思うけれど。
やがて、部屋の中に朝餉のあたたかい湯気がふわりと漂ってきた。
「あ・・・・・・ 命婦、ありがとう。では、ここからが本題よ」
「はあ......」
命婦が私たちと親しい間柄なのは分かっているけれど、仮にも女房なのだから、私の面と向かってあからさまにため息をつくのはやめて欲しいものだわ。
命婦への用件を話し終えると、私はすぐに彼女を下がらせた。あらかじめ、誰にも会話を聞かれないように周囲の者たちもすべて下がらせておいたのだ。命婦は話を 聞いている間、あからさまに 「またですか」といった顔をしていたけれど、そうなのだ、またなのだ。 私はあの今上の愚帝の動向を探るよう、 命婦に命じたのである。 幸いなことに、命婦の妹はあの愚帝の寵愛を受けている女房の一人だった。そこを足がかりにして内裏の情報を探らせているのだ。風の噂では、その妹君も愚帝のことは心の底から嫌っているらしいのだが、表向きは従順な振りを装って、上手いこと情報を集めてくれているらしい。
「五の宮。少しよろしいですか」
人払いを終えた部屋の御簾をくぐって入っていらしたのは、お母様だった。
「お母様。いかがなさいましたか」
「・・・・・・民からの貢物が届いたのです。 それ自体はよくあることなのですが、その中に、見事な瑠璃の器が混ざっておりましてね。一介の民がこれほど高貴なものを持っているはずがないと不審に思いつつも、気になったので下男に命じて持ってこさせたのです。......そうしたところ、器に毒でも塗られていたのでしょうか。 その下 男が器を持ち上げてしばらくした途端、 急に倒れてしまったそうなのです。 その後、不用意にその器に触れてしまった者たちも、次々に倒れてゆき・・・・・・。 民の衣をま とった刺客が、 私たちの周囲にまだ潜んでいるやもしれません。 あなたもくれぐれも気をつけてくださいね」
「そんな。倒れたという方々は、無事なのですか? もう回復なさったのですか?」
「ええ・・・・・。 なんとか一命は取り留めたのだけれど、まともに体が動かなくなってしまい、もう働くことは難しいかもしれないということで、皆、暇を出して家に帰っていきましたわ」
刺客、ねえ。一体どこの誰が、我が家にそれほどの敵意を向けているのかしら。随分と命知らずな奴がいたものだわ。私の大切な家族の命を脅かそうとする不届き者は、それが誰であれ、本気で生かしておくつもりはないからね、私は。
「五の宮? そんなに怖い顔をしないでちょうだい。その貢物を持ってきた刺客なら、すでに捕まえて検非違使に渡しましたから、もう安心なさいませ」
お母様は何でもないことのように微笑んだ。ひとまず実行犯が片付いたのは良かったけれど、これで終わりとは限らないわ。背後にいる黒幕が誰であれ、この後も第二、第三の刺客を放ってくるかもしれない。 我が家の防衛のためにも、ここからは本気で警護を固めさせなくてはね。
「それで、 兵部卿の宮のお相手となる姫君は、無事に決まったのですか?」
お母様が思い出したように尋ねてこられた。
「ええ。 昨日、式部卿の宮様の姫君に私とお姉さまで文をお送りいたしましたの。そうしたところ、 今朝早くに大変素晴らしいお返事が届きまし我が家へお越しくださることを快諾してくださいましたわ。あとは明日、お兄様がご自身の目でそのお人柄を確かめ、お気に召すかどうかですわね」
「まあ、それは良うございました。式部卿の宮様の姫君なら、身分も教養も申し分ありませんものね」
お母様もようやく心からの笑顔になり、我が家の素晴らしい未来を予感して、とても嬉しそうに目を細めていらした。
読んでくれてありがとね!
第九話
久々の投稿になりました!昨日はね、久々にバレエのレッスンがあったからテンションやばくって、完全に忘れてました。ごめんなさい。
いつもは朝が苦手な私だけれど、今日ばかりは少しも眠気を感じない。それもそのはず、あの朝顔の君がお見えになるのだから!
