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メルティランドナイトメア
はるまきごはん様のメルティランドナイトメアです。なんか、中毒性がありますね。MORE MORE JUNPバージョンのメルティランドナイトメアいいですね。
「案外、そんなフューチャー」
やっぱり、予想通りのフューチャー。
前から決まっていたんだ。
これから起こる未来は、全てわかっていたこと。
何一つ驚くことなんかない、想定内の未来さ。
---
わんつーさん、はい。
いち、に
「さん」
もう待ちくたびれた。
「ねえねえ、早く起きてよ」
僕の声で起きる、あなた。
そうやって、あなたはまた驚くの。
もう分かってるよ。
何回も見てるから。
「ようこそ、私の夢の中へ。最高のメルティランドへ」
ここにいると、あなたと僕は一緒なの。
そう、一心同体。
ねえ
--- 「ママ」 ---
ここは、僕の”夢”が叶う場所。
絶対に叶うことのない夢。
「本当に、あなた?えっと。なんで。なんで、ここに……」
やっと来てくれた。
やっと、僕の夢の扉を見つけてくれた。
「ずっと、待ってたよ。あの日から、ずっと」
会いたかった、会いたかった。
「Welcome to the メルティランド」
*
「ママ、久しぶりだね。ずっと会いたかったよ。ずっとママのことを考えてたよ」
「え、ええ。そうね、久しぶり。本当に…?」
ああ。
やっぱり、忘れてたんだね。
昔は、あんなに泣いてくれたのに。
僕のことを思い出しては、あんなに泣いてくれたのに。
真っ暗な空の中にある、他とは変わらないただの星に、僕はなってしまったんだね。
「こんなの嘘よ。こんな悪夢を見るはずがない。私の娘はもう…いないの。こんな悪夢は嫌、嫌」
僕だって、こんなナイトメア、見たくないさ。
しょうがないだろ。
正常なグッドモーニング。
普通の、平和な朝に「おはよう」と言うはずだった。
幸せな家族との時間を過ごし、ハッピーエンドで終わりをむかえるはずだった。
でも、そんなことも出来ない。
何もかもが、妄想で、叶わない夢になってしまう。
そうなのだとしたら、せめて今だけでも、この一瞬を忘れないで。
この時間をずっと覚えてて。
*
あなたのことを考え始めてから、5000日。
もし僕が、ママと一緒にいるのなら、他愛のない話をたくさんして。
楽しかったのかな。
でも、今はそんな妄想が、悪夢に変わってしまう。
僕は毎日、悪夢を妄想している。
パパがね、ママに言っていた。
「明日には、そんな悪夢なくなるよ」
本当に、そうなっちゃうかもね。
今日、そうなっちゃうかもね。
僕の世界も、終わりかな?
早く終わりにしたいよ、僕だって。
長い長い時間を待ってたよ。
やっとここまで来たよ。
今日、やっと悪夢が終わるよ。
ママに会えたからね。
これが、最後の晩餐ってやつかな?
僕の前には、ママがいて。
目の前には、ごちそう。
これが、僕の最期。
ママと僕の気持ちが、ぶつかって、とけあって、まざりあって。
この気持ちは、たくさんの色。
悲しかったり、悔しかったり、満足してない気持ちだったり。
*
14年前。
生まれてすぐに、僕は命を落とした。
もちろん、誰も悪くない。
誰にでも起こる危険が、僕にたまたま来ちゃっただけ。
でも、悲しいよね。
誰にも愛されず、僕の人生はあっという間に終わってしまった。
誰も悪くないから、誰かを責めることはできず。
僕は、僕を問い詰めてきた。
そうやって、この世界は悪夢となって行ったんだ。
僕の名前もわからないまま。
*
僕の願いが叶うことはない。
決してね。
それなら、僕のことを
「一生”だけ”忘れないでね」
*
「イノセンスな、ロンリーガール」
寂しくて、孤独で。
誰にも頼れなくて。
二人共、泣きたいのに泣けなくて。
このナイトメアもあとちょっと。
もうすぐ、終わるから。
だから、ちょっとだけわがままを言わせて?
*
朝6時。
ママを現実に引き戻す、鐘が鳴る時間。
そして、僕達のタイムリミット、別れ。
僕は、小さな、薄っぺらい、夢の中にいる。
でも、大きくて、分厚い、思いを持っている。
だから、どうか忘れないで。
ママを、ずっと愛しているから。
たとえ一方通行でも。
ずっと思っているから。
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どう?
馬鹿らしいと思った人も、感動した人もいる?
でもね、ママは目を覚ますと、僕のことを忘れていくんだ。
結局は、伝えた愛がゼロになっていく。
どれだけ愛したって、ゼロになる。
結局、ママが僕を忘れていくという未来が繰り返されていくんだ。
こうやって予想通りの未来が起こるんだ。
どうも。最後の終わり方がわからんくなって、投げやりで、もやもやエンドにしてしまったぺんぎんです。はい。許してください。あの、最初はショート出す予定だったんですけど、どうしてもメルティランドナイトメアが書きたくなりこうなりました。勢いで書き始めたんで、一回ボツになりかけたんですけど、なんとか終わりました。ファンレターくださると嬉しいです。