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ソレイユ!⑦私だって!
月
帰り道の歩道。私たちはまた、遠足の時の「4人班」の列になって駅へと向かっていた。前を歩く心珀ちゃんの班からは、相変わらず元気な笑い声が聞こえてくる。サキちゃんの班も、お互いのお土産を見せ合って盛り上がっているのが見えた。私はといえば、リュックの紐をぎゅっと握りしめたまま、トボトボと下を向いて歩くことしかできない。サキちゃんの楽しそうな笑顔が頭から離れなくて、胸の奥のモヤモヤは消えないままだった。「……あの、奈美ちゃん」不意に、すぐ後ろから小さな声がした。振り返ると、算数の時間にノートを見せてくれたおとなしい女の子が、少し遠慮がちに私の顔を覗き込んでいた。「これ……もしよかったら、食べない? チョコ、余っちゃって」彼女の小さな手のひらの上には、少し形が崩れた個包装のチョコレートが乗っていた。驚いて隣を見ると、班の男の子も「あ、俺もそれもらった。美味いよ」と、口をもぐもぐさせながら小さく笑っている。「あ……ありがとう」チョコを受け取って口に入れると、歩き疲れた体に、甘さがじわーっと広がっていくのが分かった。「奈美ちゃん、お弁当のとき、ちょっと元気なさそうだったから……」女の子は自分のリュックの紐をいじりながら、ぽつりと言った。「あいつらの班、なんか凄く賑やかだから、圧倒されちゃうよね。俺も、あの輪に入るのはちょっと無理だなあって思って見てた」男の子も肩をすくめて同意する。その言葉に、私はハッとした。みんな、何も考えていないわけじゃなかったんだ。私と同じように、周りの賑やかさに少し緊張したり、圧倒されたりしながら、それでもこの班で自分のペースを保とうとしていたんだ。「……うん。でも、この班はなんか……落ち着くね」私が小さく笑って言うと、女の子も「うん、私もそう思う」と、嬉しそうに目を細めた。クラスで一番元気な班にはなれないかもしれない。サキちゃんみたいに、新しい場所でパッと大きな声を出すことも、今の私にはまだできない。だけど、この静かで、お互いをそっと気遣い合える1班の空気は、今の私にとって、びっくりするほど居心地が良かった。遠くを歩くサキちゃんの背中は相変わらず小さく見えたけれど、さっきまでの冷たい焦りは、チョコの甘さと一緒に、少しだけ溶けて消えていくような気がした。