「お兄様、準備はよろしいですか? 式部卿の宮の姫君がお見えになるのは、辰四刻ですのよ」
「なんと! あと少しではないか。まだ心の準備が……」
慌てるお兄様の様子がおかしくて、私は思わず笑ってしまう。
「私は、式部卿の宮さまの姫君がいらしたらすぐに民たちのところへ参りますね。お邪魔虫は退散いたします」
だってお兄様は、私たちが側にいたら、絶対に「我が妹宮に敵う者などいない」と言い出すに決まっているのだ。
「そんな殺生な、私の可愛い宮……」
嘆くお兄様を横目に、私は遠くに朝顔の君の乗っているであろう糸毛の車を見つけた。簀子へと降り、外へ出ようとしたものの、差し込む日差しが強い。いつもの羽衣と市女笠を身につけねば。
「命婦、いつものを持ってきてちょうだい」
「はいはい。今からお出かけですか? 兵部卿の宮さまはよろしいのですか?」
「わかるでしょう? お兄様は私たちがいたら……」
命婦も納得したようで、御座所から羽衣と市女笠を運んできてくれた。
「ありがとう、行ってまいります」
私は静かに牛車に乗り込み、民たちの待つ場所へと向かった。牛車から降りた私に気づくと、民たちはぱっと顔を輝かせて駆け寄ってきた。
「おお、天女さまがおいでくださったぞ!」
「天女さま!」
すぐに私の周りに人だかりができる。
「まあまあ、落ち着いて。今日はこれらを差し上げますね……おや、そこのあなた。瘧を患っていますね? このお薬を使えば良くなりますよ。私が薬草から作ったものですから。」
私が優しく微笑みながら手渡すと、民たちは涙を流して手を合わせるのだった。
「お姉様ー! どうして私を置いていってしまわれたのですか!」
息を切らしてこちらへ走ってきたのは、光る君だ。いつも民のところへ一緒に行くから、置いていかれたのが寂しかったのだろう。
「まあ……そんなに泥だらけになって。後できちんと洗ってくださいね」
私が精一杯の優しい笑みを向けると、光る君は見惚れたように一瞬、呆然と固まってしまった。
「……はっ。あ、あの、お兄様と式部卿の宮の姫君のことなのですが……」
「光る君、そのお話は牛車の中で伺いましょう。ひとまず、早く帰りましょう」
私は彼の話を遮り、邸へ戻るよう促した。光る君は一瞬だけ寂しそうな顔をしたが、すぐに納得したようで、先に牛車へと駆けていった。
「では皆様、失礼いたしますね」
私がそう言って牛車に乗り込むと、民たちは私たちの車に向かって涙を流しながら手を合わせていた。もし、都の殿方たちが私に送ってくる文を、私が民たちの煮炊きの燃料にしていると知ったら、一体どんな顔をするだろう。あの少し風変わりな殿方たちのことだ。「なんと慈悲深いお心遣いだ……」などと、かえって感動してしまうかもしれない。邸に戻ると、すでに朝顔の君は帰られた後だった。そこには、魂が抜けたようにぼんやりと座り込んでいるお兄様の姿がある。
「お兄様! いかがでしたか? 式部卿の宮の姫君は」
「う、うむ。悪くなかったよ……。宮中の喧しい女たちとは違ってね」
よし! 私は心の中ですごく喜んだ。お兄様がいつもの調子を取り戻してくれたことを想像し、自然と笑みがこぼれるのだった。
読んでくれてありがとう。
十話があるんだけど、そっちはカクヨムではまだ出してないです!ついにこっちの方が先になる日がきた…まあ、こっちは十一話の最初で止まってるけど…
第十話
久しぶりだね!この小説を更新するのは!
