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普通の魔法使いですが歩く天災と相棒になります。【第五話】
昨日の放課後、魔法城下町で半ば強制的に連れ回されて買い揃えた材料を机に並べ、私は放課後の実習室で腕をまくっていた。
今日の課題は、買ってきた『星屑ソルト』などを使って魔力を一時的に安定させる『星精のポーション』を二人一組で作る、調合実習の授業だ。
「よし、如月くん! 昨日あれだけ苦労して材料を買ったんだから、今日こそバシッと成功させるよ!」「わかった。」
相変わらずの完璧な無表情で、やる気があるのかないのか分からない返事をするアル。
けれど、いざ実習が始まると、学園一の天才エリートの正体が「生活能力ゼロのポンコツ」であることが、実技という形で最悪の牙をむいた。
「ちょっと如月くんストップ!!! なんでそんな真顔で大惨事引き起こそうとしてるんですか!?」
液体をミリ単位で測らなければいけないのに、アルはドバドバと一気に入れようとする。
さらに、スプーンですくった大事な星屑ソルトを、鍋の外の床へ思いっきり盛大にこぼした。「ごめん……手が、思った通りに動かない」
「混ぜ方も大雑把すぎる! 座学の筆計テストは満点なのに、なんで手先を使う作業はそんなに壊滅的なの!?」
計量や微調整といった、まさに「私生活のダメさ」に直結する作業が恐ろしいほど下手くそだった。このままではポーションが完成する前に実習室が爆発してしまう。
「もう! 液体を測るのと材料を入れるのは私がやるから 如月くんは私の指示通りに、鍋に魔力を通して温度を一定に保っててください!」「……分かった」
見かねた私のテキパキとした指示に、アルは頷いて鍋に両手をかざした。
ここからは彼の独壇場だ。魔力の維持とコントロールは彼の最も得意とする「規格外の領域」。
私が「今、少し火力を上げて!」「次はそのままキープ!」と声をかけると、アルは寸分の狂いもなく完璧に魔力を調整していく。流石は膨大な魔力の持ち主だ。いちのまにか鍋の中の液体は、見たこともないほど澄んだ美しい琥珀色へと変わっていった。
「2人とも凄いねぇ〜!レオくんが1年生の時は失敗しちゃった調合、完璧にこなしてるよ!」
実習室の入り口のほうから、様子を見にきていた二年の御剣先輩とスズ先輩が話している。
「なっ⋯⋯あの時は手加減を間違えただけだ!」
それを見た私は、三つ編みをフンスと揺らし、心の中で大いにドヤ顔を決める。
(フフン、本当は私が9割手伝って、お母さん役やってるようなもんですけどね!)
もちろん、周囲への体面を気にして口には出さないけれど。
無事に学年最高の評価をもらい、実習が終了して片付けを始める。
「おお凄い。やっぱり俺に調合は無理だ……ありがと」
そう言いながら、アルはキラキラした目で完成した琥珀色のポーションを見つめている。普段の無表情からは想像もつかないほど素直なその姿に、ふと私は、満足気にアルの前にスッと右手を差し出した。
「え? 何?」
「『感謝は行動で示せ』とかよく言うでしょ?」
「え……もしかして昨日みたいにタダ飯貰おうとしてる?」
アルはいつもの無表情をかなぐり捨て、あからさまにうんざりした顔をして一歩後ずさりした。あの天才にここまで嫌そうな顔をさせられるのは、世界で私くらいのものだろう。
「いや、冗談冗談!」
私が笑うと、アルは何か言いたげに小さくため息をついた。
こうして今日も平和……? に学園生活を終えたのだった。
本当にスズ先輩大好きすぎる⋯⋯!!
そして最近、話が短くなってしまう⋯⋯!!
余談ですがこの小説のタイトル長いので略して「ふつてん」にしようと思います