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枯れた華を愛で続ける
お久方ぶりです、某探偵です
今回はヤンデレ×秀才...失礼、ヤンデレד元”秀才のボーイズラブです
タグが間違っていますか、そうですか。気にしないで下さい
残酷、生々しい描写がない為、R18を抜いております
それではどうぞ
何を間違えたのだろうか。いくら考えても、優秀なはずだった頭では何も答えが導き出せない。
この部屋の暗さのせいだろうか。手足を拘束され、身動きがとれないからだろうか。それとも、三日間何も食べていないからだろうか。
......考えたって無駄だろう。原因なんてものがあるとするなら、過去の行いのせいだ。
昔から、聡明で優秀な人だと誉められていた。それが当たり前だった。当たり前の優秀だったのが自分の唯一の個性だと思っていたから、あの男が現れるまで格上の優秀がいたことに驚いたと共に言葉には表しづらい何かが沸々と沸き上がっていた。
短い黒髪に色白とした肌、深く吸い込まれるような黒い瞳。頭脳明晰で運動神経抜群。それでいて、誰にでも別け隔てなく優しい人格者...漫画のような人物。
もしかしたら、話せば解りあえたかもしれない。けど、初めての劣等感は耐え難いものだった。
それで、
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校舎裏に彼を呼び出した。別に殴ったり貶したりするわけじゃない。ただ、二人だけで腹を割って話したかった。彼は僕にとって、人格者ではあったが、どこか怪しく信用できなかったからだ。
始めは僕から切り出した。ほんの挨拶だった。
「急に呼び出して、ごめん」
彼は素っ気なく優しく微笑んで許してくれた。
だけど、その笑顔の男の手に何か棒状の物が握られていることに気づいた。
彼がその時、何をしようとしたかなんて分からない。でもそれに気づいた時、彼の笑顔が気持ち悪いくらいににやけた笑みを浮かべていることに気をとられて一瞬のうちに頭を強く殴られた。
何が起きたのか理解できず、苦痛の声をもらすことしかできなかったけれど彼がずっと気持ち悪い笑顔を浮かべているのが怖かった。そこから10分くらい殴られて、骨が折れたりはしなかったけれど痣は酷いものだった。
「ごめんね、痛かった?」
息が乱れて血も出ているのに、優しい笑顔で訊く彼が怖くて何も言えなかった。その後は毛布をかけてくれて、家まで送ってくれた。その日以来、彼と学校ですれ違う度に殴られるのではないかと怖かった。そして、彼を避けるようになった。
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彼を避けるようになった一週間後、郵便受けに気味の悪い手紙や登下校中に人がついてくる気配を常に感じた。中でも怖かったのは僕が友人と一緒に映っている写真に友人の顔にだけ赤いバッテンが描かれた写真だった。
また、僕が周りの人間に変な噂を流されるようになった。テストをカンニングしているとか、関係を持って捨てた女性がいるとか、根も葉もない噂だった。
だんだんと僕の評価は秀才ではなく、偽物の秀才になっていった。一方で彼は株が更にあがっていくばかりだった。
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ある日、彼が僕の家に来た。何しに来たのか分からなくて最初は戸惑った。でも、彼が僕の忘れ物を届けにきただけだと言ってその時だけ心の底から安堵した。
彼を家に入れようと扉を開けた瞬間、彼が急に押し入って僕にバチバチと音の鳴る機械を押し当てた。
そこで意識を失った。
目が覚めたら手足をロープで固く拘束されて、暗い部屋の中から出ることができない状態だった。
やがて、彼が部屋に入って来た。そこで彼が僕のことを異常なまでに好きなことを知った。
何故あの時、殴ったのかを聞けば二人だけの状態に興奮していたと意味が分からない理由だった。
理解を諦めて何度も部屋を出ようとしたけど、固いロープは外れず中々出れなかった。彼はその間にも僕を殴ったり、ご飯を食べさせたり、行為に及ぼうともしたけれどどれも怖くて嫌だった。
長い間、監禁されて疲れてきてしまった。彼の望む通りにすれば救われるのではないだろうか。
彼が帰って来た。いつも聞くことがある。
「ねぇ、僕のこと、好き?」
いつもなら何も答えない。けど、
「...好きだよ」
その言葉を待っていたのかあの時と同じ愛しい笑みを浮かべて、手を僕の後ろに伸ばしてくる。
「「愛してる」」
お疲れ様です
バットエンド?よりはメリーバットエンドですが、『僕』的には疲れて折れてしまったという点ではバットエンドです
ただ、どっちみち愛しく思っているのは本当でしょう
お読みいただき有り難うございました