数ヶ月が経ち、お兄様と朝顔の君が三日夜の餅を食し、正式に夫婦となられた。お兄様も、晴々とした表情で、「群がってくる女子が減った…」と喜んでいらして、嬉しかった。
「姫宮!お聞きになりました?」
お母様がいつのまにか私の御座所の中にいて、いつもの気品をほんの少しだけ崩した口調で話しかけてきた。
「何かございましたの?私は知りませんわ。大きな出来事など。」
「そうですか。なんとですね…今上の帝が崩御されたようなのです。」
私はつい笑みがこぼれてしまった。なにせお母様やお姉さま、新しくできた私の大切な弟、光る君を傷つけた愚帝なのだから。
「宮。流石に『あれ』が相手とはいえ人が亡くなったことに対して喜んで笑みを浮かべるものではありませんよ』
「あ、つい…大丈夫ですわ。他の人が亡くなった時には笑みは浮かべませんから。『あれ』が相手だからついそうしてしまっただけですわ。」
うちの中でのあの愚帝の評価はものすごく悪い。名前さえ出さず『あれ』と気品に満ち溢れているお母様やお姉さままで言うほどなのだから。光る君は、今、実の父が亡くなったというのに聞き流しながら唐菓子を食べている。
「命婦。民の様子を見に行くわ。だから、麻の服持って来て。」
「宮様。いい加減変装はおやめなされませ。あの時々現れる庶民とは思えぬ美しさの人が宮様だと知ったら驚かれますわよ。」
「うるさいうるさい。いいから早くして」
命婦は不満げな様子ながらも、私が主人だから逆らえないのだ。内親王っていいわね。内親王に限らないか。
着替え終わった。相変わらず、服以外全く庶民ではないとは思う。しかし、変装しないよりはいいだろう。
「行くわよ、命婦。あ、今日は刺客がいるといけないから光る君も連れて行くのだったわね。」
「ええ。でも光る君がいらっしゃるのはいつものことでございましょう。」
「まあね。呼んできてよ。面倒くさい。」
命婦は呆れた様子ながらも、光る君を呼んできてくれた。
「お姉様!左様な服さえもお似合いになるなんて!流石です!」
「……はい、ありがとう」
光る君が私が何をしようと褒めてきて少しめんどうだわ。ゆったりと牛車に乗って向かった。
「宮様がいらっしゃったぞ!」
民のところにつくと一人の男が声をあげた。その声を聞いた人は皆牛車の周りに群がってきた。あれ?変装してるのに…あっ、牛車に乗っているのだったわ。
「あ、あの、宮様。とても恐れ多いことなのですが、この頃たくさんの人が流行病で苦しんでいるのです…私の妻も、子も…そ、それでえっと」
「はい。わかっています。たくさん準備してきましたわ」
私が微笑みながらそう伝えたら、周りの人たちが皆涙を流して手を合わせていた。私は仏になったつもりはないが、仏のように優しいと思われているのなら光栄なことだ。
…あっ、忘れてたわ…この中に刺客がいるかもしれないのだったわね。お母様にも注意されたのだったわ。いけない…気をつけないと。
「あら?もう日が暮れているわ?光る君、帰りましょうか。」
「はい!お姉様!」
私たちは牛車に乗り、民たちに挨拶をして、三条の宮に帰った。
読んでくれてありがとー。十話まで来たぜー!
第十一話
今回から5年後、まあ、五の宮が適齢期ギリギリの17、四の宮が19歳、光る君が14歳だよ!あ、光る君はね、葵上と結婚したのって、桐壺帝のわがままのようなものやん?だから独身だよ!ではよろしく!あ、今回は五の宮視点じゃないからね!
