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気まぐれ小説 〜記憶の中〜
「奈乃ちゃん、明日引っ越すからね」
「どうして?南ちゃんとか恵美ちゃんは?」
「どうしてって、、、。大人の事情よ」
母はそれ以上いくら問い詰めても教えてくれなかった。
まるでその記憶を消したいかのように。
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私は幼稚園の先生にもうすぐなる奈乃。
今日は私が通っていた幼稚園に来て、そこで働くの!
幼稚園時代の時にいた先生もいるのよ。
|里琴《りこ》先生よ。
実は私、一度幼稚園が変わっていて、この|七草《ななくさ》幼稚園は初めに通っていた幼稚園。
「こんにちは、今日から入りました奈乃です!お願いします!!」
すると元気そうな女性が出てきた。
「あら、奈乃先生ね。私は永田里琴よ。里琴先生って呼んでね」
里琴先生か。昔と変わってないなぁ。
(園児がみんなやってきた)
「せんせーだーれ?」
「もしかして、プリンセス?」
「わー、あそぼあそぼ!」
みんな、可愛すぎる。
里琴先生が入ってきた。
「みんなー?おせきにすわろう?きょうはね、あたらしいせんせいをしょうかいするよ!」
「こんにちはっ、なのです。なのせんせいってよんでね!」
一斉に拍手が起きた。
みんな私に興味津々の目で見つめてくる。
そしてこれから多忙な先生デビューを果たしたのだった。
(職員室にて)
「私、里琴先生と一緒に働けるのがとても楽しみでした!」
私が興奮しながら言うと里琴先生はどこか遠いところを見て
「そう」
とだけ呟いた。
なにか悪いことを言ってしまったと思い謝るも先生の目には私は映っていなかった。
何度も
「そう」
「よかったわ」
「本当に」
私には先生がどんな気持ちなのかわからなかった。
でも、決して私を侮辱したり煽っているのではないということは言わずともわかった。
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半年後の、里琴先生の誕生日の日
「いまからりこせんせいに、『ありがとう』をいおうねー!」
「「「「はーーい」」」」
私の掛け声と共に子供達は里琴先生に向かって、思い思いの言葉を伝えた。
「りこせんせっ、いつもやさしく、ありがと!」
「りこせんせーだいすき!」
「せんせー、けっこんしよ!」
様々な声が上がった。
そして私から
「里琴先生。お誕生日おめでとうございます。私、先生に出会えたことがこの職業に就こうと思ったきっかけです。あの転園した日以来、どうして私は七草幼稚園に行けないのだろう、どうして引っ越してしまったのだろうと何度思ったことでしょう。先生、教えてください。なぜなのですか?先生を責めているわけではありません、ちっとも。ですがこの答えを知りたいのです」
数秒里琴先生は迷ったような顔をし、
「後で、職員室で話しましょう」
という一言だけ。
また怒らせてしまったかもとドキドキしたが、きっと何か話してくれるのだと自分を落ち着かせた。
里琴先生の誕生日会は終わり、子供達もそれぞれの遊びをしに行った後、私と里琴先生は職員室に行っていた。
気まずい空気が流れた。
すると
「あのね、」
この声と共に空気が一変した。
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私はその時、年長だった。
同じクラスに意地悪するのが好きな子(確か秀英くん)と、そのこから意地悪されている子(美波ちゃん)がいた。ある日、美波ちゃんと秀英くんは手すりの近くにいて秀英くんが美波ちゃんを押してたの。
そして、美波ちゃんが2階から落ちそうになった。
私は人一倍無駄に正義感が強く、私が美波ちゃんを引っ張り上げたら力が余って私が2階から落ちてしまった。
奇跡が重なって芝生の上に落ち、打撲ですんだ。
里琴先生はあの時もっとしっかり見ていれば、あの時止めていれば、、、。と自分を責めているんだそう。でも、自分でその現場を見たときにはもう私は落ちていた。
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「本当にあの時はごめんなさい!私のせいで!」
先生はそう言うけれど、私は一度も先生を恨んだことはない。
先生が言うには、その事件の後私の両親は大激怒。
次の年には小学生。友達もできたところだから引っ越すとストレスが溜まってしまうなどと説得したものの、両親は聞く耳を持たずそのまま私は転園してしまったそう。
「あの後友達ができなかったんですよね、いじめられたんですよね。それも私のせいです!危険に気づけなかった私の!」
私は小学校になった時、両親が思ったよりも遠く方言も違うところに引っ越したため、「余所者」「田舎者」といじめられるようになった。
でも私は。そんなことも人生の一部だよねと謎に落ち着いていたのだ。
「そんな、自分を責めないでください!誰も悪くありません。さ、この話は終わりです!明日の用意でもしますかー!」
里琴先生はハッとしたような顔をした。
きっと、子供たちが周りから見ていることに気づいたのだろう。
「りこせんせ、泣いてる?」
「だいじょーぶー?」
「大丈夫よー。そうね、過去を見ても仕方がない。これからを見るのよ!」
里琴先生のこころが少しだけ軽くなったように見えた。
**END**
どうですか?
じゃ、ばいのりちゃー!
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