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勇者殺しの赤魔女と冷徹無慈悲な青の公爵 第八話
私はそのアップルパイをまじまじと見つめていた。
「……………………これ、は」
「ああ、これは俺の大好物なんだ。君にも食べてほしくて」
アルベルト様はそう言って、小さく切られたアップルパイのついたフォークを差し出してきた。
…えっと、どうすればいいのかしら。
私が戸惑っていると、
「ほら、あーん」
「…えっ、やっ…それは」
私は真っ赤になる。
「いいから、ほら」
恥ずかしさで顔が沸騰しそうだ。
しばらくの攻防の末、あーんをすることになった。
「…………ん、………………おいしい、です」
とりあえず、おいしいと言った。
たぶん、おいしいのだろうが恥ずかしさで味がほとんどわからなかった。
でも、なんとなく懐かしく感じた。
そうして、朝食の時間は終わった。
---
彼は、なぜあのアップルパイを知っていたのだろうか?
私が、ノアに作ったあのアップルパイを。
そもそも、私はあのアップルパイの作り方をどこで知った?
***追憶 〜ひとりぼっちの赤魔女とアップルパイ①***
*私がまだ幼い子供のころ。*
*そのとき、まさに魔女というものが差別される時代の真っ只中にいた。*
*母は、私を逃がしてくれた。*
*もし…もしも、まだ生きているとしたら会いに行きたい。*
*抱きしめて、その温かさを感じたい。*
*きっと、もう叶わないのだろうけど。*
*母は、私にエレスペネ大森林に行くように言った。*
*そこは、誰も近づかない、魔女が住む森と言われていた。*
*魔女。*
*誰も近づかないからなのか。*
*魔女が住んでいると言われていたからなのか。*
*母は、そこに行くように言った。*
*私はあのとき、何を思っていただろうか。*
*苦しい?*
*悔しい?*
*憎い?*
*寂しい。*
*最初はそんなことを考えていた。*
*けれど、そんな馬鹿なことを考えているひまはない。*
*生きなければ。*
*母が、逃がしてくれた。繋いでくれた、この命を。*
*私は。*
*『歴史上には、悪い魔女がたくさんいるけれど、………あなたは誰かを助けられる、誰かを笑顔にする魔女になりなさい。あなたなら、きっとなれるわ…ラシェル』*
*いつか、母が言った言葉。*
*私は、誰かを助けられる、誰かを笑顔にする魔女になるんだ。*
*だから、*
---
* エレスペネ大森林に魔女が住んでいる、という言い伝えは嘘だった。*
*まあ、今は私が住んでいるから実質、魔女が住んでいると言えるのかしらね。*
*私は、幼いながらも懸命に生きていた。*
*私の赤魔法を駆使しながら。*
*絶望に|苛《さいな》まれることも何度もあった。*
*でも、そんなとき何度も母の言葉を思い出した。*
*そのたびに母のいない、本当の孤独を突きつけられて、何度も泣いた。*
*今思えば、私はもう壊れかけていたのかもしれない。*
*そんな、ひとりぼっちの私のもとに劇的な変化が訪れた。*
第八話、どうでしたか?
来ました、追憶 〜ひとりぼっちの赤魔女とアップルパイ〜編!
我ながら、お母さんのあの言葉がぐっとくるというか、大好きなんですよね…
そしてそして、今更ではあるのですが…
「覚悟してください、お嬢様。」シリーズを超えましたね笑
最近、更新してなくてごめんなさい…
近々、投稿します…!
そして、これは本当に余談なのですが…
実は「勇者殺しの赤魔女と冷徹無慈悲な青の公爵」シリーズは現在、第十五話まで執筆中です。投稿しているのは第八話まで。
第十五話まではパソコンに打ち込んでいます。
それをスマホに打ち込んで投稿していて…
その作業が地味に面倒い笑
考えるのはスラスラできるんですけどね笑
でも、まあ、頑張ります!笑
次回は追憶 〜ひとりぼっちの赤魔女とアップルパイ②〜です!お楽しみに!
長くなってしまいましたが、ここまで読んでくださりありがとうございました!
よければ、ファンレターなどいただけると嬉しいです!