--- 宮中 ---
「おいおい源氏の君〜。君もそろそろ恋のひとつやふたつしないのか〜?」
「頭中将。前から言っているだろう、私は女に興味はないのだよ。それにどんな美しいと言われる姫君よりもお姉さまの方が美しい…」
光る君は、五の宮たちに厳しく教育されたのはいいのだが、美しい姉妹と一緒にいただけに、どんな人も美しいと思えないという。
「そんなに美しいのなら一度会ってみたいものだ。そして私が口説き落として見せる…」
「お姉さまはそんなことでは動じないと思うよ。」
「連戦連勝の私が負けると…?信じられない!」
頭中将は相当自信があるようで、光る君は本当に姉達を口説かれないか少し心配になるのだった。
「そんなに姉君が好きなら契ってしまえば…」
光る君は頭中将の言葉を遮るように頭中将の頬を叩いた。
「ありえない!」
「源氏の君。加減くらいしてくれよ。」
「…頭中将。お前はお姉さまを知らない。お姉さまはそんなことしたら絶対お怒りになるし…嫌われる。」
頭中将は黙り込んだ。
--- 三条の宮 ---
「命婦〜!この文どうする?燃やすと余計執着してくることを学んだじゃない?」
前まで容赦なく恋文を燃やしていた五の宮だが、好意が執着に変わると面倒だと言うことを学んでからは中々処理に困っていた。
「丁重にお断りしては?」
「それじゃ文が減らないじゃないの。」
「それはもう諦めてください。どなたかと結婚するとかしかないでしょう。斎宮と斎院もお若いですしそれを使って独り身を貫くと言うのも難しい話です。」
「む〜。仕方ないのは分かってるんだけどー。」
五の宮はどうしても好きでもなければ権力目当てもいるような都の男達とは結婚したくなかった。しかし、四の宮は嫌ではあるが、結婚することは仕方ないと受け入れていた。
「五の宮。いい殿方は見つかりましたか?」
「お母様!いい方なんていませんわ!ねえ、お姉さま?」
「ええ。私もいい殿方はいませんわ。」
母后も、娘に見合ういい男などそういないと考えていた。しかし、娘の教育した光る君なら、とも思っていた。
「では、光る君は?」
「は?そうだった、彼も元服したから一人の殿方なんだったわね。私は無理だけど。」
「五の宮…」
母后が呆れたようにため息をつく。しかし、四の宮は黙ったままだった。
「……そうね。光る君ならいいかもしれないわね。」
「お姉さま!?本気ですか?」
「ええ。都の数多の殿方よりは光る君の方がいいでしょうから…」
そう言って四の宮は儚げに俯いた。が、四の宮は内心、光る君が元服してから三条の宮に中々顔を見せなくなったため、寂しく思っていた。だから光る君に会いたいという思いもあったのかもしれない。
「そうね…では一度光る君に話をしてみましょう。」
「ありがとうございます。お母様。」
四の宮は儚げに微笑んだ。仕草の一つ一つが儚げに感じられるのが、妹である五の宮との一番の違いだろう、と母后は思った。
読んでくれてありがとー!最近筆が乗ってきた…
第十二話
今回は五の宮視点に戻ってるよー!
今日、お母様が光る君を呼び出しているはず。《《あの話》》を光る君にするのね。緊張する。まあ、お姉さまの方が緊張しているであろうが。あ、光る君が見えた。緊張感が漂ってるのを感じてるだろうなぁ。
「__お姉さま。大丈夫ですか?__」
「__え、ええ。緊張しているだけだから。__」
隣に座るお姉さまは緊張しているのか、ずっと震えている。お姉さまが光る君を好きなのは知っている。けれど、この様子は流石に心配になる。
「あ、あの。お母様。大事な話と聞いたのですが…」
「よくお越しになりました。光る君。ところで貴方、好きな|女《ひと》はいますか?」
そ、そんな単刀直入に聞かないで、お母様!光る君こまってるわ!
「え、通うような姫君は居ませんが…」
「そうですか。それは良うございました。実はですね、貴方に四の宮と結婚して欲しいのです。」
「………はい?」
隣に座るお姉さまは…相変わらず緊張してるな。
「それは…構いませんけど、おね…四の宮様はどうお思いなのですか?」
流石光る君。私の教育の成果が出ているわ。
「四の宮。お答えなさって。」
「は、はい」
お姉さま緊張してるけど、大丈夫かな?頑張って!
「私は、光る君と結婚出来れば嬉しうございますわ…」
よし。言ったわ!これはほぼ確定したのでは?
「そうですか。ならばその話、お受けいたします。」
「わかりました。では色々準備がありますから、私は失礼します。」
いや、お母様、準備って何?ないですよね。……………あ、なるほど〜。お姉さまと光る君の仲のために離れたってこと?よし、じゃあ私も。
「では私も読みたい書物がありますゆえ、失礼します。」
私が部屋を後にすると、女房たちも下がっていった。そして、部屋にはお姉さまと光る君が取り残された…はず。
今回短くなっちゃったよー。まあ、許して!
読んでくれてありがとう!
第十三話
はぁ。最近筆が乗らへん。
「お姉さま。光る君が昨日お越しになったのですよね。」
「!?!?え、ええ。そ、そうだけど…?」
「契りは!?お交わしになったのですか!?」
朝、私はお姉さまに会ってすぐ、お姉さまを問い詰めていた。お姉さまが困っているのは目に見えているが、止める気はない。
「ちょっと。そんなこと聞かないで。恥ずかしいわ。」
「無理です。気になるじゃないですか。恥ずかしいってことは契り、交わしたのですか?」
「〜〜〜そ、そうは言ってないじゃないの!」
お姉さま恥ずかしがってるけど、気になるものは気になるのよ。じゃあ、光る君に聞こうかしら。
「わかりました。では光る君に聞いてみますわ。」
私はふいっと背を向けて歩き出した。お姉さまの声が聞こえる気がするが、気にしない。
「光る君〜。ちょっと。」
「?なんですか?お姉さま。」
光る君が寄ってくる。近づいてもらわないと聞けないわ。聞かれたら困るもの。
「お姉さまとは契りをお交わしになったの?」
「な!?」
光る君の顔が一瞬にして真っ赤に染まる。ふふふ。面白い。もしかして図星だったかしら?
「…‥‥はい……交わしました………」
「…っ。そ、そうなのね!おめでとう。お母様と餅を選んでおくわね。」
光る君はまだ赤い顔のまま俯いている。私はさっとお母様の御座所に向かって歩き出した。
---
「お母様!」
「五の宮。どうなさったのです。落ち着きなさい。」
「ごめんなさい。お姉さまと光る君が、新枕をお交わしになったのですって。ですから、お餅を…」
「そうなのですか!それは、たしかに急がねばなりませんね。若狭!」
お母様もやる気が出たようね。たくさんの恋をしてきた若狭を呼ぶなんて相当だわ。
「どうかなさいましたか?奈子さま。」
……奈子?あ、お母様か!若狭はお母様と仲がいいから名で呼ぶことを許されているんだったわね!
「四の宮と光る君が新枕を交わしたのですって。お餅を。」
「はい。若い方に好まれそうなお餅を調べておきますね。」
「頼みます。」
そういえば、光る君は、お姉さまの名前を知っているのかしら?私は知っているけれど…夫婦となるのなら知っておかなくてはならないのでしょう?あ、私も光る君の名前知らないわ…気になるわね。
読んでくれてありがとね!はやくこの章?的な部分完結したいから最近頑張ってる!
十四話
はーあ。次くらいでこの章?的なやつ完結だと思ってる。
--- 翌朝 ---
「お姉さま!昨夜も光る君はいらしたのですよね?」
「……え、ええ…」
「では、お餅を出させておきますね。」
恥ずかしがって固まるお姉さまを無視してお餅を用意しているはずの若狭の元に向かった。呼ばないのは、お姉さまにバレないためだ。最上級品を用意させるように言っておいたもの。
「若狭〜今夜お餅が必要になると思うのだけど、どう?」
「宮様!もうすぐ届くと思いますよ。知り合いの武官の家の方が持ってきてくださるようです。」
「そう。じゃあしばらく待つわ。光る君にもバレてはいけないわ…」
若狭は、この家の女房の中では飛び抜けて美人だ。当然、お姉さまの輝きには劣るけど。だから、彼女の親戚や知り合いは美しい方が多い。光る君にも劣るけど。
「若狭の君。あちらでお呼びです。」
「はい、参ります」
私は若狭について歩いて行った。普通、私は行くべきではないんだと思う。でもお姉さまのためなら御簾やら几帳やらなんて塵芥に同じよ。
「若狭の君でいらっしゃいますか。」
あ、若い方だわ。私と同じくらいの歳かしら。お姉さまや光る君のように輝いてはいないけど、なかなか美しい方ね。
「はい、私が若狭ですが。」
「|兵衛督《ひょうえのかみ》、|藤原風成《ふじわらのかぜなり》申します。こちらを」
そうして差し出された箱の中には綺麗なお餅が入っていた。というか、この人まじめね。大体の殿方はこういうところで言い寄ってきそうなのに。
「若狭、これで間違いの?」
「ええ、間違い無いですよ。」
「畏れながら、後ろの方は、どなたでしょうか」
これまで気づいてなかったのかな?とりあえず名乗るか。
「宮様、尊きお声を聞かせるわけには…」
「いいのよ、若狭。この方、今のところ私に言い寄ってきてないから。さて、私は、先帝の女五の宮ですわ。」
「…!左様でしたか…では、失礼いたします」
あら、帰っちゃった。うーん、まことに綺麗なお餅だこと。美味しいといいけどなぁ。お姉さまが食べるんだもの。
ふぅえー。読んでくれてありがとうー!
がんばりまーす。別の作品も出さねば。
十五話
そろそろ一段落だー!
--- 翌朝 ---
「宮様〜、そろそろお起きになってくださいませ。」
「……あ、あ?おはよう。命婦、もう日は出てるの?まだ眠いのだけど」
「ええ、先ほど日が出たところです。まあ、昨日は遅かったですからね。」
私は昨夜のことを思い出した。お姉さまと光る君が三日目だから所顕の儀をしたのだった。それで当然寝るのが遅くなったわけだ。お姉さまは大丈夫だろうか。
「命婦。ちょっと…亜美子を呼んできてよ。久しぶりに話したいわ。」
私だってお姉さま以外の歳の近い子と話したくなることはある。それに亜美子は乳姉妹だし、その中でも命婦の子だから仲が良いしね。
「え?亜美子ですか?今はうちの邸にいるはずですから、呼びましょうか。」
「頼んだわ。」
「宮さま、お久しぶりでございます。」
「久しぶりね、亜美子。すでに女房は下がらせているから、堅苦しいのは抜きにしましょ?」
「はい、|光子《こうし》さま。|輝子《しょうこ》様が光る君と契りを交わされたと聞きました。おめでとうございます。」
あら、もう伝わってたのね。お姉さまと光る君のこと。やっぱり都の噂は早いわね。というか、まだ硬いわね。亜美子は。
「そうなのよ。最初はね、お母様は光る君を私と結婚させようかとも思ったらしいのよ?」
「そうなのですか………っえ?それ本当ですか?」
ふふっ、亜美子はこの反応が面白いのよ。
「本当だって。お母様から聞いたもの。」
「えーっ!光子…さまが結婚なんて信じられないです!」
「そうね、私も結婚するなんて信じられないわ。」
亜美子今私のことを呼び捨てにしかけたわね…構わないけど。
「本当だって!まあ、私は拒否したのだけどね。」
「光子さまはなかなか太皇太后さまに逆らわないのにですか。」
「ええ。絶対に光る君と恋愛なんて無理だもの!どの殿方でも嫌だけど。」
亜美子はずっと肩を震わせている。そんなに面白いか?
「で?亜美子は?通ってくださる殿方は出来たの?」
「へ!?わ、わたしは…」
「わたしは?何なの?」
「えっと、お、陰陽…陰陽頭さまが…」
ふふふふ、揶揄うのも楽しいわね…。陰陽頭?あのモテそうな面してるくせに話し方が妙に古くさい人ね。亜美子に通ってたのか…
「そう。その人の何が良いの?」
「うっう…ぇっと…言えません!流石にやめてください!」
「ごめんなさいね。」
それからしばらく亜美子と雑談をしていた。
気付けば半刻も経っていた。そして、命婦が入ってきた。
「あ、母様。もう時間ですか?」
「そうよ。亜美子、そろそろ帰りなさいな。」
「はーい、では失礼します。光…宮様」
ああ、人前ではなかなか本名で言ってはいけないのだったわね。命婦の前でもそうすべきなのかはわからないけど。御簾が風に揺れてふわりと浮く。そこには昨日の武官の方が立っていた。
読んでくれてありがとー!
えっとね、本名の由来ですが、光子は孔子と読み方を同じにしてる!それに見た目の良さとか輝かしさを組み合わせた。輝子は、輝く日の宮から。しょうこって読むのにも理由があるんだけど、そこは秘密で。亜美子は、セーラームーンの水野亜美から。
第十六話
前回の続きぃーですよぉ〜!
「あ、兵衛督殿。昨日ぶりですね。何用で?」
「宮様。御簾をお下げになってください。御姿が見えてしまいます」
「そうね、でも貴方はもう私の顔見てるでしょうに。今更じゃないかしら?それに私の顔くらい光る君が言いふらしてるんじゃなくて?」
「そ、それはそうですが…この辺りは人通りも多うございますので…」
久々に言い争ってるかも。大したものじゃないけど。
「…とりあえず用件は?」
「兄から文を預かっております。」
「私への恋文ってこと?それはいらないわ。」
「わかりました。あとで捨てておきます。では。」
あっ、早っ。もう帰っていっちゃったー。昨日もだったわね。そういえば。
「若狭〜」
「はい、宮様。」
「さっきまで昨日の兵衛督殿がいらしてたわ。もう帰ったけど。」
「そうですか。ありがとうございます。」
私は自分の御座所に戻った。
「宮様。恋文が届いております。」
「いらないって。捨てておきましょうよ。ねぇ、濃。」
「はい、宮さま。あっ、この方、私が最近狙ってる方なんです。」
「そうなの?じゃあ好きにしていいわよ。」
濃がこの…左衛門尉を狙っているとは知らなかったわ。前まで濃の姉の実里が狙ってたような気がするのだけど…一応実里に言っておこうかな。
「美濃!ちょっと!」
「はーい!何かご用ですか?」
濃より実里の方が明るいんだよなぁ…濃は濃で浮き名が多すぎるけれど…
「濃が左衛門尉を狙っているそうだけど、貴女はやめたの?」
「えっ!?そうなのですか?紅里は左衛門尉様を狙ってるのですか。私はもう諦めました。」
よかった。男をめぐって争ったりしたら嫌だからね、私は。
「じゃあ、紅里を応援してあげなさいね。」
「はーいっっ!」
うん、やっぱり人の恋愛事情は興味ないわ〜。でもまあ、話はする。よし、お姉さまに会いに行こう。
「お姉さま!おはようございます」
「ご、五の宮…おはよう」
お姉さまは身支度をしている最中だった。まあ、気にすることないけど。
「光る君はもうお帰りに?」
「え、ええ…」
光る君のことになるとはっきり答えれないのよね。お姉さまは。何故だろう。
「五の宮。貴女は結婚しないのですか?」
「お母様!もちろん私は結婚するつもりはありませんが?」
お母様は苦笑いする。
「そうですか…先ほど聞いた噂だと貴女と兵衛督様が恋仲だと…」
「ありえません!なんでそういうことになってるのですか?」
「御簾を隔てず話していたと。」
「それは確かにそうなのですけど、恋仲ではないですからね。」
「そうでしたか。」
はぁ…そんな程度で恋仲扱いされるのか。めんどくさいなぁ。
読んでくれてありがとー!
リア友はちょっと思うことあるかもね⭐︎あ、実里と紅里は美濃の国出身だよー!適当に考えて浮かんだから。で、美濃をモチーフにした名前のはずが脱線しまくってこうなった。あ、兵衛督くんと恋仲になるかもって恋愛小説よく読む人は思うかもだけど、今のところその予定はありません。
最終話
最終話でーす!完結できるように頑張ります。書いてて途中で続けたくなることあるのよ…
--- 〜3年後〜 ---
あれから、お姉さまは光る君と睦まじく暮らし、ついこの前、御子も生まれた。その子は、お兄様の子と並び、お姉さまや光る君のように美しかった。
「まあ、若君はやはりとっても美しいわね!頼んでおいたものは?まだなの?」
お母様は若君を溺愛していて、いつも若君に高級品を貢いでいる。
「五の宮。ちょっと…光る君を呼んできてくれる?」
「はい!お姉さま。」
私はお姉さまに頼まれて対屋にいるであろう光る君を呼びに行く。
「光る君。お姉さまがお呼びよ。早く行ってあげて。」
「えっ?はい!今すぐ参ります。」
光る君がずっと立ち上がり、駆け出す。光る君も変わったわね。最初に来た頃なんて怯えていたもの。別人のようだわ。今では愛妻家になったわ。愚帝がいた頃には想像できないような穏やかさだった。
「五の宮!ちょっと!」
「はい、お姉さま。すぐ参ります。」
お姉さまの御座所に着くと、人払いがされていて、あまりの静けさにビクッとした。
「どうかなさいましたか?」
「ねえ、五の宮。貴女は本当に結婚しなくていいのね?そろそろ年的に難しくなるけど、本当にいいの?私は光る君と結婚して、今、幸せよ?」
そんなことか。私は本当に幸せそうなお姉さまと光る君を見ていれば満足だから!
「大丈夫です。本当に心の底からお姉さまと光る君が幸せそうで私も幸せだと思ってますから!」
「そう。ならいいの。私たちのために動いてくれた貴女には恩もあるもの。」
御座所の中が笑いに包まれる。そして笑いが収まると、外からお兄様の若君の笑い声や、女房たちの話し声が聞こえた。そして、外からふわりと春風が吹き、御簾をそっと揺らす。その隙間からは満開の桜が見え、お姉さまの幸せを祝福しているかのように感じられた。
--- 終わり ---
一応、これで完結です!気が向いたら番外編等出す可能性あります!
これまで応援してくれてありがとうございました!
番外編その1
わーい!記念すべき番外編その1だよ!その2とかは決まってないよー!みんなリクエストとかあったらファンレター送ってねー!
「ふぅ…今日の恋文はどう?牡丹の君。」
「叔母様!聞いてください!今日は、新しく右大臣様の子息からも文が来たのです!」
「まあ!あそこの方はなかなか忠実人そうとか、お顔が整っていると噂されていたけれど、文はどう?」
「結構歌がお上手でした。そのうえ紙まで素敵で…非の打ち所がないんです!」
「そう…」
私たちは軽く笑う。もう26になった私に来る恋文は随分と少なくなった。その代わり、社交が好きでさまざまな家に顔を出しているお兄様の中の君…牡丹の君などがたくさんの文をもらっている。お姉さまと光る君の御子たちも大きくなればきっとたくさんの文をもらうはずね。
「で、牡丹の君。その方は?お受けするの?」
「もう少し様子を見ます。でも今のところ第一候補です!」
第一候補か…私はそんなこと考えもしていなかったわね。今では、恋仲と噂されているが恋仲ではない兵衛督…いえ、今は近衛中将殿などとたびたび交流をしているけれど。
「お姉様はずーっと今でもまだ6つの…光る君の御子を思っておられるのにね。」
「そうなんです!お姉様は、赤子だったあの子を見て一目惚れしたとかなんとか…赤子に惚れるなんてことあるのですね…」
赤子に惚れる人が出るほどお姉さまと光る君の子が美しかったということだろう。
「中の君さま。大君さまがお呼びでございます。」
「わかりました。では叔母様。失礼致します!」
ふう…今日は寒いわね。火鉢の近くに行きましょうか。
読んでくれてありがとう。リクエスト待ってるよ!リクエストはファンレターで!